2017年07月12日

先月の一本 ぐわんげ

今月…では無く先月はこれです。実を言うと今月用に書いてたやつの方が先に書き上がったからこっちを先に、というわけなんだけども。元先月用に書いてたものは現在ちょこちょこ見直し中。
いささか古い作品ではあるものの全く色あせていない魅力的なSTGでもあります。ケイブSTGの中ではOne互換にも対応しているので興味のある方は是非とも。
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DATA
発売 / 開発 :アトラス(AC)、ケイブ(Xbox360) / ケイブ
登場時期 : 1999(AC)/2010(Xbox360)
ジャンル : 縦スクロール弾幕STG
機種 : AC/Xbox360



~異端なSTG~
「ぐわんげ」である。まずタイトルがすごい。一見しただけでは何が何だか分からない。ケイブの前身である東亜プランも「達人王」「ドギューン!!」「鮫!鮫!鮫!」など何が何だか分からないタイトルのSTGを輩出し、ケイブ自身も「怒首領蜂」と書いて「どどんぱち」と読ませるセンスを持っていたが、東亜の流れから見てもケイブのセンスから見てもどことなく異端なセンスのタイトルである。ちなみに当初のタイトルは「ずずり」だったらしい。……こちらも分からん……
次に目につくのが和を基調とした世界観。ケイブの中では、というよりもSTGの中から見ても非常に珍しい設定である。和を題材としたSTGとしては彩京の「戦国エース」などがあるがあれは純和風ではなくむしろ和を軸に色々なものをぶち込み生まれた混沌としたものであった。そこへ行くと「ぐわんげ」は室町時代であり、機械などのオーバーテクノロジーは一切出て来ず、戦車や砲台こそ存在すれど木造という世界観への凝り具合が非常に強い。
更にシステム面もかなり独特。ケイブ恒例の広範囲へのショット、狭範囲だが超火力のレーザーという攻撃手段はあるもののレーザーに該当する式神が他のケイブSTGや他のSTGでも見たことのないタイプであること、そして体力制と残機制を組み合わせたようなシステムなど異端な点が非常に多い。
そう、「ぐわんげ」を一言でいうならば異端なSTGなのである。その斬新で異質な内容は今見ても新鮮に感じるほど色あせていない。細部まで拘り抜かれた作り込みと適切な難しさの難易度調整を成し遂げた異端な良作弾幕STGである。非常にクセこそ強いものの惹かれる要素を多数持ち合わせる「ぐわんげ」の世界へ、いざ!出立!

~お命頂戴!システムを理解せよ!~
先述したとおり自機を動かしショットと式神を使い分け要所要所でボムを撃つのが基本的な流れなのだがこのショットと式神のうち式神の操作が極めて重要。式神は簡単に言えば式神のいる位置に高火力の攻撃を叩き込むというものであり、敵にダメージを与えるだけでなく式神を敵弾に当てることで弾の速度を減速させることができる。減速した弾は色が青からピンクへと変化し、式神から弾が離れると加速し色も青へと戻る。またピンク弾は敵を倒すことで消滅させることが可能。これにより弾幕STGでありながらも敵弾の大多数を掻き消して無力化して進むことができるのである。更に式神起動中は喰らうダメージが通常よりも半減される。更に式神は地形を無視して移動させることが可能なので、地形を挟んだ向こう側の敵に攻撃を与えることもできるのである。
こうしてみると非常に強力で実際強力なのだが、そう簡単にいかないのがぐわんげのぐわんげたる所。まず式神起動中は自機の操作が大きく制限され、縦方向への移動は不可能になり横方向への移動スピードが大幅に下がる。そして何より式神を動かそうとすると自機も動かざるを得ない自機と式神は一心同体なシステムだろう。式神を狙ったところへ置きつつさらに自機の安全を確保するためにはかなりの慣れを要する。自機の安全を最優先で確保しようとすると式神が明後日の方向へ飛んで行ってしまい……なんてことも起こる。操作がかなり独特なため慣れないうちはケイブSTGの中でもかなり難しく思えてしまうだろう。そうでありながら弾幕は割と激しめであり、さらには高速弾を吐いてくる敵も結構多いということや、地形の制限が厳しいということもあり敷居はかなり高いゲームかもしれない。
しかし、ぐわんげに対する理解が進むと自然に先へ進めるようになるというこの絶妙なバランスがぐわんげの魅力でもある。実際今作はケイブSTGの中でも難易度は低めであり、それでいて「先へ進めたけどなんで先へ進めたか分からない……」というようなバランスでもない巧みな調整が効いている作品でもある。
STGの基本はパターン化に加えて「やられる前にやる」というものであり、敵配置を覚えての問答無用で即破壊することが重要だがぐわんげはそこに至るまでのハードルを下げているのがポイント。基本的には「敵が見えたら式神を重ねる」、これだけで大幅に進みやすくなるのだ。弾を撃たれても式神を重ねることで減速化、そして減速した弾は敵の破壊で消滅させることで弾避けがほぼ不要、といった具合に進めるうえでの方針が明解で分かりやすく、高度なテクニックも必要とされない、という意味で非常にやさしいSTGである。また、STGの肝である弾避けに関しても式神で弾を止めている間に空いている空間に移動すれば良いという点で非常に分かりやすく、加えて体力制採用ということもあり多少被弾しても問題ないというところも非常に親切。ストイックなゲームが多いSTGの中でこのやさしさ溢れる作りが非常に素晴らしい限り。だからと言って簡単ではない、しかし理不尽ではない難易度調整も素晴らしく初心者でもクリアに到達しやすい作品だと思える。また、回復アイテムが大量に供給される点も、頑張ればクリアできるかも!?という気にさせてくれる親切な作りである。回復アイテムと体力制のシステムを理解してパターンを組めばクリアできる日も近い、はず。無理せず要所要所でボムを撃て、とだけ言っておこう。
ぐわんげの作りはこのシステムへの理解を軸に構成されており道中の難所ではしっかりとした理解を求めてくる。反面アドリブや数ドット単位の弾避けは全く存在しない(ラスボスではさすがに少しはその必要があるが……)ため理解さえ出来ればすんなり進める。例えば2面の船は一見すると2面とは思えぬ弾の数でアワアワしてしまうが、基本動作の式神を重ねることですんなり倒すことができる。3面のおかよさん地帯も次から次へと出てくるおかよさんめがけて式神を放り、弾が消えたことを確認してパパッと抜ける、ということが掴めれば難しいわけではない。厳しい場所はボムればいいという調整でもあり3面終盤やネコ蜘蛛第2形態第3形態なんかはボム前提の攻撃ともいえる。が、ここで死んでも4面で体力回復アイテムが出るので神経を張りつめる必要がない。4ボスの獣社や5ボス前座の足利凄氏は式神を使うと逆に危険をシステムの裏をかいてくるが逆に言えば式神使うと危険という知識があれば突破は難しくはない。といった具合にどれだけぐわんげについての知識があるかが重要であり逆に言えばそこまでゲームスキルを要求してこないため誰でもクリアまでたどり着きやすい作りなのである。システムの兼ね合いの名場面と言えばやはり6面後半の鬼ごっこ地帯であろう。実質全方向へ攻撃可能といったことを逆手に取った全方向から押し寄せる鬼の大群をショットと式神の使い分けで対処し、さらには逃げ回るシーンはぐわんげの中でも非常に印象的な場面である。

~唯一無二の世界、和風ホラーと怖さへの挑戦~
ぐわんげは純和風STGという非常に特異な世界観で構成されている。そしてそれは今見てもなお色あせることなく見るものを「ハッ!」とさせるものでもある。それは和風という物珍しい世界設定だからということもあるけれど、それ以上に細かく書き込まれたグラフィックにもある。屋敷であったり夜の山寺であったり神社であったり、そして最後の舞台である獄門山であったり、その戦いの舞台となる背景の書き込み具合や地形の設計は非常に美しく、そしておどろおどろしい。そして要所要所の演出が極めてハマっているのである。
例えば敵キャラの動きのリアリティ。今作の敵は人間や妖怪など他では見られない敵が多く、そして生き生きとした動きを魅せてくれるものが多い。とてとてと歩いてきてはフン!と攻撃を仕掛ける村人、大砲を放つ大筒男、くるくると華麗な舞を踊りながら弾幕をまき散らす舞華など人間キャラは無論のこと、壺からグバッと出てきて弾をまき散らし、白骨化してもなお攻撃の手を緩めない壺姫、凄まじい弾幕をまき散らす首取り小僧、突如飛び出しにらみつけてくるお志乃など見ていて非常に面白く印象的で、不気味。雑魚でこれなのだからボスも非常に面白い。蜘蛛と猫を足して生まれたネコ蜘蛛や戦車と一つ目妖怪を足した獣社、壁を突き破って登場し大猿へと変身する足利凄氏、そしてもはやこのゲームの代名詞とも言えるぐわんげさま、彼らの動きのおぞましさや見た目のグロさ(特にぐわんげさま)は強烈なインパクトを誇る。おどろおどろしくもハッとさせる動きの細かさが見て取れるのである。特にぐわんげさまの見た目のすさまじさは必見。
「戦車出せ!戦車!」という名台詞も存在する通り、今作には純和風にも関わらず戦車が登場。そしてこの戦車の動きに関してもまた、素晴らしい。貴様を殺すとばかりに木造戦車が動き弾幕を放ってくることの、なんと美しいことか。発射ギミックの多彩さや世界観に合わせて戦車を引きずる敵も存在するところも見逃せない。非常に見ごたえがあるSTGと言えるだろう。
そしてエスプレイドでもその片鱗を見せていた「戦いの中に潜む残酷さ」を押し出したような描写もぐわんげの特徴であり大きな魅力と言えるところ。船を壊せば油が広がる、といった演出を仕込んだのはガンフロンティアであり、敵を破壊すれば爆散し破片が散らばりあげくには木々も燃えるという演出を魅せつけたのは雷電Ⅱだが、ぐわんげもまた「生きている敵を殺せば血が出る」という演出を仕込み、見るものを圧倒している。が、安易に血をドバドバと出してはただの悪趣味なものになりかねない。この辺のバランスをしっかりと取って、プレイヤーに訴えかけるものにしている辺り今作が如何に考えられて作られているかが分かる。5面の舞華を倒す際なんかは特にこの残酷さを意識することだろう(轢殺しないと倒したことにならない)。また、敵の破壊だけでなく絵で魅せる物語部分でもこれを十分に見ることが出来る。ネコ蜘蛛に食われる名も無き人間、野槌に食われた牛の死骸、尼魏主、ぐわんげさま前の首が切断され胴体だけとなった死体の数々など、要所要所でえぐい残酷さが感じ取れる。主張しすぎることは無く、しかしプレイすることでこうしてちゃんと強烈な印象を残す。これぞ上手い演出といったものだろう。ただ一つだけ惜しい点があるとするならば、ゲームの仕様上式神の爆風によりこの素晴らしい映像の数々を認識し辛い、ということだろうか。しかし式神の派手な爆風があったからこそ、グロ過ぎず平常心を保ってプレイ出来るのかもしれないのだが……
こういったようにぐわんげは演出面に力を入れた作品であるが、中でも和風ホラーを強く意識した作品でもある。これはかなり度胸やセンスのいることでもあるだろう。STGで怖さの表現を組み込むのは中々に厳しいものがある。理由は単純で何度も再プレイすることによって敵配置を覚えることが重要なジャンルなので、怖い表現も何度も見てしまうので見慣れてしまうからだ。種が分からない状態でお化け屋敷に入るのと何が起こるか全て分かった状態でお化け屋敷に入るのとでは怖さが違うだろう、ということだ。
そこでぐわんげが取った方法は肝を冷やす印象的な演出や映像を仕込むということである。先に述べたネコ蜘蛛に食われる人間や尼魏主前の生贄辺りは、単なる怖さにとどまらない強烈なインパクトとえぐい残酷さを両立させている。その映像は一度見たら忘れられないものであり、そして何度見てもヒヤリとさせられたり食われて死んでいく名も無き人間に思いを馳せたりもしてしまうだろう。野槌の登場は最初見た時はビックリ系の恐怖を覚えるが、次第に見慣れてくると野槌に食われてグロイ死に方を遂げている牛にも目が行くだろう。こういった作り込みの細かさと、その発見による肝がひやりとさせられる点がぐわんげの怖さの表現で優れてるところなのだ。
またこの怖さの表現が最も現れたのが肝試しステージこと3面。夜の寺というロケーションといい、1面2面で妖怪の登場数を絞った調整がここにきて非常に効いている。壺姫の発狂時の髑髏顔なんかも非常に印象深い。そしてここで最も肝を冷やすのがお志野の存在。というのも、こいつ登場するときとしないときがあるのだ。そのためここだけはプレイする際非常に緊張感が漂うものになる。今回は出るのか?それとも出ないのか?と。前方に注意を向けていたら突如としてうにょーっと凄まじい顔をして飛び出てきて来ることの恐怖は慣れてもなお相当のモノだろう。
また、ゲーム開始時とエンディング時のデモシーンもぐわんげを構成する上では非常に重要であろう。モノクロではあるのだが極めてカッコよくそして美しく書き込まれた絵とそれらを生み合わせたカットは非常に見ごたえがあり、プレイヤーを一瞬でぐわんげの世界へと引き込む力を持っている。シシン編の血飛沫の飛ぶ描写やシシンの登場シーン、小雨編の藤村静彦へ向けて放った矢を舞華がかばうシーン、源助編の源助の企んでいる顔がバッと表示されすぐさま麒麟丸が雇い主に向かってガバッと襲うシーンなど短い間でも印象に残る場面は極めて多い。エンディングに関してもそれは同様であり、是非ともその目で見ていただきたいものである。
音楽はエスプレイドに続いて楠雅弘氏が担当。和を前面に押し出しつつもテクノ的というこちらも挑戦的かつ唯一無二の音楽のクオリティは極めて高く、特に3面の曲やボス曲が印象的。特に3面の曲はぐわんげを象徴する曲と言っても過言ではなく、サントラではボーカルバージョンまでも収録されるほどである。エンディングのいろは歌なんかも印象深く、耳に残るだろう。
ぐわんげはゲーム性を重要視する節のあるケイブSTGの中でも非常に演出面や世界観に力を入れて作られた作品である。それが故にケイブの中でも異端な作品にはなっているものの、その完成度は非常に高くやりごたえのあるものである。非常に親切な作りになっているので、自分の力でその世界を見ていただきたいものである。

