2018年05月31日

今月の一本 斑鳩

今月の一本、アトミックRunGunjumpGun編は後半ステージの凶悪な難易度に太刀打ち出来ず悪印象すら芽生え始めてきたので没に…。代わりにコレですけど超特急で書いたんでいつも以上に雑です。システム面についてかなり端折ってるので、別のサイトさんとか見て頂けるといいかと思います(本末転倒じゃねえか)。果たしてUBUSUNAは本当に発売されるのだろうか?
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DATA
発売 / 開発 :トレジャー / トレジャー、グレフ
登場時期 : 2001(AC)/2003(DC)/2008(XBLA)/2012(android)/2013(NESiCA)/2014(Steam)/2018(NS)
ジャンル : STG
機種 : AC(NAOMI)/DC/XBLA/android/NESiCA/Steam/NS


~今回は別の角度から~
先日、ニンテンドースイッチにて伝説の名作STG「斑鳩」が配信された。ProjectRSシリーズ2作目であり、元は2001年(!)にアーケードにて登場したゲームだ。もうすぐ発売して20年にもなろうというのに、古臭さを一切感じさせない。驚異的な完成度を誇るまさに孤高の名作である。
何故斑鳩が伝説の作品なのか?何がそこまで面白いのか?それには独自のシステムを挙げても良いだろう。属性システムによる攻防と戦略性、緻密に計算された敵配置にギミックが素晴らしい。ソリッド色あるグラフィックも良いだろう。2001年のゲームとしては、というレベルではなく一つの作品として極めて美しい。HD対応によりその美しさは更に洗練されている。ゲーム進行とシンクロさせた音楽、そこから紡がれる演出を語っても良い。しかし、斑鳩に関しては方々でこれらのことが語られているため自分が穿り返してあれやこれや言っても同じことの繰り返しになってしまうだろう。
そこで今回は少し違った目線で斑鳩について書いてみよう。斑鳩が傑作たらしめているのは、斑鳩独自の要素が優れているだけではない。STG中のSTGだからである。もっと言えば、これまでSTGというジャンルが積み重ねてきた、血脈を色濃く受け継いだゲームと言える。前作レイディアントシルバーガンでも数々のオマージュが見られたが今作もパロディウスもビックリなオマージュ溢れるSTGなのである。オマージュというよりもむしろ伝統芸と言っても良いかもしれない。

~STGが受け継いできたものとは?~
歴代のSTGが受け継いできたもの…そして色濃く見られるもの…。細かく挙げればキリがないので、ここでは大きく4つを挙げさせていただこう。
①ポエム
②縦シューであり横シュー
③パズル
④狙い撃ち
他にも苦労してクリアしたのに自爆エンドとか、分からなそうでなんとなく分かってくるスコアシステムなどもあるが、今回は割愛。正直「ハァ?」という声が飛んできそうだが黙殺する。とりあえず順に解説していこう。

①ポエム
ポエム、Poem、詩、そうポエム。STGはポエムでありポエムはSTGである。それ故に、斑鳩はポエムである……。……これじゃダメっすか。そうっすか。
演出を重視するタイトーのSTGに多く見られたのだが、サントラのライナーノーツにてポエム及びポエミーな表現が多く、そしてそれがゲーム及びプレイヤーの心に深くハマり印象を色濃くしている。STGはストーリー表現などどういうわけかポエミーな表現が多くその深みにハマる人もいたのであった。レイクライシスなどはまさしくポエムSTGの代表例であり、最近でも(出来は極めてアレだったが)RXN-雷神-でもポエム感あるテーマ曲を使用しており印象的であった。
斑鳩もまさにこのポエムの伝統を受け継ぎ、それを洗練させもはやポエムそのものとなってしまった感もある。ゲームを開始していきなり
「我、生きずして死すこと無し。理想の器、満つらざるとも屈せず。これ、後悔とともに死すこと無し」
という文章が表示される。いきなりポエムで、しかも妙に重々しい。満つらざるって何よ?というプレイヤーの疑問に答えることなくゲームは進行していく。その後もステージテロップとして各ステージにポエムが挿入されていく。チャプター2では
「自らの意志が、強固であるほど様々な試練に苛まれるものだ。無論、試練を目前に避ける事も出来れば、逃げる事も出来る。だが、試練の真意は、そんな己の心を克服することにある」
チャプター3では
「浮き世に絶対などというものは無く、理不尽な思いを胸にして途方にくれる時もある。それを乗り越える為には、確固たる信念と洞察、そして幾分かの行動力を持つ必要がある」
といった具合だ。果てにはラスボスを倒しエンディングかと思ったらとどめにポエムである。冷静に見れば、非常に奇妙な演出だ。
しかし斑鳩をプレイしていくとこれらのメッセージが強く印象に残るようになっていく。これらのメッセージはゲーム内でのストーリー表現の一環でもあるがプレイヤーの心情とも強く重なるものでもある。斑鳩はかなり難しいゲームであり、一方でクリアに求められるものは諦めない心のみというゲームでもある。心が折れそうになったとき、これらのポエムの数々が胸に突き刺さる。そしていつしかポエムに陶酔し斑鳩に陶酔していくようになるのだ! この! プレイヤーが! ゲームとシンクロし! 一体になっていく感覚ッ! これこそが! ポエムSTGの魅力に他ならないッ!! クリアした時には「我、生きずして…」という文章を暗唱出来るようになっているだろう。それほどにこちらに訴えかけてくるものが多く大きい作品なのだ。ポエムの魅せ方として自機をクローズアップし音楽の展開と完全にシンクロさせる演出も見逃せない。

②縦シューであり横シュー
斑鳩は縦画面縦スクロールSTGである。つまりは縦シューであることはもう自明であろう。
対して横シューは横画面横スクロールSTGである。一見すると純粋な縦シューの斑鳩とは何一つ縁が無さそうだが、横シューの特性に目を向けてみよう。横シューでは高速弾切り返しや弾幕回避といった要素よりかはむしろ地形をかいくぐる戦略性に長けるものが多い。
斑鳩は縦シューであり縦シューの特性もありながら、しかし地形の影響が大きく解法には横シュー的な発想や頭の使い方が求められる場面も多い。まさにSTG界のハイブリッドSTGなのである。2面3面4面でのその奇想天外なステージ構造の数々で体感できる。3面のシャッター地帯や4面ラフレシア弾幕地帯はまさしく今作屈指の名場面だ。

