2017年05月31日

今月の二本 どぎめぎインリョクちゃん、どぎめぎインリョクちゃんラブ&ピース

今月はこれで行ってみましょう。二本とか言ってるけど実質無印(3DS版)によった紹介になってるよな気がします。まあ根幹は同じなんで多分大丈夫でしょう。今作は確かに難しいけれど、それ以上に考え抜かれたステージ構造と緻密な解法を要求するバランスと解法の多彩さが魅力でもあります。クリアしたとき確かな達成感を得ることが出来る今どき貴重など根性型アクションなので頑張っていただきたいものです。
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DATA
発売 / 開発 : アークシステムワークス/アークシステムワークス、エープラス
登場時期 : 2013(3DS)/ 2015(PSVITA)
ジャンル : ステージクリア型アクション
機種 : 3DS/PSVITA



~君の魂はどぎめいているか?~
やあみんな!今日も元気に昼下がりながらどぎめいているかな?お兄さんは満員電車にも関わらずイチャついてるカップルを見かけた時は憎悪を滾らせた目つきで睨み脳味噌にキューピットの矢をブチ刺して昇天させたろかッ!と思いながら電車に乗ってるぞ。人格破綻者かよ。
こういったように荒んだ思考回路になってしまうのはときめきが足りないからである。なんか面白いこと無いかなーと口癖のように呟き口を半開きで眠たげな眼をして無気力のまま怠惰な日々を過ごしているからいけない。こんな時は一際面白く熱中させてくれるゲームが必要だ。それも飛びっきり純度の強いものが。
そこで「どぎめぎインリョクちゃん」である。アークシステムワークスが送り出した一風変わった2Dアクションゲームだ。DLソフトということで知名度の方はそこまで高くはないのだがその噂は知っている。多くの人の心をへし折った作品だということ、そしてその一方でハマる人はとことんハマる作品だと。需要があったか定かではないのにVitaにリメイク+新コース追加で登場したのがその何よりの証拠である。どぎめぎインリョクちゃんは自分にときめきを与えてくれる作品だったのか。確かめてみるしかなかった。
……そしてプレイ後、ものの見事にキュンキュンと撃ち抜かれズギューンと昇天させられてしまった。先に結論として、今作は近年まれに見る2Dアクションの傑作だとここで断言してしまおう。