~3つのモードを選ぶがよい!~
ぐわんげは特殊な内容かつ古い作品であるのでゲーセンなどに行っても今では中々置いていないかもしれない(そもそもSTGを置いてるゲーセン自体が……)。しかしXbox360に移植されており、しかもXboxOne互換にも対応している。今からやるのであればこちらがベストである。360版ぐわんげにはそれぞれ3つのモードを収録している。
・アーケードモード
所謂普通のぐわんげ。ぐわんげと言えばもっぱらこれであり、全ての基本ともいえるモード。名の通りアーケードの移植である。移植度は筆者はAC版ぐわんげに遭遇したことがないので不明だが十分に高いはず。
・青モード
AC版に微調整を加えた青版を移植したモード。基本はACと同じだが全体的に稼ぎやすくなっている他、4ボスが強化されていたり5ボス前座の足利凄氏や尼魏主第1形態が魔強化されていたり逆に尼魏主最終形態が大幅に弱体化していたりと元を知っていればかなりの変化がある。難易度の頂がACとは異なるので人によっては難しく感じるかもしれないが、総合的にはACと同等の難しさでありアーケードがクリアできるのならこちらもクリアできるはずである。
・360モード
ぐわんげの集大成ともいえるモード。最大の特徴は右スティックで式神を自在に動かせるようになったこと。これにより操作が難しいという敷居の高さが消滅し、さらにこれを踏まえた敵配置に変更されているので爽快感が増し、その上青版よりもさらに稼ぎやすいと至れり尽くせりなモードになっている。根本的な難易度も大幅に減少し誰でも楽しくプレイできてクリアしやすい作りになっている。

このうち360モードが出色の出来。ぐわんげの特徴をつかむのにうってつけであり、かつ難易度も高くないのでここから始めて、AC→青へと手を伸ばしていくと楽しいかもしれない。

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2017年05月31日

今月の二本 どぎめぎインリョクちゃん、どぎめぎインリョクちゃんラブ&ピース

今月はこれで行ってみましょう。二本とか言ってるけど実質無印(3DS版)によった紹介になってるよな気がします。まあ根幹は同じなんで多分大丈夫でしょう。今作は確かに難しいけれど、それ以上に考え抜かれたステージ構造と緻密な解法を要求するバランスと解法の多彩さが魅力でもあります。クリアしたとき確かな達成感を得ることが出来る今どき貴重など根性型アクションなので頑張っていただきたいものです。
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DATA
発売 / 開発 : アークシステムワークス/アークシステムワークス、エープラス
登場時期 : 2013(3DS)/ 2015(PSVITA)
ジャンル : ステージクリア型アクション
機種 : 3DS/PSVITA



~君の魂はどぎめいているか?~
やあみんな!今日も元気に昼下がりながらどぎめいているかな?お兄さんは満員電車にも関わらずイチャついてるカップルを見かけた時は憎悪を滾らせた目つきで睨み脳味噌にキューピットの矢をブチ刺して昇天させたろかッ!と思いながら電車に乗ってるぞ。人格破綻者かよ。
こういったように荒んだ思考回路になってしまうのはときめきが足りないからである。なんか面白いこと無いかなーと口癖のように呟き口を半開きで眠たげな眼をして無気力のまま怠惰な日々を過ごしているからいけない。こんな時は一際面白く熱中させてくれるゲームが必要だ。それも飛びっきり純度の強いものが。
そこで「どぎめぎインリョクちゃん」である。アークシステムワークスが送り出した一風変わった2Dアクションゲームだ。DLソフトということで知名度の方はそこまで高くはないのだがその噂は知っている。多くの人の心をへし折った作品だということ、そしてその一方でハマる人はとことんハマる作品だと。需要があったか定かではないのにVitaにリメイク+新コース追加で登場したのがその何よりの証拠である。どぎめぎインリョクちゃんは自分にときめきを与えてくれる作品だったのか。確かめてみるしかなかった。
……そしてプレイ後、ものの見事にキュンキュンと撃ち抜かれズギューンと昇天させられてしまった。先に結論として、今作は近年まれに見る2Dアクションの傑作だとここで断言してしまおう。

~どぎめぎを知らない人に色々教えてきます~
ゲーム内容はステージクリア型のアクションゲーム。ステージのクリア条件は、ステージ内の敵をすべて倒す、もしくはゴールへたどり着くこと。基本操作はジャンプに加えて矢を2本まで放つこと。この矢を放つことがこのゲームの肝。矢を放つという一つのアクションで多彩なことが出来るのが特徴である。例えば攻撃。敵の動きを矢を当てて封じて、違う敵に矢を当てると敵キャラ同士が惹かれあいズギューンと破壊できる。敵と地面を結び付け破壊することも可能。更に矢と矢を上手く結びつけた直線状に敵がいればまとめて昇天させることも可能!といった具合だ。次に移動。矢を地面に二つ放つことでトランポリンが形成され、これを利用して大ジャンプすることが重要な攻略テクニックである。
どぎめぎインリョクちゃんの特徴を挙げるならば以下のような感じになるだろう。
・凄まじい操作性の悪さ
・圧倒的な操作の快感
・凶悪な難易度
・優しさに満ち溢れた敵配置、トゲ配置などギミック構造
・気付かなければクリア出来ないようなステージ構造
・多彩な解法が許容される懐の広い調整
・掘れば掘るほど底が無い奥深いゲーム内容
相反することが次々と並んでいるが、これは決して筆者の頭がどうかしてまともな評価が下せなくなっているわけではない。私は真剣だ。
今作は辺り一面がトゲに埋め尽くされている中を飛び回る言わばジャンプアクションの要素が強い。そうなるとジャンプがカギを握るのだが、このジャンプの挙動が非常に曲者であり端的に言えば「すげえ操作しにくい」といった感じ。だって重力のかかり方がなんだかもったりしていて奇妙だよコレ!?更に空中での横方向への制御は雀の涙ほどであり、「飛び過ぎた!」と思っていてもそのまますっ飛んでいくだけである。更にここに小ジャンプと普通のジャンプも絡んできて、その上その二つの使い分けを出来るようにならなければキツイ場面も多い。続編のラブ&ピースでは滞空が出来るようになったりと多少制御がしやすくなってはいるものの操作の難解さはほぼ据え置きなのだから恐ろしいところである。初めは段差一つ飛ぶだけでも大苦労だったもん。マジで。大マジで。
しかし、2本矢を放つことで形成されるトランポリンを使いこなせるようになると、途端に今作は爽快感あるアクションに変貌するようになる。ジャンプでは届かないところにトランポリンを形成してひとっ飛び!トランポリン形成で大ジャンプ!といった具合にアクロバティックな操作が出来るようになると非常に気持ちよくなる。この難解な操作を乗りこなし己の指先の微妙な調整で難所をスイスイと突破していくのが本当に楽しい。
また、こうしてトランポリンに着目すると、クセだらけのジャンプの挙動は全て計算されたものだというのがよく分かる。妙にもったりとして横への制御が効かないのは、このゲームの基本テクニックである「その場でジャンプ、すぐさま左右に矢を放ちトランポリンを形成して大ジャンプ」を可能にするためだろう。これで横制御が効くようになってしまったら、逆に操作しにくくなっていたことだろう。ラブ&ピースでは滞空が加わったことにより、このその場にトランポリン形成が活用しやすくなり上に飛び過ぎてもそれを抑えることが可能になり更に快適に操作できるようになったのもポイント高い。また、この基本操作であるトランポリン形成をステージをクリアしていくうちに自然に体得できるような作りなのも見事なものだ。
世の中には操作が難しいゲームは大量にあるが、今作はただ操作が難しいゲームでは無く自転車に乗るような、慣れると気持ちよく操作出来るタイプのゲームである。その中でも欠点に思えるところすら計算されゲーム性として組み込まれているのだ。こんなゲーム今までなかった……
操作と並んで特徴的なのがその難易度。今作はもう極めて難しい難関アクションである。あんまり難しい難しいと言ってビビらせたくはないのだが、おそらくは10人中15人が難しいと思うほどには難しい作品だろう。更にその難しさも操作が難しいことや攻略の糸口を探すのが難しいこと、それらが合わさった純粋な難しさがあると言える。全50面の難易度はまさに凶悪。ラブ&ピースのノーマルとヘルはハードとスーパーヘルの間違えじゃないのかー?と思えるくらいに難しい。
しかし、それらは計算された難しさなのである。つまり、何らかの突破の方法が必ず存在する。それがどんなに難しいステージだったとしても、である。操作に関しては基本テクニックは自然に体得できるよう調整されており、難易度の高いステージも敵を倒す順序やどこにトランポリンを形成するかということに着目すれば十分にクリアは可能な難易度だ。
今作は超人的な操作技術を体得することよりも、どれだけ思考を重ねたかが重要になる。操作性が操作性なだけに上手く自機制御できないとクリア出来ないと思われがちだが、自分のようにアバウトな自機制御しか出来なくても必死に考えればクリア出来るよう設計されている。ステージ構造や敵配置から何を要求しているのかを考え、ひたすらに試行錯誤、そして練習の積み重ねによる精度の上昇。これらがしっかり出来れば難所でも十分に突破は可能だ。そしてクリア時には非常に大きな充実感を得られる。どぎめぎインリョクちゃんは非常に優秀なトライ&エラーゲームだ。このクリア不可能に見えても必死に取り組むことで実はクリア可能という絶妙で巧みなバランス調整こそが今作の醍醐味である。
更に後半のステージはただ難しいだけではなく制作者の優しさが垣間見える作りになっているのもポイント高い。44面や45面はこのゲームの中でも12を争う極悪難度のステージだが、回復アイテムを配置したり、トランポリンを上手く形成すればすんなり突破できるよう、それとなく分かる作りになっている。こういったように難所には必ず手厚く配慮してくれている優しさがあり、そしてその優しさも過剰過ぎない自分の力で突破した感を強く演出してくれるものに留めてあるのが凄いところだ。
そして真に恐ろしいのはクリアに至るルート構築は多数存在すること。自機制御をほとんどしなくても突破出来るルートを構築したり、トランポリン連続形成によるごり押しルートを構築したり、スタイリッシュに短時間で突破出来るルートを構築したりとその解法は無数にある。敵を倒す順番やどこにトランポリンを形成するか、どう形成するか、それは自分に可能なのか、ということを考え、ひたすらに試していく。緻密な解法を要求するゲームにも関わらずその解法はプレイヤーの好きなように解いていいなんていう自由度の高いゲームなんてめったにない。一体どれだけ調整に時間をかけたのか想像も出来ない。凄すぎる。一部の極まったプレイヤーの動きはもはや芸術の域に達していると言っても過言じゃない。必見。