③パズル
STGを雑に大別するなら一つはバリバリ撃ってガンガン進む爽快感重視のSTGである。もう一つは知識を蓄えリアルタイムに計算を行いパズルを解いていくような思考力重視のSTGである。後者は主にアイレムが得意としていたタイプでもある。
ProjectRSシリーズは後者に分類され、斑鳩はとりわけパズル要素が強い。地形を解決していくというパズル要素に加えて属性の使い分け、更には今作の肝でもあるチェインシステムがパズル性を高めている。計算された敵配置をどう紐解いていくか?という点で今作の右に出る者はいない。解き方に手間取ったり間違えたりした場合待ち受けるのは死のみである。敵配置の暗記とパターン化が他のSTGよりも効果的であるが、血がにじむような努力を必要とされる事実もそこに存在していることは否定できない。
とはいえ、クリアを目指すだけなら極限のパズルとはならず自分に出来る限りの稼ぎ(解けるパズルの構築)と生存優先の行動で十分なのがポイントだ。難しいが、不可能ではないタイプの難しさなので、点滴が雨だれを穿つようじっくりと取り組んでもらいたい。

④狙い撃ち
最初期のSTGは様々な制約からちまちまと狙い撃つ快感を重視した作品が多かった。スペースインベーダーに始まりギャラガ、ゼビウスなどなど……。その後扇形に広がるショットの登場や卓越したプログラミング技術及びハード、基板性能の向上による大破壊感の演出が可能となったこととこれが好評を博したこともあり、ちまちました面白さの狙い撃ちの文化は失われていこうとしていた……。……わけでは実際はなく狙い撃ちの重要性はしっかりと残っていったのだが見かけの上ではかなり狙い撃つということが分かりにくくなってしまった。
そんな背景がありつつ登場した斑鳩は驚くほどに狙い撃ちを強めた作りである。メインショットは自機正面のみであり、さらに単発狙い撃ちを要求される側面も多い。チェインを真剣につなごうとするならば尚のことだろう。しかしこの攻撃をかいくぐり狙い撃ちチェインをつなげていくという行為が非常に面白いのだ。STGの原点ともいえる面白さが斑鳩には色濃く投影されている。
また意外にも狙い撃ちを無理やり強要させる場面は存在していないのがポイント高い。自分の実力と比較してバリバリ破壊しまくっても無問題なのである(スコアエクステンドや撃ち返し弾との絡みもあるので一概には言えないところもあるけど)。ストイックに見えるが多様な遊び方が許容されること、これもまた斑鳩の魅力だ。

以上、大きく4つを見てきた。こうしてみると一見異質でありSTGの突然変異とも取れる今作だがその中身は極めてSTGしていることがよく分かる。そして多様な魅力に満ち溢れている。ポエムに陶酔するのも良し、バリバリ敵を破壊しても良し、狙い撃ちを極めんとしても良し、パズルに思いをはせ、地形に悶絶するのも良し、グラフィックや各部の演出、音楽も文句なしの一級品で美しくカッコいい。
斑鳩は歴代のSTGが受け継いできた数々のものをガツンと含んだ色あせることのない傑作である。今からでもその伝説に触れるのは遅くはない。

~おまけ:斑鳩の魂を受け継いだ、受け継ぎそうなSTG~
「これで…良かったのか?」「大丈夫…何時かきっと、分かり合える日が来る」「そして、遠い未来へ・・・命は受け継がれるから」
とは斑鳩とどめのポエムだが斑鳩誕生から幾年、その魂を(勝手に?)受け継いだSTGも登場し更には受け継ぎそうなSTGも登場しそうな今日この頃。今回はその2作に勝手に思いを馳せておこう。

・魂を(勝手に?)受け継いだSTG「サジタリウス・エー・スター」(DS/2014/ラックプラス)
見た目はシルバーガン、中身は斑鳩の影響が色濃く見えるまさしく「ありえない、何かの間違いではないのか?」なSTGである(グラVじゃん)。縦シューでありながら地形の制約や狭所かいくぐりの要素もバッチリ押さえて横シュー成分も完璧。チェーンシステムによる凄まじいパズル性、極限の狙い撃ち(一刀両断)などもはや斑鳩の生き写しじゃないのか?とすら思えてくる。過去のSTGのオマージュも完備し、キャッチコピーまでもなんか似ている始末である。難度の高さも斑鳩譲りなので相当の鍛錬が必要になるが、確固たる信念と洞察、そして幾分かの行動力があれば確実にクリアできるSTGでもある。斑鳩が気に入ったのなら文句なくおススメだ。

・魂を受け継ぎそうなSTG「UBUSUNA ウブスナ」(PS4/20XX/M2)
斑鳩の制作に大きくかかわった井内ひろし氏、現在M2にいる氏が制作を手掛けている作品、それがUBUSUNAである。井内ひろし氏制作、そしてUBUSUNAという文字はProjectRSプレイヤーはハッとするものが既にあるだろう。中身に関しては現時点でほぼ全てが不明だが、井内ひろしにUBUSUNAとくればこれ以上いうことはないだろう。
……のだが井内さんの体調面が不安であること、M2自身もいろいろ手広くやり始めている(やり過ぎ?)ことからホントに出るかどうかあやふやな面が大きい。一応井内さんは昨年とあるゲームを手掛けられていたのだが、不安はやはり大きい。我々に出来ることは納得がいくまで作り込んでもらうことを待つだけなのだが、発表からもう数年。そろそろ追加の情報がほしいところだ。
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2018年03月31日

今月の一本 Enter the Gungeon

今月はこれです。全キャラやり切って無いけれど、過去は始末出来たので何とか間に合いましたか。相も変わらず個人的感想を含んでるので全体的に破綻してふわふわした文章になってます。いつものことといえばいつものことですけど。ホントすみません……。
ゲームとしてはチクチクと進んでいくゲームが好きなら間違いなくハマることだと思います。スイッチのアクション、シューティングの中でもかなりのオススメ作品でございます。他機種(PC含む)でも出来るので是非ともプレイを。
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DATA
発売 / 開発 :Devolver Digital/ Dodge Roll
登場時期 : 2016/2017
ジャンル : 弾幕ローグライクアクションシューティング
機種 : Win/PS4/XboxOne/Nintendo Switch

~譲れないものがそこにはある~

「Enter the Gungeon」は銃のゲームである。もっと言うなら銃の銃による銃のためのゲームである。いきなり訳のわからない言葉から始めてしまったが、実際そうなのだから仕方がない。
攻撃手段が銃なのは、まあアクションゲームならよくある話だ。が、その武器となる銃の数は滅茶苦茶に多く(容易に100を超える!)、敵は弾丸をモチーフにしたもので彼らもハンドガンからライフルなど銃をぶっ放してくる。ゲームの目的も「過去を始末する銃」を手に入れることであり、体力ゲージも弾丸を組み合わせてハートにしたものである。果てには通貨まで弾丸(薬莢)であり足りない時に買い物しようとすると「財布が弾切れみたいだぜ?」と言われたりもする。そもそも「ダンジョン」ではなく「ガンジョン」である。
ゲームを構成する要素のほぼ全てが銃に関係していて何もかもが銃まみれである。いったい何がどうしてここまで銃まみれになったのか、それは分からない。
ただ一つ確実に言えることは、開発した「Dodge Roll」にとってこの銃の要素は譲れないもの、こだわりであっただろうということだ。タイトーの「ガンフロンティア」みたいでイカすじゃないか!
今作はそんな統一された意志を感じさせるキュートかつハードコアなアクションゲームである。こだわりをひしひしと感じつつ持ってる銃をぶっ放せ!バキューン!