~どぎめぎを知らない人に色々教えてきます~
ゲーム内容はステージクリア型のアクションゲーム。ステージのクリア条件は、ステージ内の敵をすべて倒す、もしくはゴールへたどり着くこと。基本操作はジャンプに加えて矢を2本まで放つこと。この矢を放つことがこのゲームの肝。矢を放つという一つのアクションで多彩なことが出来るのが特徴である。例えば攻撃。敵の動きを矢を当てて封じて、違う敵に矢を当てると敵キャラ同士が惹かれあいズギューンと破壊できる。敵と地面を結び付け破壊することも可能。更に矢と矢を上手く結びつけた直線状に敵がいればまとめて昇天させることも可能!といった具合だ。次に移動。矢を地面に二つ放つことでトランポリンが形成され、これを利用して大ジャンプすることが重要な攻略テクニックである。
どぎめぎインリョクちゃんの特徴を挙げるならば以下のような感じになるだろう。
・凄まじい操作性の悪さ
・圧倒的な操作の快感
・凶悪な難易度
・優しさに満ち溢れた敵配置、トゲ配置などギミック構造
・気付かなければクリア出来ないようなステージ構造
・多彩な解法が許容される懐の広い調整
・掘れば掘るほど底が無い奥深いゲーム内容
相反することが次々と並んでいるが、これは決して筆者の頭がどうかしてまともな評価が下せなくなっているわけではない。私は真剣だ。
今作は辺り一面がトゲに埋め尽くされている中を飛び回る言わばジャンプアクションの要素が強い。そうなるとジャンプがカギを握るのだが、このジャンプの挙動が非常に曲者であり端的に言えば「すげえ操作しにくい」といった感じ。だって重力のかかり方がなんだかもったりしていて奇妙だよコレ!?更に空中での横方向への制御は雀の涙ほどであり、「飛び過ぎた!」と思っていてもそのまますっ飛んでいくだけである。更にここに小ジャンプと普通のジャンプも絡んできて、その上その二つの使い分けを出来るようにならなければキツイ場面も多い。続編のラブ&ピースでは滞空が出来るようになったりと多少制御がしやすくなってはいるものの操作の難解さはほぼ据え置きなのだから恐ろしいところである。初めは段差一つ飛ぶだけでも大苦労だったもん。マジで。大マジで。
しかし、2本矢を放つことで形成されるトランポリンを使いこなせるようになると、途端に今作は爽快感あるアクションに変貌するようになる。ジャンプでは届かないところにトランポリンを形成してひとっ飛び!トランポリン形成で大ジャンプ!といった具合にアクロバティックな操作が出来るようになると非常に気持ちよくなる。この難解な操作を乗りこなし己の指先の微妙な調整で難所をスイスイと突破していくのが本当に楽しい。
また、こうしてトランポリンに着目すると、クセだらけのジャンプの挙動は全て計算されたものだというのがよく分かる。妙にもったりとして横への制御が効かないのは、このゲームの基本テクニックである「その場でジャンプ、すぐさま左右に矢を放ちトランポリンを形成して大ジャンプ」を可能にするためだろう。これで横制御が効くようになってしまったら、逆に操作しにくくなっていたことだろう。ラブ&ピースでは滞空が加わったことにより、このその場にトランポリン形成が活用しやすくなり上に飛び過ぎてもそれを抑えることが可能になり更に快適に操作できるようになったのもポイント高い。また、この基本操作であるトランポリン形成をステージをクリアしていくうちに自然に体得できるような作りなのも見事なものだ。
世の中には操作が難しいゲームは大量にあるが、今作はただ操作が難しいゲームでは無く自転車に乗るような、慣れると気持ちよく操作出来るタイプのゲームである。その中でも欠点に思えるところすら計算されゲーム性として組み込まれているのだ。こんなゲーム今までなかった……
操作と並んで特徴的なのがその難易度。今作はもう極めて難しい難関アクションである。あんまり難しい難しいと言ってビビらせたくはないのだが、おそらくは10人中15人が難しいと思うほどには難しい作品だろう。更にその難しさも操作が難しいことや攻略の糸口を探すのが難しいこと、それらが合わさった純粋な難しさがあると言える。全50面の難易度はまさに凶悪。ラブ&ピースのノーマルとヘルはハードとスーパーヘルの間違えじゃないのかー?と思えるくらいに難しい。
しかし、それらは計算された難しさなのである。つまり、何らかの突破の方法が必ず存在する。それがどんなに難しいステージだったとしても、である。操作に関しては基本テクニックは自然に体得できるよう調整されており、難易度の高いステージも敵を倒す順序やどこにトランポリンを形成するかということに着目すれば十分にクリアは可能な難易度だ。
今作は超人的な操作技術を体得することよりも、どれだけ思考を重ねたかが重要になる。操作性が操作性なだけに上手く自機制御できないとクリア出来ないと思われがちだが、自分のようにアバウトな自機制御しか出来なくても必死に考えればクリア出来るよう設計されている。ステージ構造や敵配置から何を要求しているのかを考え、ひたすらに試行錯誤、そして練習の積み重ねによる精度の上昇。これらがしっかり出来れば難所でも十分に突破は可能だ。そしてクリア時には非常に大きな充実感を得られる。どぎめぎインリョクちゃんは非常に優秀なトライ&エラーゲームだ。このクリア不可能に見えても必死に取り組むことで実はクリア可能という絶妙で巧みなバランス調整こそが今作の醍醐味である。
更に後半のステージはただ難しいだけではなく制作者の優しさが垣間見える作りになっているのもポイント高い。44面や45面はこのゲームの中でも12を争う極悪難度のステージだが、回復アイテムを配置したり、トランポリンを上手く形成すればすんなり突破できるよう、それとなく分かる作りになっている。こういったように難所には必ず手厚く配慮してくれている優しさがあり、そしてその優しさも過剰過ぎない自分の力で突破した感を強く演出してくれるものに留めてあるのが凄いところだ。
そして真に恐ろしいのはクリアに至るルート構築は多数存在すること。自機制御をほとんどしなくても突破出来るルートを構築したり、トランポリン連続形成によるごり押しルートを構築したり、スタイリッシュに短時間で突破出来るルートを構築したりとその解法は無数にある。敵を倒す順番やどこにトランポリンを形成するか、どう形成するか、それは自分に可能なのか、ということを考え、ひたすらに試していく。緻密な解法を要求するゲームにも関わらずその解法はプレイヤーの好きなように解いていいなんていう自由度の高いゲームなんてめったにない。一体どれだけ調整に時間をかけたのか想像も出来ない。凄すぎる。一部の極まったプレイヤーの動きはもはや芸術の域に達していると言っても過言じゃない。必見。