今作の魅力をまとめるならば全てが機能的に作用しているということだろう。奇妙なジャンプはトランポリン形成により自由自在の力を手に入れられる飛び道具へと昇華し、殺人的な難易度は徹底して調整された巧みなゲームバランスにより緩和され適度な苦戦を楽しめるものに仕上がっている。それでいて攻略と解法の自由度は極めて高くステージクリアに命を燃やす人からタイムアタックに興じるやり込みゲーマーまで誰をも満足させる納得できる難しさを持っている。これ以上、何を望む必要があるのだろうか?どぎめぎインリョクちゃんはまさしく職人によって作られた職人気質のバランスが光る2Dアクションゲームの傑作である。あまりの操作性のアレさに投げ出すのはもったいない!最後までプレイすればきっと新天地がそこに広がっているぞ!


~ほぼ同じながらもはや別物?無印とラブ&ピース~
どぎめぎインリョクちゃんは3DS版(無印)とVita版(ラブ&ピース)が有り、これまでは主に3DS版を中心に話してみたが、続編であるラブ&ピースの仕様は大体こんな感じにまとまっている。
・オリジナル50面(無印と全く同一の構成)+新規コース難易度ノーマルとヘル合わせて100面の全150面
・各面選択可能(3DS版は通しでプレイしなければいけない)
・滞空の追加(空中でジャンプボタンを押すことで僅かな間天使の羽を使って微妙にその場に浮くことが出来る。横制御も多少可能)
・ホッピング(真下に矢を2発放ちその場で大ジャンプをすること)の移動量が増加などその他細かい挙動の変更など
全体的に操作周りが多少操作の難しさを和らげる方向の調整となっており、更にアクロバティックな移動と多彩な解法が許容されるようになったのが特徴である。滞空の追加により制御がかなりやりやすくなった反面それを前提にバランスを取っているのもポイントであり攻略し甲斐のある難関ステージが多数揃っている。
こうしてみるとラブ&ピースの方が無印のコースもあることだしこれだけ買っておけば良いんじゃないの?と思いがちだが、個人的には両方買ってやってみることをお勧めしたい。両者とも同じゲームにも関わらず操作の質が異なり、どちらも同じステージ構造にも関わらず「もはや別物なんじゃないのこれ!?」とまで思えるほどの完成度だからだ。滞空の存在により同じステージにも限らず全く違った解法を導くことなんかしょっちゅうであり、2作買っても新鮮な気持ちでプレイすることが出来るのだ。滞空があるのでとりあえず飛んでから後のことは考える、というアバウトな攻略でも通用するがそれ相応の難しさもあるラブ&ピースに対し、滞空が無い分更に理詰めでステージ構造などを観察し考え突破していく無印。どちらにも違った面白味や評価点が存在しているが、共通しているのはどちらも巧みな難易度調整が成されていて機能的に全ての要素が作用していることだろう。両方買えば倍楽しい未来が待っている。そうは言ってもいきなり2作も買えないこともあるだろう(ハードが違うしね)。どちらも面白いのでどっちから買っても問題なしだ。が、なるべくならラブ&ピースからの方が無難かもしれない。癖のある操作は人を選ぶ気質がありラブ&ピースの方が馴染みやすい作りになっているし、ノーマルモード50面で操作の基本を十分に学習することが出来るからだ。
それにほら、今作は安いから。2作買っても大した出費にはならないから。男らしく2作とも同時に買っちゃうのが刹那的でカッコいい生き方かもしれない。楽死イゲームライフはすぐそこにあるぞ!
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2017年04月20日

今月の一本 サジタリウス・エー・スター

えーっと、今月はこれみたいです。今回はホントにオススメなものの凄まじく人を選ぶタイトルなので責任は持ちません。しかし!充実したゲーム生活がわずか1000円で手に入る、かもしれないことは保証しましょう……。今どき珍しい十字キーバリバリ使用作品でもあるので十字キーに怨念がある人はマストバイですぜ(誰に勧めてるんだ。
それはそうと今回は応援バナーを張ってみました。ちゃんと張れてるかな……。このキャッチコピーにビビッと来たら買いですぜ。


サジタリウス・エー・スター
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DATA
発売 / 開発 :ラックプラス
登場時期 : 2014
ジャンル : Project RS風STG
機種 : DS


~悪魔的ブラックホール~
いて座A*はわれわれ銀河系の中心にある明るくコンパクトな天文電波限より広い範囲に広がるいて座Aの一部であり、仮説によると多くの渦巻銀河や楕円銀河の中心にあるとされる超大質量ブラックホールが、いて座A*にもあるとされる。だそうだ。
いきなり何を言い出すんだコイツは!?と思いの方が大半かもしれないが実はこれは大いに関係のあることだったりする。ということで、「サジタリウス・エー・スター(以下SA*)」である。DSが完全に末期になり3DSがブイブイ言わせる中DSiWareとしてひっそりと登場したSTGである。ハード末期を飾るのはやはりSTGなのか……ということはさておき、マニアの中では「コロぱた」で有名なラックプラスの作品である。そして、携帯機なんだからいつでも気軽に遊びやすいSTG!という風潮に真っ向からケンカを売った破滅的超弩級マニアックSTGである。なんてたって弾数が違う!ギミックが複雑怪奇!稼ぎが偏執的で意味不明!初見での難易度は血ゲロ吐くほどに激ムズ!はっきり言って今作を全肯定できるのはわずか少数だろう。しかし!SA*には他のSTGでは味わうことのできない面白さと魅力を兼ね備えたまさにブラックホールのような作品であることも、また事実である。今こそこのSA*をDSソフトの中でも屈指の傑作として紹介しよう!

~皆殺しのレイディアントサジタリウスソード~
今作はアイレム系STGやトレジャーの「Project RS」シリーズ(特に斑鳩)の影響が色濃いパターン構築型STGであり「STGの化けの皮をかぶったリアルタイムパズル」という言葉で大体どんなゲームかお察しいただけるであろう。ということで説明終了。
……こんな説明では分かる人しか分からないのでもう少し書こう。
細かく言うと、自機の真正面に放つ通常ショットと、ゲージがたまっている時のみ使用可能なソードによる攻撃を使い敵をバリバリ倒していくSTGである。特徴的なのはソードによる攻撃。出現する敵はすべて黄色か赤の弱点部位が存在しており、特定の弱点をソードでスパッと切るとなんと一撃必殺!このソードの攻撃をうまく使い敵をスパスパ切っていくのが今作の醍醐味。さらにソードでの切断成功後、約1秒は敵の弾を無力化し再びソードを使用可能という所謂コンボタイムに突入。このコンボタイムを上手く利用しソードで敵を一刀両断するとコンボ成立。再びソードを使って……といった具合にコンボをつなげていくのが今作のカギだ。しかしソードはちゃんと弱点部位を貫くように当てないと逆に弾かれるという少々難儀なものにもなっている。コンボでヒャッハー!と思い意気揚々と突っ込んでも失敗すればあっさり返り討ち、そしてそのままミスなんてことにもなりかねない。さらに敵の配置は複雑怪奇かつうねうね動き回ったり回転して来たりと一筋縄ではいかない。パターンを構築し敵の一瞬のすきや配置の妙を突き、リスク承知であえて敵に突っ込んで最大限のリターンを得る、という極めて濃い駆け引きが今作の魅力である。
コンボ絡みでいえばスコアシステムも非常に練られたものになっている。ショットでただ倒すだけでは撃ち込み点や撃破点しか入らないがソードで倒すとチェイン得点*コンボ継続倍率の得点が入るという感じだ。まずはチェイン得点。ソードで敵撃破成功につき100点ずつ成功し最大1600点まで上昇。途中でコンボが途切れてもソードが外れるor自機がミスすることがなければ素点が維持される。ここにコンボ継続倍率(最大8)がかかると雑魚1機倒すだけでも1600*8=12800点が懐に転がり込んでくる。これだよ。これでモリモリ稼ぐんだよ。さらに恐ろしいのはエブリエクステンドが10万点ということ。そのため簡単な箇所でコンボを狙うだけでもガンガンエクステンドでき、一種のトリップ状態にもなる。そしてその敵配置はシルバーガンや斑鳩を思わせるほどに練られまくり。複雑怪奇な敵配置から何をさせたいのか、制作者の意図を読み取りソードを使っての稼ぎ&やばい敵の即破壊、自らが打ち立てたパターンが決まった時の圧倒的幸福感、リアルタイムでパズルを解き続けることの緊張感と快感、それはほかのSTGでは味わうことのできない、SA*独自のもので何物にも変え難い。
また、今作は偏執的な稼ぎ以外にも見所がかなり多い。スコアシステムではProject RSの影響を多分に受けているが、演出面でもその影響は色濃い……というか、確信犯的にパロディをぶち込んでいるような気がしてならない。1面からして開幕のポエムがないことと敵配置が違うことを除けば妙に斑鳩っぽく、ボスは見るからにシルバーガンに出てきそうなロボットだし、2面に入ってからも斑鳩を彷彿とさせる敵の挙動が見られたり、ブロックが流れてきたりともう何もかもがトレジャーSTGくさい。そうかと思えば1面ボス登場直前では背景で艦隊が破壊されていくというレイフォースっぽい演出があったり、3面では後ろから核ミサイルがすっ飛んで来たりとメタルブラックっぽいシチュエーションがあったり、4面開幕ではドリオサーム(もしくはシルバーガンのNASU)っぽい敵がうねうねと登場したりする。斑鳩でもオマージュとしてあった沙羅曼蛇のシャッター地帯も当然のように完備している。確かに、Project RS(特にシルバーガン)は硬派なパロディウスの印象もあるけれど、そんなところまでリスペクトするのかよ…とニヤニヤしながらプレイできるのも今作の魅力の一つだ。