~弾幕STG+ローグライク=ハードコアアクション~
今作はツインスティック系ローグライクアクションSTGである、と書くと「The binding of isacc(アイザックの伝説)シリーズ」が脳裏によぎるが似ているようでかなり違う。
入るたびに構造が変わる不思議のダンジョンならぬガンジョンへ潜りボスを倒しつつ踏破するのが目的であり、操作としては移動、ショット、アクション、アイテム使用、ボム(ブランク)の使用、リロード、武器チェンジ、アイテムチェンジ、ドッジロール(緊急回避)、狙い、マップ表示を適宜使っていくのが主な基本で、例としてNS版では左スティックで移動、右スティックで狙い、Rでショット、ZRでアイテム使用、LまたはAでドッジロール、ZLでマップ表示、Yでリロード、Xで武器チェンジ、Bでアクション(店でアイテム買ったり宝箱を開けたり)、方向上でアイテムチェンジ(二つ持っている場合)、右スティックと左スティック同時押し込みでブランクの使用といった具合だ(コンフィグがあるので好きなようにカスタマイズしてよし)。
動作がかなり多いのでアクションゲームとしては慣れるまでそれなりに複雑かもしれない。基本的には移動と狙いとショットとドッジロールさえ覚えれば問題はなく、チュートリアルが極めて丁寧なのですんなりと入ることができるだろう。
特徴としてはツインスティック系ではショットと狙いが独立していることだ。また武器が銃なのでリロードを挟む必要があるものが多く、弾切れという事態も往々にしてよく起こる。撃ちまくりSTGであることは事実だが、むしろ的確な狙撃による銃の残弾維持、リソース管理が重要になる。「ヒット&アウェイ」を強く意識した切れ味ある戦闘が今作の醍醐味だろう。
さていきなりだが今作の難易度はかなり高い。その理由としてはシューティングでありローグライクだからである。序盤のうちから割と熾烈な弾幕が飛び交い奥に進むにつれてその激しさを増していく。ここにローグライク要素の「入るたびに構造変化」「落ちているアイテム、宝箱、ショップの品ぞろえの変化」が加わりボスも変わったりするので攻略のとっかかりが掴みにくい。さらにバランス面において考えて動かないと残弾やらお金やら宝箱を開けるカギやらがかなりカツカツになりやすい調整である。根本的な難易度が高めで、そこにランダム要素が加わるというのが結構な曲者だ。
しかしやり込むことでじわじわと先に進めるようになる作りが非常に上手い。今作はローグライクである以上にアクションシューティングである。すなわち、敵の性質を覚えいかに対処していくかを考えることがカギとなる。その点に注目するとドッジロールを効果的に使っていくことが重要なことに気が付くはずだ。ドッジロールは発動中無敵であり、これを利用して弾幕を避けるのではなく飛び越えるとダメージを受けにくい。弾と弾のわずかな隙間を抜ける必要はなく(というよりも今作は当たり判定が割と大き目なのでそうするとより危険である)、才能と気合任せではなく理詰めと経験でしっかり避けられるものになっている辺りは今作がSTGとして極めて優れているという証拠だ。また弾速は遅めで見て認識してから回避は十分に可能、無謀な弾幕に見えても抜け道がるなどやればやるほどにしっかり手に残るものが確かにある。また敵との戦闘にしても机を盾にしたり柱など遮蔽物を上手く使うことでより安定性を増すことができる。戦闘中に考えることは意外と多く、どんな方法でも勝てば全て解決する作りなので、知れば知るほどに先へ進めるようになるだろう。
ゲーム側からもこのやればやるほどに先へ進めるようになることを後押ししてくれるのもポイント。ボスを撃破することでヘゲモニークレジットなるものが手に入り、これは死んだらリセットされるローグライク要素の中で唯一その枠の外にあるリセットされず蓄積されるアイテムである。拠点にてこれを一定量支払うことでアイテムがアンロックされるようになり、これで強力な銃やらアイテムやらが手に入りやすくなる。またガンジョン攻略中に囚われているキャラを救出すると拠点にてこれまた強力アイテムをアンロックしてくれたり、冒険中的当てゲームを主催して結果に応じてアイテムをくれたり、ガンジョン内にショップを立ち上げたりと様々な方法でガンジョン攻略を後押ししてくれる。やり込めばやり込むほどに強力な銃をぶっ放して先へ進めたり、通常店以外の店を利用して更にプレイの安定性を高めることができる。ジャンルがジャンルでありストイックな面もかなり多いものの、その一方でこうしたように慈悲ある作りでもあるのだ。
ローグライクとしてのバランスも破綻しておらず、知識が付けばつくほどに安定してプレイを楽しめるようになるのも見逃せないところ。「必ず階層ごとに宝箱が二つ、ショップが一つある」ということを知っていればリソース管理をうまく考えることによりリターンが返ってくる可能性も高くなる。銃の引きなど運の絡む要素も多いがそれ以上にリソース管理や銃の使い分けが重要である。
こうしたポイントが分かってくるともうガンジョン中毒状態である。あんな銃やこんな銃との出会い!敵の熾烈な弾幕パターンを読み切りドッジロールでパパパッと回避!ボスに向かってロケットランチャーをぶち込んだり!あるいは雑魚にぶち込んだり……!。特に銃の数が非常に多いことから毎回違う戦略をその場で考える必要があるのが面白く、銃を引き「この銃は雑魚殲滅用にしよう」「これはボスで役立ちそうだ」と考えていくのが楽しくて仕方がない。アホほど強い銃を拾って無双しまくれる時もあればリソースが尽き果て初期銃でひーひー言いながらそのやられるまでの大往生を楽しんだり。今作もまた1000回遊べるローグライクゲームであると断言できる面白さを持っているのだ。