今作の魅力をまとめるならば全てが機能的に作用しているということだろう。奇妙なジャンプはトランポリン形成により自由自在の力を手に入れられる飛び道具へと昇華し、殺人的な難易度は徹底して調整された巧みなゲームバランスにより緩和され適度な苦戦を楽しめるものに仕上がっている。それでいて攻略と解法の自由度は極めて高くステージクリアに命を燃やす人からタイムアタックに興じるやり込みゲーマーまで誰をも満足させる納得できる難しさを持っている。これ以上、何を望む必要があるのだろうか?どぎめぎインリョクちゃんはまさしく職人によって作られた職人気質のバランスが光る2Dアクションゲームの傑作である。あまりの操作性のアレさに投げ出すのはもったいない!最後までプレイすればきっと新天地がそこに広がっているぞ!


~ほぼ同じながらもはや別物?無印とラブ&ピース~
どぎめぎインリョクちゃんは3DS版(無印)とVita版(ラブ&ピース)が有り、これまでは主に3DS版を中心に話してみたが、続編であるラブ&ピースの仕様は大体こんな感じにまとまっている。
・オリジナル50面(無印と全く同一の構成)+新規コース難易度ノーマルとヘル合わせて100面の全150面
・各面選択可能(3DS版は通しでプレイしなければいけない)
・滞空の追加(空中でジャンプボタンを押すことで僅かな間天使の羽を使って微妙にその場に浮くことが出来る。横制御も多少可能)
・ホッピング(真下に矢を2発放ちその場で大ジャンプをすること)の移動量が増加などその他細かい挙動の変更など
全体的に操作周りが多少操作の難しさを和らげる方向の調整となっており、更にアクロバティックな移動と多彩な解法が許容されるようになったのが特徴である。滞空の追加により制御がかなりやりやすくなった反面それを前提にバランスを取っているのもポイントであり攻略し甲斐のある難関ステージが多数揃っている。
こうしてみるとラブ&ピースの方が無印のコースもあることだしこれだけ買っておけば良いんじゃないの?と思いがちだが、個人的には両方買ってやってみることをお勧めしたい。両者とも同じゲームにも関わらず操作の質が異なり、どちらも同じステージ構造にも関わらず「もはや別物なんじゃないのこれ!?」とまで思えるほどの完成度だからだ。滞空の存在により同じステージにも限らず全く違った解法を導くことなんかしょっちゅうであり、2作買っても新鮮な気持ちでプレイすることが出来るのだ。滞空があるのでとりあえず飛んでから後のことは考える、というアバウトな攻略でも通用するがそれ相応の難しさもあるラブ&ピースに対し、滞空が無い分更に理詰めでステージ構造などを観察し考え突破していく無印。どちらにも違った面白味や評価点が存在しているが、共通しているのはどちらも巧みな難易度調整が成されていて機能的に全ての要素が作用していることだろう。両方買えば倍楽しい未来が待っている。そうは言ってもいきなり2作も買えないこともあるだろう(ハードが違うしね)。どちらも面白いのでどっちから買っても問題なしだ。が、なるべくならラブ&ピースからの方が無難かもしれない。癖のある操作は人を選ぶ気質がありラブ&ピースの方が馴染みやすい作りになっているし、ノーマルモード50面で操作の基本を十分に学習することが出来るからだ。
それにほら、今作は安いから。2作買っても大した出費にはならないから。男らしく2作とも同時に買っちゃうのが刹那的でカッコいい生き方かもしれない。楽死イゲームライフはすぐそこにあるぞ!
posted by グレイ at 00:00| Comment(0) | 今月の一本 | 更新情報をチェックする
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