~戦わなければこの先生き残れない!SA*の掟~
自らの意思が強固であるほど様々な試練に苛まれるもの……というが、SA*のクリアまでに襲い掛かる試練の数々はハッキリ言って常軌を逸したレベルであったりもする。自分も初めてプレイした時は意気揚々と挑んだはいいものの開始1分で撃沈を繰り返し「こんなのクリアできる奴は人間じゃねえ」とすら思った。殺人的な敵配置、押し寄せるような弾幕(弾幕STGでもないのに!)、狂った強さのボス、無理臭しか感じないラスボス……。始めのうちはそのパロディだらけの演出に浸ることすらできず、無意味な死を繰り返してしまった。
しかしプレイを続けていくことで困惑や戸惑いは消え、次第にその魅力に憑りつかれていくことになった。ムズイムズイと言えども、全4面で敵配置は完全に固定。その配置は極限まで練りこまれ「ここをこうすれば上手くいきますよー」というのが何度も反復することで自然に分かる作りになっている。またボスは即破壊が可能なことに加えて、アホほどエクステンドするため残機をため込んでのごり押しも通用するバランスにもなっている。解法がしっかり明示されているからこそ何度死んでも諦めずにプレイしようという気にさせてくれ、クリアした時にはこの世のものとは思えない達成感を味あわせてくれる。
そうはいっても血ゲロ吐くほどには難しいゲームであることもまた事実。ここではSA*の攻略の指針になるようなことをまとめておこう。
1:生き残れ!
最重要。このゲームはコンボに力点が置かれているのは事実であり「かっこよくコンボ決めるぜ!」とか「スタイリッシュに攻めるぜ!」とか思いがちだが、コンボを狙わなければいけないという強迫観念に苛まれ無念な死を遂げることは往々にして多い。コンボを狙って死に続けるよりも、まずは生き残ることを優先して考えよう。
2:ショットを使え!
ソードによる一刀両断は極めて有効だがハイリスクハイリターンでもある。成功している時はいいものの一度失敗するとそこからの立ち直りにはすさまじいほどの実力を要求されてしまう。ここはコンボ狙うのは厳しい、とかソードで狙いにくい、と思った場合はショットを主軸に立ち回ることを考えよう。ソードよりもショットを上手く使いこなし如何に生き残るかがSA*攻略のカギだ。
3:敵配置を覚えろ!
このゲームは数回プレイしただけでクリアできるようなバランスではない。敵の出現パターンを覚えるのはSTGでも基本だが、敵配置が固定の今作ではコンボの兼ね合いもあり極めて重要。さらにその敵配置は極めて考え抜かれて配置されている。制作者の意図を読み取り上手くコンボを決めるなりショットを使うなり、自分なりのパターンを構築しよう。
4:危険な部位を破壊しろ!
ショットを使えとは反することだが、かなり重要なポイント。雑魚的は一刀両断で片付くが大型機は弱点を破壊しなければ片が付かないものが多い。そこで弱点を狙おうとすると返り討ちなんてこともあったりする。が、実は大型機の多くは弾の発射口を切断することで無力化できたりする。危険な攻撃を仕掛けてくる部位を切断し、吐かれる弾を減らし安全に弾避けするのが攻略の近道だ。
5:ボスとは戦うな!
戦わないでどう倒すんだと突っ込みも入りそうだが、これはソードによる一撃必殺を意味する。今作は弱点部位を切断すれば一撃必殺できるが、それはボスにも有効。弱点をスパッと切り裂いてさっさと戦闘を終わらせてしまおう。まともに戦おうとしたりコンボを狙おうとするとどいつもこいつも危険である。例外的に4ボスなんかはソードで切りに行くよりもショットでちまちま撃ったほうが倒しやすかったりもするのでその辺は注意が必要だ。
6:一面番長になれ!
一面番長とは、簡単な一面だけやたらと上手くなり一面のみハイスコアをたたき出したりスタイリッシュな動きを決めたりするようなプレイスタイルを指す。しかし今作においてはこのプレイスタイルが攻略の糸口になる。序盤で大量の得点と残機をため込み後半に備えるのはこのゲームでは他のゲーム以上に重要。ここで稼いだ残機が最後の最後にあなたを救ってくれる…かもしれない。
無論、1面だけでなく2~4面で簡単なコンボパターンを構築するのも有効な手である。2面なんかは特にそうだったり。
7:リプレイを見ろ!8:トレーニングしろ!
一朝一夕ではこのゲームはクリアできないので何度も何度もプレイし指先にそのパターンを染み込ませることが大事だ。リプレイを見返し自問自答しトレーニングで実践する。幸いトレーニングでは残機が99もあるのでゆっくり死ねる。死にまくって覚えろ。
9:諦めるな!
精神論のような感じだが、なんだかんだ最後に必要なのは諦めない心である。近年死にゲーが話題を呼んだりしているので多くの人は納得がいくと思うが、死にゲーは調整を失敗してなければちゃんとクリアできるよう配慮されたものが大多数であり、無論SA*もクリアできるよう緻密に調整されている。プレイ時間も短い間に完結するので長時間にわたって集中し続ける必要もない。多少のごり押しも許容される。しっかり向き合えばSA*は必ず答えてくれるはずだ。

~更に深みに沈むSA*の世界~
SA*は1周するだけでも相当のやり込みを要求されるボリューミーな作品であるが、一方で極限暗記STGでもあるのでクリアパターンを構築してしまえばそれ以外には果てなきスコア稼ぎくらいしかやることはなかったりする。スコア稼ぎ自体は極めて面白いのだが、稼ぎに興味ない人(俺とか)にとっては割かし賞味期限が短いSTGに感じられる……
と思ったら大間違いである。コンボによる終わりなきスコアとの戦いに身を投じるのもいいが、今作にはさらにプレイの幅を広げる特殊プレイが存在している。斑鳩のドットイートプレイのようなもので、クリアしても特にいいことはないが(え?)、極上の達成感を味わえたり制作者に褒めてもらえるので、やってみるのもまた一興である。ここでは二つのプレイスタイルを紹介しよう。

・Real Shooter
今作のカギは一にも二にもソード。そのソードを封印するという衝撃のプレイスタイル。ソードを使わずにステージをクリアすると「You are Real shooter」と褒めてもらえたりする。
ソードを使えないんじゃただ難しくなるだけだし爽快感もないじゃん!と思われるかもしれないが、意外にもまっとうな難易度バランスであり固いものをプチプチと壊していく爽快感や面白味もあるのが油断ならないところ。特に面白いのはゲームの構成は全く同じにも関わらずプレイ感覚とバランスがまるで異なるということだ。コンボを狙う場合敵を引き付けてテンポ良く切っていくのが基本であるが、リアルシュータープレイでは接近しての有無を言わさぬ即破壊が求められる。敵の出現箇所を覚え即破壊していく感覚は中々にアツい。要求される技術やパターンが豹変するため一粒で二度おいしい作りになっているのもSA*の売りである。そうはいってもさすがにかなりの弾避けスキルが求められることには変わらないので難しいことは難しいのだが……
一方で「ソードで稼がなきゃ!」という観念から解放され気軽に撃ちまくれるのもポイント。ソードの使いこなしももちろん大切だが如何にショットを使って楽するかが今作のカギでもある。そのため実は意外とショットのみプレイは1周クリアに有効な攻略の一つでもあったりする。行き詰ったらReal Shooterに挑んでみよう。

・SAMURAI
ショットのみがあるなら当然ソードのみもあるでしょ!と思った方は鋭い。というわけでソードのみのプレイである。ソードのみでクリアすると「You are SAMURAI」と褒めてもらえたりする。
このゲームは一応極めればソードしか使わないともいえるのである種到達点ともいえる。しかしショットによる高難易度箇所の緩和、ゲージ補給、ミスした時のリカバリーが封印されてしまうので難易度は桁違いに高く、Real Shooterプレイの比ではないほどに高い。極限まで詰められたパターンと、それを成し遂げることのできるプレイング技術が要求される。筆者は1面をクリアして「これは俺には無理」と判断してしまったが、達成感は数あるSTGの中でも最高峰と言えるので腕に自信がある方は挑んでみてもいいだろう。もっとも、弾を撃たないSTGはSTGと呼べるのか、という疑問もあるっちゃあるが……

~大丈夫……何時か、きっとわかり合える日が来る~
さて、そろそろ結論に入らせてもらうとしよう。こうして紹介しといてなんだが、今作はぶっちぎりで人を選ぶタイトルである。そもそもオマージュ元のProject RSですら数あるSTGの中でも一際人を選ぶものだったが、それ以上と言っても良い。始めのうちは何が面白いのかすら理解出来ないだろう。徹底した誘導こそ敷いてあるものの、取っつきは極めて悪い。ねじ切れた末期的ゲーマーくらいしか遊んで数分で「面白い!」とは気付かないだろう。そういった末期的ゲーマーには「どうよ?」と紹介すれば「うむ」と言ってくれそうなものだが、実は今作はそういった人以外にもお勧めしたい作品でもある。
皆さん一度は「自らの手で何かを成し遂げたい」「自らの手で何かをつかみ取りたい」と思ったことは無いだろうか?そうした「何か」を見つけやすいのがビデオゲームだと思う。そしてSA*はそういったビデオゲームの中でもとりわけ達成感を得やすい作品であると思う。どう擁護しようにも今作は難しいゲームに分類されることは確実だが、可能か不可能かでいえば十分に可能寄りのゲームだ。先にも述べたが全4ステージで敵配置は固定、稼ぐとクリアに近づくことは確かだが強要されることは無く、ボスは瞬殺出来るといった数々の配慮がなされている。徹底して作り込まれているので、どうにもならなそうな箇所にぶち当たっても必ず解はあり、解法がちらりと見えているからこそ諦めの気持ちよりも先に次こそは!という気持ちが湧いてくる。そしていつしか「我、生きずして死すこと無し。理想の器、満つらざるとも屈せず。これ、後悔とともに死すこと無し……」などと呪文のように唱え何度も何度も再プレイするようになる。そうして難所を突破出来るようになった時の喜びは何事にも代えがたい。ラックプラスは確固たる信念さえあればクリアできるよう道を作ってくれている。大してゲームが上手くない自分でもクリア出来たことから、しっかりと向き合えば必ず答えてくれる。分かりあえる日がくるはずだ。
万人受けするとは口が裂けても言えず、どころか人を突き放すようなSTGであるが、分かる人には至高の価値がある……。SA*はそんな孤高のSTGである。DS末期のSTGは凄かったと通ぶりたいならこれを買え!暇で怠惰で仕方ないけど何かをつかみ取りたい渇望に飢えている人もこれを買え!阿鼻叫喚の地獄絵図を這いずり回りこの世の果てで極上の達成感を味わいたい人もこれを買え!地獄よりも地獄的なSTGだが、他のSTGとは一味も二味も違う、やりがいのあるSTGであることは保証しよう。地獄のどん底で待ってるぜ!