~ポップでキュートな血みどろ殺劇~
弾幕に加えてローグライクでもあるので弩級のハードコアゲームの印象が強い今作だが見た目は非常にキュートな趣である。敵は弾丸をモチーフにしたガンデッド教団。ブレット族はテコテコと歩いて銃を撃ってきて何とも可愛らしい。やられ際にはかわいい悲鳴をあげるのも印象的だ。プニョと呼ばれるスライムも実にプニョプニョしていてうにうにしている。この雑魚敵の可愛らしさにより楽しげな雰囲気が倍増している。雑魚がかわいい一方でボスは結構なボス感溢れたものが多いが、その中でも一瞬見せるキュートな部分がたまらない。双子の弾丸兄弟は片割れが倒れるとムキーと赤くなり攻撃が(ちょっと)激しくなる。プニョの王たるキングプニョは弾幕でプニョをモチーフにしたものをばらまいて来たり。キングブレットを倒した時に大臣が生きているとオウオウと泣いている大臣が見れたり、かと思いきや次の階層のボス戦で別のボスの側近に寝返っていたり……。見ているだけでも楽しい場面の連続である。
一方かわいい中に潜む残虐性も結構なもので、ボスのメデューサを倒すと石化するのだがその石化したメデューサに銃を撃つと粉々になったり。あるボスでは死体がカラスに食われたりなど「ひっ!」となる場面もちらほらある。雑魚も雑魚で盛大にゲロを吐いてくる奴がいたりと油断ならないぞ!

~あんなものからこんなものまで登場!~
今作は一にも二にも銃であり、銃が主役のゲームであり、登場する銃はやけくそ気味に多い。無論銃ごとに特徴が異なるので如何にその特徴を見極め使っていくかがカギとなる。銃の性能をより多く把握するのが攻略のとっかかりだ。火力は高いが弾切れしやすい、連射が効くが火力が低い、安定した性能だが弾数少な目、非常に強いがリーチがない、チャージ式なのか、それともセミオート連射か、はたまたレーザーか、ショットガンなのか、ハンドガンなのか、ライフルなのか、トンプソンなのか、属性が付いているのかなど性能だけを見ても本当に多種多様である。好みが分かれるとは思うが、これらの銃で使えない銃の類がほとんどないというのもすごい話である。
しかし銃で最もすごいのは性能ではなくネタの多彩さにあるだろう。ハンドガン、レーザーガン、ショットガン、ロケットランチャー、ミサイルなどの種類も多いがその一方で、平然とロックマンのロックバスターのような銃が出てきたり、水鉄砲も何事もないように登場、魚をタルから発射する銃があるかと思いきや火炎弾を発射するフレイムハンドなんてものまで、そのうえ悪魔の槍やらソードも飛び交い、亀の甲羅を飛ばす銃があれば、働き蜂を生み出す蜂の巣があるかと思いきや、石を撃つパチンコも堂々と登場。しまいにはギターやら小文字のrやらホームランバットまでもが銃として使用可能である。もはやこれは銃なのか?いや絶対これは銃じゃないだろ!とこちらの突っ込みを全部無視して「俺は銃だ」と主張しながら次々と出てくる。トンデモ銃から見た目からしてヘボそうな銃まで様々だが一貫しているのは「使えない銃はない」ということであり、見るからに弱そうな魚を発射する銃からパチンコまで実践で活躍してくれる。特にパチンコは非常に高火力で使い勝手の良い銃の一つだろう。このトンデモ銃を軽快に使いこなしてくのも今作の魅力である。そして図鑑の文章も非常に面白いものになっており奥深い。ローカライズの質も盤石なものである。これを楽しみにガンジョンに潜るのもまた一興だ。
posted by グレイ at 00:00| Comment(0) | 今月の一本 | 更新情報をチェックする

2018年01月31日

今月の一本 The end is nigh

今月これです。なんかもう色々ギリギリですみません……
んでもって、微妙なネタバレを含んでいるのであんま知りたないわと言う人はあんま見ない方が良いかもです。ゲーム自体は超面白で超オススメなんですけど、スイッチ版が現在日本じゃ出てないんで、出てほしいところであります。Amazonで一応北米パッケージ版が買えるんで参考までに。Steamもあるでよ。
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DATA
発売 / 開発 :Nicalis(Switch) / Edmund McMillen,Tyler Glaiel
登場時期 : 2017
ジャンル : 死にゲー(プラットフォーマー)
機種 : Steam/Switch(海外のみ)
プレイしたのはSwitch版(要:海外アカウント)。また微妙なネタバレを含みます。


~難しくて面白い~
「100万回やられても、負けない」とは確か超魔界村Rで使われたキャッチコピーだが、魔界村シリーズは一貫して死んで覚えるバランスを追究した、いわば死にゲーだ。このキャッチコピーの裏には100万回死んでもなお懲りずにプレイし続けるだけのゲームの核となる面白さを持っているという意思が込められているように思う。実際このキャッチコピーの通り魔界村シリーズは何度死のうともやり続けるほどの面白さを持つ、清く正しく「難しくて面白い」ゲームだった。難しすぎないというのも最大のポイントで「難しいけれど出来ないわけではない」という絶妙な調整により構成されたゲームでもあった。それ故に、今なおアクションゲーム史に名を残す傑作として評されているのだろう。
さて、「難しくて面白い」ゲームと言ってみたは良いけれど実はこれを達成できているゲームはあまり多くない。難しいゲームを作るのは極めて簡単だが難易度を馬鹿みたいに上げたからといって面白くなるかといえば当然ノーだ。ゲームに真摯に向き合い努力することでクリア可能な程度でなければならない。また、プレイヤーに過剰なトライ&エラーを強いてもいつしかプレイヤーの方が発狂しかねない。下手をしたらゲーム自体に激しい絶望を覚えかねない。そのためにはプレイヤーにストレスを溜め込まない快適性も求められる。「難しくて面白い」ゲームは意外と希少な存在なのだ。
この焦土と化した死にゲー界は実は近年になっていくつかのタイトルのスマッシュヒットにより再び注目され数々の傑作が生まれている。3DACTRPGであればソウルシリーズなどが挙げられるだろう。2D作品に注目すれば「VVVVVV」「1001Spikes」「スーパーミートボーイ」などは、特に2Dジャンプアクション(プラットフォーマー)において死にゲーの一つの解答とまで言わしめるほどの完成度の作品だった。
そしてこの傑作らと双璧をなす完成度を誇り再びこのジャンルの解答を示したゲームが現れた。それこそが今回紹介する「The end is nigh」である。あの「スーパーミートボーイ」を世に送り出したEdmund McMillen氏の作品だ。

~飛べ!つかまれ!そして死ね!~
主人公で腐れゲーオタでもある黒いスライムみたいな外見のAshは、世界が終焉を迎えてもなお引きこもりゲームをしていたのだが、ゲームプレイを配信しても当然ながら誰も見ておらず、更にはカセットが壊れて端子フーフーしても直らないことに怒り狂い、久しぶりに外の世界に出向いてパーツを組み合わせて友達を「造る」ことに決め、ついでに新たなゲームカセットでも探すことにした。というのが今作のあらすじである。筆者も今調べて知った衝撃的な物語であり世界が終わっているにも関わらず自分の快楽のことしか考えていないダメオタまっしぐらのストーリーである。ゲーム始めてのオープニングでいきなり「ファーック!!」とか叫び出したのは理由はここにあったのか……
ゲーム内容は普通の死にゲーなので死んで覚える感じなのだが、McMillen氏が作ったミートボーイとはかなり異なる点も多い。ミートボーイがステージクリア型だったのに対して今作は各ステージが独立しておらず相互に結びついている。いくつか特徴をまとめておこう。
・一撃即死制
死にゲーではおなじみのルール。トゲや落下死、敵の攻撃に触れようものなら即ミス。救済要素無しで心行くまで死んで死んで死にまくって突破してくれという男バランスで構成されている。基本的に残機は無制限なのでガンガン死んで良い。後半では……
・収拾要素
ミートボーイではバンドエイド収集によりキャラクターが追加されたりといった要素があった。今作では収集アイテムとして腫瘍とゲームカセットがある。両者ともに別に集めなくても(一応)クリアは可能だが腫瘍に関しては裏面の世界に大きく関わっているため、完全制覇を目指すなら集めることが望ましい。腫瘍は配置が絶妙であり回収にはかなり骨を折る。一方のゲームカセットは取得すると主人公の自室にてミニゲームをプレイすることが可能。ア○スクライマーやらファイナル○ァンタジーっぽいゲームの姿もあるが基本的には本編と同じくジャンプアクションである(ちなみに本編を軽く上回る激烈超難度なので要注意
・快適性
昨今の死にゲーでは重要視されるどころか、むしろここは当然とすら思われるようになってしまった感もある所だが、今作は完璧にもほどがある仕上がり。死亡時のロードは無に近く心行くまでトライ&エラーに撃ち込める。操作の煩わしさも皆無で思った通りにキビキビ動いてくれるので動かす楽しさもばっちり。解法がつかめれば各ステージクリアまで1分もかからない手軽さも魅力。無論解法をつかむまでは死に続けるのだが……
・ステージ、エリア構造
各エリアに15~25ほどのステージがあり各ステージ(面)は固定画面で構成されておりこれらが全てつながっている。イメージ的には「VVVVVV」が最も近い。また一部隠しステージにつながっていたりする箇所もあり、探索アクションの趣もある。
・操作
基本は方向キーと2ボタン(ジャンプとしゃがみ)で行う。しゃがみは特定の箇所にて使う感じなので移動とジャンプが中心と言っていいだろう。ミートボーイと比較するとダッシュや三角飛びが消滅した代わりに崖つかまりが中心アクションとなった。崖のふちにピッと引っ付く、突起につかまるなどして次々とジャンプアクションを行っていく感じだ。

といった具合である。優れた死にゲーであった「VVVVVV」「スーパーミートボーイ」「1001Spikes」の良いところのみを抽出した仕上がりと言ってもいいだろう。
今作の最大の魅力はやはり殺意の集合体とも取れるステージ構造、そしてそれを攻略していくことの快感に尽きる。辺り一面はトゲの海。トゲとトゲのわずか1ブロックの隙間に飛び込むことなど日常茶飯事。更にはレッド・○リーマっぽい挙動で迫りくる骸骨鳥の頭にちょうど飛び乗り踏みジャンプして向こう岸に渡る極限場面の連発。酸の海でおぼれ死なないように息継ぎをしつつ、尋常じゃないスピードで迫りくる敵をスパパとかわす。下からせりあがるマグマを極限ジャンプの連発で上へ上へと渡る。敵の大群が押し寄せそのわずかな隙間を縫うように飛び交い次のステージを目指す……などなど、もはやこのゲームは何でもありなのかと言わんばかりに多種多様な手でこちらを地獄のどん底に陥れようとしてくる。判断を間違えれば即死に、判断を間違えなくても死ぬ。躊躇えば死に、意を決して特攻すればまた死ぬ。襲い掛かる地獄の世界。大半の人にとって、血反吐を吐くような激ムズアクションだろう。全体を通して凄まじい難易度であり恐ろしく難しい以外の言葉は無いのだが、理不尽さ皆無でひたすらにトライ&エラーでその激烈な殺意の中にある純粋な正解を指先の微妙な調整で手繰り寄せていくことがこの上なく楽しい。いくら難しいと言えどもリトライにかかる時間は無に等しく、何十機も潰していくうちにどの加減で入力すればいいのかは流石に分かってくる。そうして少しずつ正解のルートが見えてくることの快感と、その過程で繰り返される1ミリの狂いの無い操作と0.1秒の狂いの無い判断がこれでもかとプレイに没頭させてくれる。次々にあの手この手で殺そうとしてくる仕掛けの数々に、殺されながらもその地獄を突破した時の圧倒的達成感。この面白さに敵うものなんてない。恐ろしいまでの極限状態の連発であるが故にその満足度は圧倒的に高い。
また鬼のように難しいことは事実だがそれ以上に素晴らしいのは理不尽さが無いことに加えて段階を追って難しくなっていくことにもある。いきなりクリア不能の超難度というわけでは無く、序盤のステージでは穴に落ちれば死ぬ、崖つかまりを利用するなどといった基本ルールとテクニックが身につくように設計されているし、新たな殺意ギミックが現れる箇所では必ず難易度をいったん落としてくれている。そして徐々に上げていき激烈熾烈の難易度という塩梅になっているのだ。こういった点は極めて親切であり、こういった配慮が効いているからこそ「最後までやったるぞ!」という気にさせてくれる。悪戯に難しいだけのゲームではないのだ。操作性が極めて良いことも理不尽さを感じさせないポイントの一つ。変な癖などはなく動かしているときは動くし動かしていないときは止まる。キビキビと思うがままに動かせるので殺されてもその死に納得がいく。複雑な操作の類は一切なく、あるのは瞬間瞬間の判断と入力のみ。こういったところを丁寧な調整を施しているのが素晴らしい限りである。