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2017年03月15日

今月の一本 ブラスターマスターゼロ

今月はこれです。あと今回は紹介文と言うより重箱の隅をつついたただの感想文に近い方向性なのでなんかまとまりが無いっす。スマン。身になる文章が読みたい場合は他のところへ行くのが吉かもです(本末転倒じゃねえか
ちなみにスイッチ版のHD振動とかは未体験。早く体感したいものだ……
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DATA
発売 / 開発 : インティ・クリエイツ
登場時期 : 2017
ジャンル : ACT
機種 : 3DS/Switch
今回は3DSをプレイ


~超惑星戦記の復活~
サンソフトというメーカーを皆さんは知っているだろうか。ファミコン時代に他とは一味違うゲームを次々と送り出し、その高い技術力と音楽の良さで多くの人々を魅了したゲームメーカーである。例えばクソゲーの元凶である「いっき」とか! 結局謎がなんなのか分からない「アトランチスの謎」とか! 愉快な歌に反して異次元染みた高難易度の「東海道五十三次」とか!
ゴメン今の忘れて。
ともかく初期は色々アレなゲームを出していたサンソフトだが、中後期になってその真価を発揮し出す。「水戸黄門」で史上初の音声再生を実現し、「ファンタジーゾーン」や「アフターバーナー」の移植で技術力を見せつける。ファミコン後期はその技術力を生かし「バットマン」「へべれけ」「ラフワールド」「ギミック!」「バトルフォーミュラ」など驚異的な完成度とファミコンとは思えない音楽のゲームを次々と送り出し、ユーザーにサンソフトは凄いという印象を植え付けるほどであった。そのサンソフトの覚醒の発端となったソフトの一つが「超惑星戦記メタファイト」であった。88年に出たとは思えない完成度のそれは人気を博し、日本及び海外でシリーズ化されるほどであった。海外での名称はブラスターマスターである(日本でもPS版がこの名前で出てる)。
そんなメタファイトが突如として2Dアクションの覇者、インティ・クリエイツの手によって現代に甦ることになった。それが今回紹介するリメイクであり完全新作の「ブラスターマスターゼロ」である。なぜ今になってメタファイトがリメイクされるに至ったか? それはもう、メタファイトが今なお面白く代用の効かない史上最強、痛快無比のゲームだからに決まっているだろう。あまりにも完璧かつパーフェクトな答えだね。
……と言っても今となっては「メタファイトなんて古すぎて知らねーよボケ」という意見もあるだろう。なにせ88年のFCのゲームだしなあ……。ということでまずは原作について軽く述べておこう。「超惑星戦記メタファイト」はメトロイドライクな探索系アクションゲームである。サイドビューでは広大なフィールドを戦車で駆け巡り、出てくる敵を圧倒的パワーでぶっ壊しつつ、トップビューでは生身でダンジョンへ潜りボスを倒して戦車をパワーアップさせてまた次のステージへ……といったトップビューとサイドビューを組み合わせた作品だ。メタファイトの何が素晴らしかったかというと、これはもう操作感だろう。自分の意志通りに生き生きと動く戦車の操作性の良さはFCアクションの中でも随一! FCで思うがままにこんだけ大破壊大暴走出来る作品なんてごくわずかしかない。生身で挑むトップビューモードもアクションの質が良く練られたバランスで構成されている。
そんなメタファイトだが完全無欠のゲームでも無くわりかし問題を抱えていた。まず物語が不明。次にヒロインが空気。更に戦車の攻撃が届かない敵がウザい。他にもフィールドが複雑怪奇。とどめに超ボリュームにも関わらずセーブもパスワード無し、といったところが挙がるだろう。特に最後のポイントは致命的であり丸ごと保存が使えるVCでプレイするのなら名作間違いなしだが、実機でプレイするのなら理不尽すぎると思ったほどだ。難易度の面でも史上最強クラスの作品で間違いないだろう。メタファイトより難しいゲームはいくらでもあるが、精神面での疲労度の観点から見ればハードルを上げ過ぎた作品だとも言える。
さてブラスターマスターゼロである。リメイクというのはオリジナル版への敬意とオリジナル版とは違う魅力という相反する二つの要素が求められる、実はかなり難しい題材であると思う。しかし! 今作はその二つの要素を見事にまとめあげた、リメイクでありながらも完全新作という記録的な作品である!

~痒い所に手が届くようになった破壊アクション~
今作をプレイして強く感じるのはオリジナル版への敬意。原作を思い出させる8bit風のドット絵を基調としたグラフィックでありながらも更に色鮮やかにきめ細かく描写されたそのグラフィックは懐かしさと新しさが混在する奇妙な感覚を味わえる。奇妙な感覚はグラフィック面だけにとどまらず操作感覚にも現れる。なんと、ファミコンであるオリジナル版と同じような感触なのである。しかし、大きく変化したのはオリジナル版では出来なかった「斜め撃ち」が出来るようになったこと。これによりオリジナル版の快適な操作を引き継ぎつつ更に爽快感を強める作りになっているのが特徴だ。オリジナル版では斜め方向にいる敵に対して懐に潜り込んで照準を合わせて攻撃する必要があったのが、今作では斜め撃ちで一発! 破滅的デストロイアクションを更に強めた今作の作りは流石、数多の2Dアクションを作ってきたインティ・クリエイツの技が宿っている。元々生き生きと動いていた戦車の動きは更に思うがままに動かせるように。オリジナル版ではパワーアップアイテム「ウォール」を手に入れると逆に操作しにくくなるという軽い問題もあったが、ボタン数増加の恩恵を受けて「ウォール」を出したいときだけ出せるようになっているのもポイント高い。
更に注目したいのがサブウェポン。オリジナル版では弾数制であり肝心な時に弾が無い! となったり、ホバーの残量がなくて探索できない! という珍事も起こったが、今作では思い切ってゲージ制に変更。それぞれに分かれていた残弾やホバーも全て一括化。これにより更に多彩なアクションが取れやすいバランスになっているのが特徴だ。また、ゲージが自動回復するようになったのも大きい。これにより残量を稼がないと……という強迫観念から大胆な行動が取れなくなっていたのが、気軽な操作が可能になっている。
メタファイトは確かに名作であったが、FC作品ならではのかったるさや理不尽さも存在していた。それをそのまま持ってきても、プレイヤーは「めんどくせえ」と思うだろう。こういった部分をしっかりと見直し、現代向けにしっかりと最適化しているのは流石としか言いようがない。オリジナル版の評価点はそのままに、改善すべきところはしっかりと改善し遊びやすいように、といったことが完璧に出来ているリメイク作は実は意外と少ない。
遊びやすい調整で言えばオリジナル版最大の欠点であるセーブが無いということが解消されたことが大きいだろう。セーブ搭載というだけでなく、チェックポイントを多く配置してミス後のリカバリーが取りやすくしているのも、またありがたいところである。更に大きいのはマップの追加。これにより広大なフィールドで迷子になることも無く快適にプレイすることが出来る。オリジナル版では無駄に分かりにくかったステージ4突入もこのマップの機能により大安心。更に新たなサブウェポンの追加やライフアップの追加によりオリジナル版に無かったアクションが出来ること、それに加えてそれらを探す楽しさが倍増したのが非常に大きい。探索アクションとしても正当な進化を遂げたまさに痺れる出来のリメイク作だ。
ここまでは戦車に乗り込んで大暴れするサイドビューモードを中心に取り上げてきたが、では、生身でGo! なトップビューモードはどうか、というとこちらも言うに及ばず質の良いものになっている。特徴的なのは攻撃方向の固定が容易になったことだろう。Rボタンを押しておけば射撃方向を維持したまま好きなように動き回れるので思うがままの操作が取れやすくなっている。オリジナル版もAボタンを押しっぱなしで同じことが出来、ボタンが少ないFCで画期的な解決策を成し遂げていたが、やはり多少の無理がありやりすぎると指が痛くなることもあった。ボタンが増えて良かったと思うばかりである。ガンウェポンの仕様が大幅に変わったのも注目ポイント。ショットレベル1~8に応じて攻撃方法が大幅に変化するようになった。オリジナル版にあった遠距離弾やウェーブ弾以外にもオート連射弾や氷を溶かすバーナー攻撃、敵の攻撃を跳ね返すリフレクターなんてものまで登場。これにより攻略の多様化と戦略性を要求される内容に……なるかと思いきや、オリジナル版と同じくレベル8のウェーブ弾さえあれば大体安定なのは少々残念ではあるが、不慮の事故でレベル8ショットを失った時に「うわー! もはやこれまでー!」と死を覚悟して特攻するような作りでは無く、「何かを上手く使えば復活できるんじゃないか?」と希望を失わせない作りはゲーム初心者への配慮も行き届いていて好感が持てる。壁を乗り越えるような地獄の一丁目のような難易度のゲームも確かに面白いが、こういった「誰もが楽しめるゲームバランス」の作品もまた素晴らしいものである。
また、サブウェポンであるボムも追加や仕様変更が行われた。オリジナル版では近距離の敵を爆殺したりボスを抹殺したりするくらいの役割であったが、今作では壁を破壊する物から始まり暗闇を明るく照らすもの、設置すると自動砲撃するもの、戦車の主砲ぶち込むものなど多数のサブウェポンが存在する。これらのサブウェポンは探索要素に華を添え難易度を緩和させるクッションとして作用している。実際後半のボスはサブウェポンを使わないとかなり強い。このようにサブウェポンもすっかり使いどころのあるバランスへと変化したのもまた、痒い所に手が届く作品に仕上がっている。
サウンドの話もここで述べておこう。サンソフト作品は音楽が極めて優れていることで有名でありメタファイトも例外ではない。小高直樹氏によって作られた音楽は今もなお色あせることのないものになっている。ではブラスターマスターゼロはどうか? というと、これまた懐かしさと新しさが混在する出来に仕上がっている。現代風にアレンジされた一面の曲を聞いた瞬間に「うっひょおぉお~!! なんじゃこりゃすげえ~!! 凄すぎるぜインティ・クリエイツ~!!」とあまりのカッコよさに正気を失い5分ほどそこに立ち止まってしまうほどであった。して同時に「絶妙に懐かしい」音色にも気付く。グラフィックが昔懐かしいものを意識しつつも現代風に調整してあるのと同様に、音楽もそこのところを強く意識しているみたいだ。同社の「マイティガンヴォルト」のようにFCを再現するかのような音色ではなく、現代的でありながらも絶妙にそれっぽい感じの音色であるところがイカしたところだ。
楽曲は全編通してアレンジ、というわけでは無くむしろ完全新規楽曲が主だ。しかしそのクオリティは文句をつけるところが無く完璧。手に汗握るボスの音楽からステージの情景を浮かばせるステージ曲まで捨て曲無しといった具合に、山田一法氏の本領発揮といった感じだ。また絶妙にそれっぽい音色はチップチューンで名を馳せる方々の手によるものでもあるらしい。サウンドに並々ならぬこだわりが垣間見えるのもブラスターマスターの特徴だ。サントラが出てほしいものである(個人的願望をここに書くなよ←サントラ発売が決定しました。ありがとうインティ・クリエイツ!
まとめると、つまりこういうことだ。ブラスターマスターゼロはオリジナル版の持つ評価点や爽快感はそのままに追加要素や細かい仕様変更を施し、メタファイトが持っていた魅力的な部分を更に洗練させた作品である……
だけじゃない。
そう、それだけじゃないんだ。これまで(やけにダラダラと)オリジナル版への敬意だのオリジナル版と比べてあーだこーだと話をしてきたが、今作の魅力はそれだけじゃない。今作はリメイクであると同時に完全新作でもある。原作とはまるで異なる、全く違う部分にこそブラスターマスターゼロの味があると言っても良いだろう。むしろこの原作と異なる部分にこそがブラスターマスターゼロを傑作へと押し上げているといっても過言ではない!