~地獄の底で踊れ!~
これまでは純粋な死にゲーとしての話が主だったが、今作が凄いのはその探索死にゲーとしてのステージ構造にもある。のだがそれを説明するには裏面の存在について語らなければならないだろう。パーツを集めて友達を造るのが表面でありここでいったんゲームは終了する。のだが、まだ続きがあるのだ。友達が完成した後、世界は豹変した……。絶望という言葉すら生ぬるいものに……。そしてこうして突入するのが裏面である。
表面は残機が無制限だったので死にまくれば解は見えてくる。しかし裏面は単純な難易度が更に上がった上にあろうことか残機が有限なのだ。この事実を知ったとき筆者は本当に地獄の底に落とされたような気にさせられ、「何が何だか分からない……」と白い壁に向かってうわ言を言ってしまった(危ないな)。そしてこの残機に該当するものが今作の収拾要素である「腫瘍」なのである。腫瘍一つにつき1機なので、ここで腫瘍がある程度無いとかなりきついことになる。安全に行くなら200個以上は欲しいところ。
地獄のどん底から這い上がるためにこれまで踏破した各エリアの各ステージを巡って腫瘍を集めていくわけだが、ここでまず「あれ?こんな簡単だったっけ?」と気づくことになる。そう、一度クリアしているから指先が感覚をある程度覚えてくれているのだ。感覚的には魔界村で2周目が意外と簡単に思える錯覚に似ているかもしれない。そして腫瘍回収を考え出すとまたステージがその印象を変える。一粒で二度おいしいと言ってもいいだろう。また腫瘍回収を目指すうえで重要になってくるのが隠しステージの存在。隠しステージには大きな腫瘍が配置されておりこれは一つで何と5機換算!手っ取り早く裏面の残機を増やすならまずはこれを中心に集めたい。
そしてこの隠しステージの設計があまりにも絶妙。普通にステージの攻略だけを考えているならまず気づかない、しかし隠しステージがあるんじゃないか?あそこもしかして奥行けるんじゃないか?この穴隠しステージにつながるんじゃないか?と思ったところは大抵隠しステージにつながっているという見つけた時に「うわー!!」と思わず声を上げたくなるような構造になっているのだ。こんなにも作り込まれているのか!?と驚くこと間違いなし。隠しステージも隠しステージで難易度はかなり高い。しかし共通して理不尽さは皆無。死に続ければ突破の道は切り開けるだろう。
裏面は本当に難しい上にプレイヤーを地獄のどん底へ突き落すような仕組みが非常に多い。最後に待ち受ける衝撃の展開も語りたいところではあるが、こればかりはプレイしてその目で見て頂きたい。しかしこのゲームにどっぷりとハマると、その地獄のどん底でもがくことそれ自体がこの上なく面白く思えてくるのだ。息つく暇すらないほどの超難易度をひたすらにやり込み寸分の狂いの無い判断と操作を繰り返しいつしかハイになっていく快感は他のゲームでは味わうことが出来ない。究極とも言っていいほどの激烈死にゲーの決定版だ。
今作は文字通りの極悪難易度なので苦手な人にとってはある意味ゲーム自体に抵抗を覚えてしまうかもしれない。しかし、死にゲーというジャンルの決定作とも言える完成度の傑作であることは間違いない。死にゲーが好きならこれはやらなきゃ損だ!!


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2017年11月30日

今月の一本 ルクスペイン

今月はこれです。今回は微妙に感想よりというか感想込みなんで全体的にとっちらかった文章になってまして申し訳ないです(いつも通りといえばそうだけど)。難点こそあれどDSのADVの中では押さえておいて損は無い、中々の秀作と思いますにょ。人の思念をこうも中心に取り上げたタイトルはあんまり無く思えて、それでいて重いけど重くなりすぎない絶妙な物語は結構ナイスな出来です。
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DATA
発売 / 開発 :マーベラスエンターテイメント / キラウェア
登場時期 : 2008
ジャンル : 伝奇ジュブナイルアクションADV
機種 : DS



ルクスペインである。今作は言わずと知れていない、かといってマイナーすぎるわけでもないという何とも微妙な立ち位置の知名度の作品である。かくいう自分もどこかで「何かルクスペインというDSのADVは結構面白かった」という感想を見た気がするという雑な記憶と「音楽:伊藤賢治」の名に釣られて購入した身であり、事前情報はほとんどない状態であった。開発を務めたキラウェアに関しても今作で初めて知り、DCのカルトRPG、デスピリアスタッフが関わっていたのかと軽く驚いた限りである。
さて、今作がなぜ全く知られていないわけではないがあまり目立たない存在なのかと言うと、一つには残念ながら単純にあまり売れなかったというのがあるのだろう。もう一つには、実はこちらの方が重要なのだが、面白さが分かってくるのが遅めであること、そして面白くなってきたと同時にゲームシステムに不満を抱きやすくもなる調整にある。シナリオが上手いこと回り始めるまでに時間を要する作りであり、システム面では痒い所にイマイチ手が届いていない。しかし、シナリオが動き出した時の面白さ、そして独自の演出とDSならではの表現、絶妙な空気感は非常に味がある。
今作は手放しで絶賛出来るゲームでは無いことは確かだ。あと1ポイントどこか上手くいっていれば…と思ってしまう惜しいゲームでもあるだろう。しかし、難点こそあれど一見の価値があるゲームである。

~伝奇でジュブナイルだ!とっつきはよろしいわけではない~
今作はDSの機能を上手いこと落とし込んだ「伝奇ジュブナイルアクティブADV」である。ジャンルからして半分くらいよく分からないが、心で感じろ。伝奇でジュブナイルでアクティブなADVだ。もう少しいうならば、アドベンチャーパートをメインに進行し要所要所でタッチペンを使用したアクションが入るというものだ。主人公は他人の思念を削り覗き見ることが出来る能力者であり、タッチペンを使ってキャラクターの心を削り思念を見て、その思念に巣食う怪物を倒していき、舞台となる「如月市」にて事件の真相を追う、というものである。ジュブナイルを謳うだけあり今作には学園物の要素が存在しており学園でのキャラとのやり取りがあったりもする。学園生活を送りつつ、事件を追うというのが主な流れだ。
いきなりだが今作の第一印象は悪い!始めた当初の何も知らないプレイヤーに対して配慮もせずにすっ飛んでいくシナリオがまず襲い掛かる。固有名詞のオンパレードや(一応データベース的な場所で用語確認は可能)、いきなりのキャラ大量登場に加えて駆け足気味の自己紹介と「何だ!」というより「なにこれ?大丈夫か?」と思う印象の悪さである。
そしてゲームを進めていくと今度はシステム面での難にぶつかることになる。セーブは3つのみ、説明書を読まなければセーブできる箇所は章が終わったときのみと勘違いしてしまうような構造、バックログ無し、オートスキップ無しとADVとして「これでいいのか?」と思わざるを得ない。確かに真剣にシナリオ読んでほしいという配慮にも感じられるといえばそうなのだが……。
さらに戦闘パートがどうにもかったるく思えてしまう出来。序盤は物珍しさからある程度楽しくプレイできるが、戦闘の機会が増える終盤は面倒に思えてしまう。戦闘はタッチペンを酷使するので画面にもイマイチ優しくないのも気になる人は気になるか。
とどめに早い段階できっちりフラグを立てないとゲームオーバー一直線になり、最悪の場合詰みかねない箇所が存在している。この箇所以外は詰まるところも特に存在していないため、余計にこの箇所が苦しく思えてしまう。
全体的にプレイヤーへの配慮が欠けており、キャラの個性が分かってきてシナリオにのめり込めるまではかなり苦しいゲームにも思えてしまうのが難だ。特に導入~序盤に関してはかなりやらかしている印象があり(この箇所の最後の方で先のゲームオーバーの問題が出てくる)この場面で投げてしまう人もいるかもしれないし、この場面ではその面白さがまだ秘められた状態なのでどうにも分かりにくい点もある。ここさえもう少しどうにかなっていたら…と思って止まない。