~原作とはまるで違う!完全新作「ブラスターマスターゼロ」の神髄~
リメイクでありながら全く違う! と啖呵を切ってしまったが、じゃあ一体何が違うのよ? というと、ギミック! ボス! 物語! この3つである(厳密にはサブウェポンの追加やマップの追加、細かい仕様変更などもあるけどそれらは原作の良さをさらに広げるものであり全く違う部分とは言い難い。音楽は全く違うけれども一応原曲のアレンジもあったので…)。
まずはギミック。今作のステージ構造自体はオリジナル版とある程度似ているが、仕掛けの変化によって同じでありながらまるで違う感覚を味わえる。ステージ3や4ではそれが顕著に見て取れる。3面ではベルトコンベアを走り扉をこじ開けたりステージ全体を動かしたりと大掛かりでダイナミックな仕掛けがあり、4面では下水を流していけなかったところに行けるようにしたりと完全新規アクションと言えるほどに一新されているのだ。無論その完成度は極めて高い。ギミックの数々はどれもこれもが奇想天外でどれもこれもが絶妙に古臭い。そのためここでも「全く新しいのにどこか懐かしい」という不思議な気分を味わうことが出来る。7面のようにステルスアクションの要素を含んだステージもあり、常にアッパーかつ新鮮な気持ちを保てるよう調整しているのも見どころだ。
次にボス。オリジナル版からほぼ一新されかつ数が膨大に増えたのでゲームを更にアツく奥深いものにしてくれている。特に大きいのは戦車で挑むことになるボスも登場したことだろう。オリジナル版ではボスとの戦いは常に生身であり、それはそれで緊迫感もありつつ迫力あるボス戦で楽しいものだったが「せっかく戦車あるんだからこれでボスとの戦いがあっても……」と思わないでも無かった。今作の戦車でのボス戦は生身とは違った駆け引きが求められ、また絵的にも迫力ある死闘が描かれ更に奥深さを深めた。
更には物語。オリジナル版はなにせFCのゲームということもあり、説明書がなければ何のために地底を探索しているかも分からず、ヒロインは最後にしか登場しないと昔感バリバリの作りであった(そこに味があると言えるんだけどね)。しかし今どきのゲームで流石にそれじゃあダメだろう! ということで今作はこの物語に力を入れている。ゲーム開始時のオープニングでは大まかに世界設定や旅立つ目的を示してくれるようになり、新しいステージに入った時には主人公が何らかの台詞を言ってくれるようになり、ボスとの対峙でもボス感に慄くようなセリフを言ってくれる。またヒロインがゲームに綿密に絡むようになったのも嬉しいところ。主人公との掛け合いであったりゲーム攻略に役立つアドバイスであったりとゲーム内での出番が大幅に多くなり、ゆえにドラマ性も強化されキャラへの愛着も湧くような作りになった。
そして、この3つの要素が組み合わさったことによりブラスターマスターゼロは演出が超強化された史上最強痛快無比のドラマチックアクションへと躍り出ることになったのである。今作は演出が凄い! 本当に凄い! プレイ中は全てが名場面と言っても過言じゃないほど、今作は見どころ溢れる作りになっているのが最大の特徴であり原作を知らなくてもこのドラマに酔いしれるために買う価値があるほどだ。例えば5面のトップビューで挑むことになるダンジョン。8bit風味のグラフィックでありながら現代的な処理を施し水面の光の反射と上に居るであろう生物の姿の影が見れる幻想的なフロアだが、先へ進んでいくうちに影の部分で異変が起こりだす。突如現れたであろう巨大生物に蹂躙される一幕が影だけで表現され、ダンジョンの最後にはその影の正体が……といったような怒涛の展開が待ち受ける。ドラマ性の演出では個人的に7面ボスを挙げたい。サイドビュー視点で戦うこのボスはなんと始め戦車を使うことが出来ない状態からスタートする。そしてこちらの攻撃は一切通用しない、まさしくどうにもならないどうしようもない絶望的な状態で戦闘が始まる。しかし、ステージ内のギミックを作動させることで別の場所へ設置していた我らの戦車がこちらへと降りてきて、そこからは形勢逆転と言わんばかりに大破壊を行うことが出来る。この、愛車がなければどうにもならない強さ、愛車登場後は雑魚になるという逆転劇の演出は本当に見事だったとしか言いようがない。これほどまでに原作のことを理解して、その上でプレイヤーの魂をアツく燃やすような演出を仕込むなんてのは普通のゲーム会社に出来るようなことじゃない。インティ・クリエイツがいかにゲームバランスや演出を考えて作っているかがよく分かるワンシーンだ。
とどめに何もかもが新規に作られた最終ステージの存在。こればかりは何を話してもネタバレになってしまうので細かい話は出来ない。しかし、「史上最強のドラマ」が君を待ち受ける、ということだけは保証しよう。押し寄せる怒涛の物語展開、何が起こるかまるで分からないステージ構造、最後に待ち受ける予想だにしないラスボス……。エンディングでは原作メタファイトプレイヤーをホロリとさせる一幕を見せ、そしてリメイクであると同時に完全新作であることを実感させるそれはこれまでの激闘が報われるものだ。最終ステージの展開はこれを見るためだけにプレイする価値があると胸を張って言えるほどだ。間違いなく2017年上半期、最もアツい2D大破壊大暴走アクションであろう。まさに超惑星戦記! な完成度を誇る今作、幸いにも価格も手ごろなものなのでプレイしてもらいたいものだ。

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2017年02月08日

今月の一本 株トレーダー瞬

今月はとりあえずこれで行ってみましょうか。それにしても……この文章開発者の人が読んだら怒りそうだよなあ……。もう色々と申し訳ないデス。
ちなみに今回は題材が題材なだけに株用語が割と出てきます。風説の流布(意図的に株価を操作する目的で虚偽の情報を流す、違法行為)が分かればたぶん問題ないっす。俺も株用語完全に理解してるわけじゃないし。
_____

DATA
発売 / 開発 :カプコン / インティ・クリエイツ
登場時期 : 2007
ジャンル : ドラマチック株アドベンチャー
機種 : DS



~この世は金と知恵~
皆さん最近どうですか?儲かってますか?「この世は金と知恵」「金は命より重い」なんて言葉が跋扈するこの世の中で生き残るにはとにもかくにも金なわけです。ではそんな金を設けるためにはどうするか?真面目に働きますか?それもまた一つの手でしょう。しかし私たちは知恵あるもの。こいつで儲けちゃいましょう……。そう、「株」でガッポリガッポリ一獲千金を狙うわけです。
しかしまー株というのはハッキリ言ってよく分からないものです。何しろ用語が分からない。次にシステムも分からない。最後にどうすれば稼げるかが分からない。ストップ高?損切り?PEA?TOPIX?押し目買い?な、なにが何やら……。ファルシのルシ以上に難解な言葉の羅列じゃあ知能指数25の自分には厳しすぎる。システムも分からん。どうやって買ってどうやって売るのが正解なのか?空気が読めない自分なんかに株が出来るものなのか…?
こういうときに頼りになるのがゲーム。やはりゲーマーなら、株の知識もゲームから仕入れたいところ。しかし次なる問題は株のゲームはどれもこれも楽しそうに見えないこと。俺は株教材がやりたいんじゃねえ!ゲームがやりたいんだ!なんだったら株なんてどうでもいいんだ!(本末転倒じゃねえか
そんな中一つだけ他とは違う覇気を放っているゲームを発見。発売「カプコン」、開発「インティ・クリエイツ」というゲーマーならその名を知ってる夢コンビが作りだした「株トレーダー瞬」である。パッケージ裏に堂々と書かれた「株ドラマ」「ドラマティックトレード」という衝撃の文字からして、他のゲームとは一味も二味も違う何かを感じる。妙な気迫というか、なんというか。果たしてこのゲームの深淵には何が潜んでいるのか……

~風説の流布?そんなことより!~
ゲームとしてはアドベンチャーパートと株パートを組み合わせたある種異質のアドベンチャーゲームになっている。チュートリアルがしっかりしていたり用語解説が細かく挿入されるのでので株知識が皆無からでも理解が進む辺りは流石の作り。アドベンチャーパートはどこまで行ってもアドベンチャーなので株パートの方を解説しよう。今作は株を題材にしたゲームでありトレードシステムが搭載されている。早い話チャートの動きを見て流れを掴み(物凄くざっくり言うと安いときに買い高いときに売る)金を稼ぎましょう、というものだ。株と聞くとどうも地味でよく分からないものを連想してしまいがちだが、かなりゲーム向けにアレンジを施し戦略力と考察力、瞬時の判断が求められるゲームとして面白いものになっている。DSの中でもタッチペンを上手く使っているのもポイント高い。しかし、今作にはそんな印象を霞ませる衝撃的な要素が搭載されていた……。そう必殺技である。トレーディングアーツ(以下TA)という名前のそれは株の戦況をがらりと変えるものである。例えば、TA「買い煽り」を使ってみるとあら不思議。画面内に「これは買いだ!」「買い!」「BUY!」などの文字で埋め尽くされ工作を行う描写がされた後、株価が上がってるじゃないですか。へーお得だねえ……ってこれはどう見ても風説の流布じゃねえかー!!滅茶苦茶だ!今作はこのように衝撃的な風説の流布もどきのTAを初めとして数多のTAが用意されている。インサイダーまでもが飛び出しもう何でもあり。株とは一体……
今作はトレードの種類が多いことも特徴の一つ。一人で気ままにトレードするソロトレードから始まり、買いだけのトレード、空売りだけのトレード、相手と対決するバーサストレードなどがある。株バトルとも言えるバーサストレードは期間内に金を多く儲けろ!だの、8連発で利益確定しろ!だの、相手の心を折れ!だの普通の条件からイカレた条件でトレードするというとんでもないものである。相手の心を折るには儲けた金額でショックを与えるとか、TAを使って心理的ショックを与えるなどがある。もうハッキリ言って滅茶苦茶すぎ。しかしこれだけ多種多様のトレードが存在しているのでトレードが全く飽きないという侮れない側面も兼ね備えている。そしてこのバーサストレードを軸に株ドラマが展開されていくわけだが……