~ルクスペインの魅力は物語だ!~
ここまでは主に批判的なことを書いてきたが、このゲームの魅力を挙げるならば、ストーリー、キャラクター、演出に尽きるだろう。
まずはストーリー。人間の精神に寄生し負の感情を増幅させる「サイレント」、そのサイレントに対抗する組織「フォート」に所属する主人公西条アツキは、サイレント感染による集団自殺事件のオリジナルサイレントが如月市にいることが判明しそこへ転校生として潜入捜査行うことになる。発生する怪事件、様々な人との出会い、時には永遠の別れ、そして人の心、精神を削り覗き垣間見て、この街では何が起こっているのか?事件の真相は?…ということを追うのが基本的なシナリオの流れである。サイレントは負の感情を増幅させながら精神を喰らっていくためサイレントに感染した者の思念の内容は基本的に暗く重い。「殺す」「死」などの単語が平然と飛び交い、それでいて言葉の表現を変えながら何度も登場する。一見普通そうに見える人やどこにでも居そうな人が次第に壊れていく、あるいは凄まじい狂気を隠し持っているということがこれでもかと言うほどに表現されている。DSらしくない少々ダークな雰囲気の作品と言えるだろう。ただジュブナイルなだけあり重すぎることはなく絶妙なバランスを保っている。
シナリオが中盤に入るまでは面白みが見えにくいが、中盤に入ってしまえばこれまでの描写の積み重ねが生かされてグイグイとそのストーリーも引き込まれる。序盤はまだキャラのことを分かっていないので思念を読み取っても「へー」程度にしか思わないのだが、どんなキャラかが分かってきたときには思念を読んでいく面白さは相当のものでなおかつ今作独自のもの。また、思念に巣食うサイレントの影響やそれ以外の要因(単純に人間関係とか)により外見上は普通でも思念に狂気や混乱、不安などが入り混じっているのが面白く、そして少し重い。日常が少しずつ壊れていくという描写も良く、思いもよらぬ人物の死や数々の謎の出現もあり、シナリオが回り始めたらもう止まらない。破壊力は凄まじいものだ。淡々としている部分はあることにはあるが、その先が気になり読み進めてしまう面白さが今作には確かにある。
次にキャラクターが非常に良い。各キャラクターに与えられた役割に違和感を覚えることはなくすんなりと頭の中に入ってくる。主人公が所属するサイレントの排除を目的とする機関「フォート」のメンバーと主人公が所属することになる「如月学園」のクラスメイト、同じく特殊能力を持った人々、教師たちといった主要キャラに加えてネカフェの店員から市民会館のおばはん、ゲーセンの店員などの如月市に存在するキャラと登場人物は極めて多いが誰もが魅力的であり中には強烈なインパクトを残す者もいる。彼らの心の奥底にある悩みや狂気の思念を見てそれを解決していくことが面白くある。日常の中に潜むサイレントの影、非日常の部分の書き分けや見せ方が非常に上手く、演出の良さもあり自然にキャラに愛着を持つだろう。だからこそ死亡フラグが立たんとしているキャラに対して「止めてくれー!」だの、死んでしまったキャラに対して「ほんとかよ!?ウソだろ……」と感情移入しストーリーに没頭してしまう。キャラ描写に時間をかけすぎなきらいこそ確かにあるものの中盤からの盛り上がりは時間をかけただけの結果が確かに出ていると思うほどだ。
また主人公のゲームにおける立ち位置も結構上手い。作中で個として存在していながら同時にプレイヤーとシンクロしてポジションを確立させているのが面白い。プレイヤーは主人公の目を通して人物と出会っていくのだが、主人公が感じたことがプレイヤーとも重なるようなものになっている。主人公のキャラとしてはクールでぼそぼそとしゃべり妙に気恥ずかしくなるような言い回しばかりするクセあり目なキャラになっているにも関わらず、ストーリー上ではプレイヤーは驚くほどに主人公とシンクロするようになっているのだ。そのためキャラのセリフがプレイヤーにも突き刺さるようになっている。プレイヤーとプレイヤーが操作する主人公との間に差が生じてしまうのがゲームのストーリーでのよくある問題点だが、今作はその辺のところを中々上手く切り抜けた作品だと言える(そうはいってもやはりクセの強いキャラだし喋ったり喋らなかったりとするので気になる人は気になるかもしれないが
そして演出。この演出を見るためだけに今作を買うべき価値があると断言しよう。今作はDSならではの作品であるのだが、なぜそうなのかと言えばタッチペンを使っての思念の削り取りや戦闘というアクションの側面もあるが、2画面であることが非常に効果的に生かされて演出になっていることにあるだろう。今作の下画面は通常のADVらしい画面だが、上画面には精神世界とも言うべきものが表示されており下画面に表示されている絵がモノトーン調の色合いでもやもやっと表示されている。そして主人公は思念が見れる能力者。選択肢を選んだ時にキャラの感情のようなものが上画面にもやもやっと現れるのだ。怒りの思念や恐れの思念だけでなく喜びの思念なんかも上がったり、時には下がったりしてくる。設定を反映した上手い作りだ。
そして真に必見なのが実際に思念を削り取りその中身を見る場面である。画面中を文字が浮かんでは消え、バラバラになり、画面中を文字で埋め尽くし、文字が飛び交うような様はまさに圧巻。単純に映像面だけを見ても非常にカッコよく、それでいて重い思念は本当に怖い。これを見たいがために能力を使ってしまうこと間違いない。こればかりはゲームで見なければその凄みは分からない。また画像で見てもその凄さは分からないだろう。ゲームならではの演出だ。こうした演出が効果的に働きストーリーの没頭感をこれでもかと高めてくれる。
また演出を支えるのが音楽の良さ。イトケンさんに加えて鈴木康行さん(ソルダム、怒りの要塞などが有名か)も作曲を担当。温かみを感じさせる日常系の楽曲からサイコサスペンスにピッタリなシリアスな楽曲まで様々な楽曲がそろっておりストーリーと演出をしっかりと彩ってくれている。特に思念を覗き見ている際に流れるBGMはどれも非常に印象的であり文字が飛び交う演出をさらに強めてくれる。
確かに看破出来ない問題点は多く課題がある作品であるところは否定しない。しかしその独自の演出と丁寧なキャラクター描写、それらを存分に活かしたストーリーは一見の価値がある。DSならではのADVがここにある、と言わんばかりのルクスペイン、興味と機会があったら是非ともプレイしていただきたいものである。