~株ドラマ、その中身とは……~
今作の代名詞「株ドラマ」について説明していこう。今作の物語は伝説の相場師と言われるほどの男、相場一平が何らかの理由で失踪、そしてその一人息子の相場瞬が、父が人生をかけた株に魅せられ株の世界へ……といった具合のものだ。といっても、こればかりは実際に見ていただいた方がそのノリが分かりやすいだろう。そこでオープニングを見て行こう。

一平:馬鹿な……
この俺がここまで一方的に相場を読み違えるとは……
???:そう悲観することもないでしょう。
私を相手にしてここまで
戦えた人間は貴方が初めてです。
一平:信じられん……
資金量の差とか、
そんなレベルの話ではない。
全ての相場が
必ずお前の望んだ方向へ動く。
お前はいったい何なんだ?
???:そんな話どうでもいいでしょう。
それより覚えてますよね?
この戦いに負けたものは、
二度とトレードを行わない。
貴方から言い出したルールですよ。
しかも、私に勝つために随分無理な
信用買いを重ねたとか。
その負債は数十億。
相場の魔術師と言われた貴方も
これで終わりですね。
だが、貴方が生き残る道が
たった1つあります。
この私の手下となり、
相場を操るのに協力する。
それが出来るなら今回の負けを許し
負債を肩代わりしてあげましょう。
一平:……手下だと?
???:ええ、貴方の株界での名声を
利用したいのです。
何せ貴方が買った売ったの情報だけで
株価が乱高下するほどですからね。
その名声を活かせば相場を操るのも
容易い。
貴方の名声と私の資金があわされば
株に関わるものすべての生殺与奪権を
得たも同然です。
どうです?
胸が躍りませんか?
一平:俺は……俺は、株だけは裏切れない。
相場は誰のものでもない。
結果の決められた相場に
何の意味がある?
???:くだらない。
なら貴方は破産ですよ?
そんなに自分のプライドが大事ですか?
一平:プライドではない。
俺は、人生の全てを株にささげてきた。
だから、株だけは裏切りたくないんだ。
???:……愚かな。
どこまでも愚かな、
本気ですか?
一平:……
???:貴方には失望しました。
ならば今日限りで株をやめ
返せない負債を抱えて
一生震えながら生きなさい。
貴方にはそんな人生がお似合いだ。
一平:すまない、奈良崎……
すまない、瞬……
瞬……

……どうだろう。他の株ゲーとは一味も二味も違うどころか、全く異質の何かを感じないだろうか。カッコよさ2割、気恥ずかしさ2割、狂ってる感6割の衝撃のオープニングだ。つーか株で対決って。株ってそんなものだったのか!?生殺与奪権だとか人生の全てを株に捧げてきたとか「ホントかよ!?」と突っ込みたくなるような言動がいともアッサリと表現されている。なんだかヤバいぞこのゲーム。
しかしこちらのツッコミに構うことなくストーリーは進んでいく。初め、主人公瞬は一平の弟子である奈良崎さんに弟子入りし株を学んでいくことになる。おおー分かりやすい。なんだ、オープニングはちょっとはっちゃけちゃっただけでゲームはちゃんとしてるじゃないか、と思ったのもつかの間、ヒロインである桐神楽さんが登場しバーサストレードで勝負よ!と言ってくる。ば、バーサストレード?なんだそれは!?数多くルールで一対一で勝負、賭けるものはプライド、金、今後の人生まで何でもあり、ってもうそれ株じゃねー!!そしてこのバーサストレードを主軸にし、数々の株トレーダーとの戦いを経てやがて株界に潜むインサイダーや詐欺、巨悪を垣間見ることになる……といったものだ。まともに考えるとツッコミどころだらけの物語である。
バーサストレードで戦うキャラクターもとんでもない人物ばかりだ。どう見ても詐欺としか思えない行為を平然とやってのける山笛から始まり学生ながら全国のトレード大会を総なめにする蛭田、元格闘家でありながら精神の勝負を求めてトレーダーに変更した立花、果ては世の中全て波であり未来が見えると豪語する男まで現れる。主要キャラの個性の強さもさることながら、真に恐ろしいのはモブキャラ。年金全てを株に注ぎ込んでいると豪語するご年配から始まり、八百屋の仕事を放り投げ挙句の果てには手をつけてはいけない金にまで手をつけ株をするおっちゃん、騙されカモにされたことを知ると目を血走らせて「ぶ、ぶっ殺す!死んでも殺す!」という衝撃的な台詞を吐くサラリーマンなど個性がある…を通り越した個性の塊のような何かがわんさか出てくる。キャラに出会う度に「なんだよこいつ!」「どういうことだよ!」とツッコミが止まらない。
とどのつまり今作はバカゲーだ。それも登場人物から話の流れ、制作者まで含めて真剣そのものなのに笑いが発生するという正真正銘のバカゲーだったのだ!

~馬鹿なだけじゃない!これが株ドラマだ!~
今作は狂気的なノリが混在しているゲームだったわけだが、いつしかプレイヤーまでもその狂気的なノリが漂う世界に溶け込ませるほどの力を持っている。それどころか登場人物に惹かれていき自らも株の深みへとハマっていくだけの魅力が確かにある。実際今作をプレイしたプレイヤーの多くは株トレーダー瞬を単なるバカゲーと見てる人は少ない。むしろ株をエンタテイメントとして表現したたぐいまれなる作品と思っている人も多いだろう。初めは半笑いで「株ドラマってなんだよw」だの「これはどう考えても違法じゃねーかw」と言っていた自分もプレイ中盤では「株には命が宿ってる」だのなんだの口走りながらトレードに走る始末。一体株トレーダー瞬の何がそこまでプレイヤーを陶酔させるのか?
それは登場人物全員が株にどんな形であろうと真剣に向き合っているところにあると思う。上でネタにした通り出てくるやつらはどいつもこいつもろくでもない。しかし誰もが株に向き合い目を血走らせている。誰もが株に命を懸けている。それだからこそ、真面目に考えれば色々とおかしいところすら燃える展開や演出に昇華されている。狂気的なノリと書いているが、いわばそれほど登場人物は真剣なのだ。だからこそ誰もが魅力的で誰もが異様な存在感を持ち誰もがカッコよく見える。単なるモブキャラ、それにゲーム後半では市場を去ることになったキャラクターですらこうまで記憶に残るゲームなんて極僅かしかない。
ゲーム中盤で主人公瞬は突如として脈絡もなくウェイトレスに向かって「それにしても株って凄いんだ。あれは人の感情の集合体だよ。欲望で上がり、恐怖で下がる」「株は確かにギャンブルの側面もあるけど、自分がどんな人間かを知りたかったら、株をやるのも手だと思うよ」とアツく語りだすシーンがある。普通に見たら「こいつ何言ってるんだw」の一言で終わってしまうが、今作のノリにハマってしまうとその言葉すら何かカッコいいものに思えてしまう。世の中には単なるバカゲーや狙ったバカゲーは多いが、こういった真剣に作られているがゆえにバカに見え、そのバカなまっすぐさに惹かれて自分自身もゲームに陶酔させるようなゲームは意外と少ない。これこそが株ドラマの神髄である。
そしてこの陶酔に上手いこと作用しているのが先に挙げたトレードシステム。ただ単に儲けるだけではなく己のプライドや人生をかけて株で戦うとかwなんてことは口が裂けても言えない。言えるわけないじゃないか!こうまで登場人物たちの純粋性や真剣性を見せられてはトレードの方もいつしかどうやって勝つか、トレーディングアーツをどう使うか、などと真剣に考え、負けた時には何故負けたのかを真剣に考えさせるほどの力を株トレーダー瞬は持っている。シナリオで対決することになるトレーダーはおかしいやつらばっかりだがハッキリ言ってめちゃ強い。だからこそマジの真剣勝負になりそこに数々のドラマが生まれている。ドラマティックトレードとはまさにこの真剣勝負のことを指していたのだ。そしてこうまで没頭させるほど戦略性とやり込み性のあるシステムを作り上げたインティ・クリエイツにはもう脱帽ものである。風説の流布なんてどうだってよくいつしか真顔で買い煽りを行っている自分がいることに気が付くだろう……
メインシナリオを追うだけなら株トレーダー瞬はそこまで重厚な物語ではない(10時間ほどでクリアできるから)。しかし数々のトレーダーとの戦いやサブイベント、周回プレイや銘柄コンプリートなどのやり込み要素にも目を向けることでいつしか他にない魅力を持った濃密な物語へと姿を変えている。無論メインシナリオもドラマ性溢れるプレイヤーを惹き込む素晴らしいものだ。優れた演出を支えるシリアスな音楽もまた質の高いものである。一度で遊びつくせるものでなく何度も遊ぶことが出来るアドベンチャーへと進化を遂げたその手法は、埋もれさせるにはあまりにももったいない。バ株ゲーとしての破壊力に酔いしれるのも、質の良い戦略系ゲームを楽しむのもどちらも楽しい、一粒で2度おいしい油断ならないゲームである。「自分がどんな人間かを知りたかったら株トレーダー瞬をやるのも手だと思うよ」と心から思う。興味を持った方は是非とも一度触れてみてほしい。

posted by グレイ at 12:00| Comment(0) | 今月の一本 | 更新情報をチェックする

2017年01月31日

今月の一本 メタルスラッグ3

今月も終わろうとしている中、今月の一本はこいつでございやす。形だけでもとりあえずノーコンテニュークリア出来て良かったよホント。中身の方はいつものことながらなーんか同じことしか言って無いような気もするけど……。破壊だの爆破だの。他に語彙は無いのかよって感じだけど、まあいいや。いや良くないが。
そんなグダ話はさておいて、天下の任天堂が今年送り出す新ハード「ニンテンドースイッチ」にメタルスラッグ3も完全移植が登場しちゃいます。気が向いた方は買ってみてはいかがでしょうカ。
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DATA
発売 / 開発 :SNK
登場時期 : 2000(AC:他機種に関しては割愛)
ジャンル : 2DアクションSTG
機種 : AC(MVS)/NEOGEO/PS2/PS3/PSVITA/PS4/Xbox/PSP(メタスラコンプリート)/Wii(VC)/XB360(XBLA)/iOS/Android/Steam


~マイナー界のメジャー~
メタルスラッグシリーズはSNKを代表する2DアクションSTG。非常に名の知れたゲームであり、ゲーマーないしゲーオタなら名前やその噂を聞いたことはあるレベルの作品である。緻密なドット絵、小気味良い操作性、撃ちまくりの爽快感などなどアクションの楽しさが詰め込まれたゲームだ。現在は2Dアクションの新作こそ出ていないものの過去作が各ハードで気軽にプレイしやすい環境にある、などかなり恵まれたシリーズでもあったりする。
今回はシリーズ最高傑作とも言われる3について色々アレコレ話してみよう。メタルスラッグ3はメタスラシリーズの4作品目(初代2Xと出ている)であり、初代2から続く物語のある種完結編である(エンディングに銃を捨てる描写があるし)。今作を最後にメタスラを送り出したSNKはSNKプレイモアへと変わった。キャッチコピーは「史上最大の激闘」。古典的な射撃系2Dアクションゲームを、狂気を感じるほどのドット絵と徹底したプレイヤーへの配慮でアクションSTGの最高峰へと昇華させたその見事な手法は今見てもなお色あせることがない。

~火力第一主義~
メタルスラッグ3の長所といえばとにもかくにもまず火力。特殊武器を手に入れた瞬間からトリガーハッピージェノサイドモードに移行し敵を思うがままに爆殺!、スラッグ(乗り物)に乗った瞬間に無限の力を得たかのように錯覚し「オラオラー!!どいつもこいつも吹っ飛べや―!!」とばかりにバルカンを乱射し雑魚兵を蹴散らしていく!これこそが今作の最大の魅力である。大破壊大暴走大殺戮の爽快感では今作の右に出るものなどほとんどいない。そしてこの火力を演出するための表現もまた凄い。メタスラといえば緻密でぬるぬると動くドット絵が特徴だがこれが火力に関わっている。爆発のド派手さも魅力的だがそれ以上に凄いのは死に際のドット絵だ。雑魚敵のモーデン兵を例にとっても、血反吐を吐いたり血飛沫が飛んだりバラバラに砕け散ったり黒こげになったり火が付いたままもだえ苦しんだりと死に際のパターンが偏執的なまでに極めて多い。生物系の敵も液体をぶちまけながら派手に飛散していくなどグロテスクで悲惨。これらの死に際パターンが途切れることなく緻密に動きまわるのだから爽快感を演出しないわけがない。画面の密度が圧倒的に高く、一秒一秒破壊の楽しさを味わえるとんでもないものだ。
また火力が高いのは自分だけではない。敵もまた高火力、つまりは死に直結する攻撃でこちらを殺しにかかってくる。メタスラシリーズは一撃即死のゲームなので特有のシビアさがあるが、それゆえに敵の攻撃の一つ一つが恐怖に感じられる。そして敵の火力を演出するのが自機であるプレイヤーキャラの死に際ドット絵である。ある種上で挙げたモーデン兵よりも悲惨な死に方を遂げ、プレイ中は思わず「うわぁああぁ!!」なんていう情けない声まで挙げてしまうほどに凄まじい。撃たれたりして血飛沫飛ばしたりするのはもちろんのこと、ゾンビになって腐って死ぬ、食人植物に食われて死ぬ、植物に寄生されわさわさとしモルボルのようになって死ぬ、岩に潰される、焼き焦げる、腹が弾け飛ぶ、消化液喰らって溶かされるなどもはや何でもあり。死に際の悲鳴もこの火力の演出に一役買っている。
つまり今作は火力VS火力といった趣の作品である。プレイヤーはでたらめに強いが敵もまたでたらめに強く爆発に次ぐ爆発、破壊に次ぐ破壊のオンパレードでまさにお祭り騒ぎ。そしてこのお祭り感を出しているのが巧みな特殊武器の配置やスラッグの配置。一見敵の火力が凄まじく「こんなところどうすればいいんだ…」というところには必ずと言っていいほど特殊武器やスラッグが配置されている。そのため難しそうに見えるが実際そこまで難しくは無く、破壊の爽快感を味わえるという構図になっているのだ。特殊武器は追尾弾や火炎放射器、貫通レーザーガンやショットガンなど見た目からも分かりやすい強さを誇り、ハンドガンではちょっと硬い敵も一発で爆殺が可能。スラッグもタイトルになるだけあって極めて強く、戦車にのって撃ちまくり、ラクダに乗って砂漠で大暴れ、戦闘機に乗り込み高速飛行の中ぶち壊しまくりと触れて楽しい見て楽しいを演出している。非常に丁寧に作られた作品だ。まさにキャッチコピーの「史上最大の激闘」に恥じない、どころか数々のゲームの中でも最高峰の「激闘」を味わえる作品である。

~ドラマチック大破壊アクション~
メタスラシリーズといえば先にも述べたが鬼のように緻密なドット絵。それが生き生きと動きアニメーションを取るのが見どころの一つであるが、それによるドラマ性の高さもまた今作の魅力だろう。メタスラシリーズでは物語を文字を使わず、絵で勝負している作品。キャラクターのドット絵の演技だけで伝わるそれは独特の味と趣のあるもの。そしてその絵が2Dの極致とも言えるものなのだから物語もまた魅力的なものだ。3はこの表現が極めて上手くプレイヤーがグイグイと引き込まれるようなものになっている。2面開幕の研究員が逃げ出すシーンを見せておいての新敵、ゾンビの襲来などから始まりステージ中の物語表現は見どころがたくさん。談笑しているモーデン兵に心和ませるのもまた一興。
そしてこのドラマ性を最大限に見せつけたのが最終ミッションであるステージ5。シリーズ初の空中戦であり強制スクロールの中繰り広げられる激闘を潜り抜け、機関銃を駆使してボスとの対決に勝利した!激しい死闘は終わりを告げた…と思いきや!、ボスはなんと火星人(マーズピープル)だった!?そしてモーデンと今まで操作していたプレイヤーをかっさらい宇宙へ。そしてさらわれたプレイヤーを助けるべく現れた仲間が操作キャラとなり、モーデン兵と協力してマーズピープルを倒しにロケットで宇宙へ……と凄まじくアツいものになっている。特にプレイ中に主人公交代なんて前代未聞だ。それすらも、高度な物語演出へと昇華されてしまっている。すげえ。凄すぎる。
宇宙へ飛び立った後も怒涛の展開は止まることは無い。敵のUFO内に潜入して火星人との大激闘、モーデン元帥の救出、そして敵の親玉を撃破してもなお戦いは終わらない。今度はクローンが押し寄せる。まさかの倒したはずの5面中ボス(アレン軍曹)も駆けつけ大激戦。培養槽に囚われた仲間を救いだし、後ろから追いかけてくるゾンビクローンから逃げつつUFOから脱出した先に待つ圧倒的な何か……。アクションでは物語性はそこまで重要視されないものだが、メタスラ3はこのようにドラマ面も非常に楽しめる。「史上最大の激闘」とは単に爆撃描写だけでなくこういった物語面から見てもそういえるのだ。

~高難易度は幻想?実は意外と難しくない~
さて、今まではある種エンタテイメント的な側面からメタスラ3を捉えてその魅力を見てきた。ではゲーム的な側面はどうか?と言う話になるが、メタスラは初代の時点で動きの小気味良さ、つまりはアクションの面白さに関しては完成していたわけである。そして3でもその面白さに関してはその完成度の高い状態を維持している。更に新たに加わったルート分岐によりそこから深みを出してきたのである。ルート分岐により単に1周クリアするだけにとどまらない奥深さを加え、難易度の高低を考慮して攻略ルートを決めるなど初心者から上級者まで飽きさせることのないものに仕上げたのである。ルート分岐は視覚的な変化もアリアリで普段と違うルートを通れば新鮮な気分になる。描かれる世界観も、例えば4面を例にとると腐海ルートのように蛆虫と王蟲がわんさか出てくるグロテスクなものからあまりにも重火器超火力が凄い旧日本軍ルート、押し寄せる食人植物を焼き殺しつつ進む山登りルート、ミイラが次々と出てくるその名もミイラルート、といった具合にバラエティ豊かで飽きさせることは無い。ルート分岐を加えたことでメタスラは更に完成度を高めたのだ。
ゲーム的な側面といえば難易度。メタスラシリーズは一発即死なので特有のシビアさがあるのは先に述べた通り。メタスラ3は適切な難易度調整を行っているが、流石にシリーズを3作(実際には4作)重ねてしまったので難易度の方もかなり上がっている。そのためアドリブでどうこうなる難易度では無くなってしまっていることは確かだ。しかししっかりとメタスラ3に向き合えば徹底して難易度緩和措置があらゆるところに設けられていることに気が付くだろう。難所にはスラッグが置かれているし、特殊武器は途中で途切れて火力を失うことの無いような適切な配慮がなされている。ボスの攻撃も前兆がド派手なのでパターン化を行いやすい。パターンを外さなければ生存は保証されるのでそこまでべらぼうに高い難易度なわけではないのだ。まあ、運が悪いと負けるしかない悪の化身「ソル・デ・ロカ」なんてのもいるが、ロカ様も黄弾を除けば基本的にこちらを死に至らしめる攻撃はしてこない。こちらの攻撃力に関しても捕虜が常時出るので困ることも無い。ノーミスを考えるなら地獄だが、3機の間にクリアすることだけを考えるのならそこまでロカ様も強いわけではないのだ。こういった徹底した配慮のおかげでパターンの中で大暴れ出来る許容の広さが存在している。

~職人魂万歳!!~
長々とメタスラ3について語ってみたが、メタスラの面白さはこうした作り込みの細かさを体感していくところにある。それは、見た瞬間に分かるほどの緻密に書き込まれたドット絵であったり、そのドット絵で雑魚敵から超巨大なボスまでもが生き生きと動く描写であったり、そのドット絵で逐一過激に描写される大破壊大暴走大殺戮の爽快感であったり、コミカルでありながらグロテスクで惨たらしい死に際であったり、適切に置かれた武器配置であったり、ルート分岐による攻略の奥深さであったり、怒涛の勢いで展開される物語であったり、ステージの至る所に隠された稼ぎ要素であったり、放置している時にプレイヤーキャラが取る見ていて和む行動であったり、ドラマチックな物語を彩り破壊の楽しさを更に底上げする音楽とSEであったりと、とにかく膨大なほどの要素がメタスラ3には詰め込まれている。まさしく職人の手によって手掛けられた代物だ。単にエンディング1回見て終わり、で満足してしまうゲームでは決してない。遊ぶたびに何らかの発見があるゲームだ。その職人魂を発見していくごとに更にメタスラへの思いを強め、作品に陶酔していく。メタスラ3はそんな職人魂全開の作品である。こうまで細部まで徹底的に作り込まれたゲームはそうそうない。決して色あせることのない、2DアクションSTGの一つの到達点がここにある。既にプレイ済みの人も、難易度の高さに投げ出してしまった人も、あるいはメタスラ未プレイの人もプレイしてみて、ぜひともその圧倒的なまでの作り込みの凄まじさを体感してもらいたい。そこで味わえるのは、決して他のゲームでは代用出来ることのない純度の高いものなのだから。

posted by グレイ at 00:00| Comment(0) | 今月の一本 | 更新情報をチェックする