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2017年10月31日

今月の一本 中毒パズルレベルス+

今月はこれです。ホントは今日の午前0時に上げるつもりだったんです。そのつもりで計画はしていたんです。素案は出来ていたんです。ただ実行に移す際に「ちょっとレベルスやっとこう」とプレイして時間を溶かし、んーやることないしちょっと起動しよう思い時間を溶かし、やっべレポートが終わらん現実逃避にちょっとやっておこうと起動して時間を溶かし……なんてことを繰り返してたらこんな有様に……。悪気はないんです。
とりあえず教訓として、締め切り間近のものがある場合このゲームを起動すると取り返しのつかないことになりかねんと書いておきましょうか……。ゲームの方はきっちり面白いのでプレイしましょう。
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DATA
発売 / 開発 :flow
登場時期 : 2017
ジャンル : パズル
機種 : Switch


~「中毒」って怖いよね~
デジタル大辞泉の解説
ちゅう‐どく【中毒】
[名](スル)
1 生体内に入った薬物・毒物や生体内の代謝産物によって病態や機能障害が生じること。経過から慢性と急性とに分けられる。どくあたり。「食い合わせで中毒する」「ガス中毒」
2 置かれた状況になれて特に変わったことだとは感じなくなること。また、あるものへの依存が強く、ちょっとでも不足すると非常に強い飢餓感をもつこと。「活字中毒」「仕事中毒」
出典 小学館/デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
コトバンクより引用


…しばしば「このゲームは中毒性がある」という褒め言葉なりを見かけたり、あるいは自分も使ったりするけれども元の意味を考えると結構怖い言葉である。止めたいのに止められない、それがなければどうにもならないのが依存だとすると、さながら中毒はその一歩手前というところか。そして事が進行すれば機能障害を起こしてしまう。ヒイィィィ……。まあ、何にしても適切が一番というわけだ。適度な中毒性はゲームの楽しさをさらに高めてくれる。
しかしここに恐るべきゲームがスイッチに現れた。名前からして中毒と謳っている「中毒パズルレベルス+」である。元々はスマホのアプリゲームだったが、バランスの再調整などが行われパワーアップしスイッチに移植されたものである。
正直始める前は、「中毒と言ってもたかが知れたものだろう」と思っていた。いたんだよ。いたんです。はい。しかし実際プレイしてみるとあれよあれよと時間を消費し遂にはプレイしてないときですら「あれとあれを合わせてレベルアップさせんといかんなー」だとぶつぶつ呟いたり青と黄色のものを見かけたら足し合わせなきゃと思うようにまで脳を破壊された状態に陥っていた。重症だ。中毒パズルレベルス+、その名に恥じない極めて中毒性が高い一本である。

~足してレベルアップするのがレベルスだ!~
基本ルールは5×5のフィールドに敷き詰められたパネルをカチャカチャ動かしてハイスコアなりを狙うというもの。パネルは3色あり青が味方、黄色がお宝(スコアアイテム)、赤が敵を表している。
各パネルにはレベルが存在しそのレベルを表す数値が書かれている。青と黄色のパネルは動かすことができるが赤パネルは移動不可能。青、黄色パネルは同じ色同士かつ同じ数字同士を重ねることでレベルアップする。例えば1が書かれた黄色パネル同士を重ねれば2の黄色パネルが、2と2の青パネルを重ねれば3の青パネルが、3と3で4に…といった具合だ。青パネルは自分の数値以下の黄色パネルを消してスコアを得ること、邪魔な赤パネルを消すことができる。これでレベルアップを繰り返しつつ邪魔な赤パネルを破壊し黄色パネルを獲得してスコアを伸ばし、一枚も動かせなくなるまで試行錯誤してハイスコアを狙うといったゲームである。
こうして文字にすると意外と分かりにくいかもしれないが、初プレイの時に表示されるチュートリアルを見れば一発で分かるシンプルなルールだ。
今作はその場の判断が重要になるパズル(パネポンとか)では無く思考型パズルに分類される。時間は無制限なので自分の気が済むまで熟考し、次に登場するパネルを確認しつつ、どれをレベルアップさせるか…?どの赤パネルを破壊するか…?と考えるのがゲームの流れになるのだが、これが極めて面白い。
レベルを上げると有利に働く一方でそれ相応のリスクを背負うのがミソであり、青パネルのレベルが5や6辺りになってくると低レベルの青パネルが邪魔になりキリキリ舞いするバランスになっている。しかし、レベルを上げなければ今度はどんどん強くなっていく赤パネルを壊すことができない。レベルを上げたい……でも低レベルの味方が邪魔に……でも上げないと……という脳内葛藤が悩ましくも楽しい。そして悩めば悩むほど時間が溶けていく。時間泥棒っぷりは半端なものではない。
更にハイスコアを目指すとこのバランスはまた違った一面を見せる。黄色パネルのレベルを上げていくと当然ながらそれを上回るレベルの青パネルが必要になる。低レベルの青パネルは更に邪魔になるし、黄色パネルのレベルばかり上げていくと今度は高レベルの黄色パネル自体が最強の敵となる。しかし、この圧力に屈したら低スコアしか獲得できないチキン野郎になってしまう。今作のその巧みなバランスは水面器に顔をつけて我慢勝負をしているようだ。その圧力に屈して顔を上げるか、そのまま勝負を続け不慮の事故で水没死を遂げてしまうか……。思考力だけでなく精神の強さまでも要求されるのだ。
しかし、だからこそ面白い。ゲーム性の一つである「リスク・リターン性」が極めて高く、自らを死の淵に近づけつつハイスコアを狙う駆け引きのアツさはパズルゲームはおろか数あるゲームの中でもピカイチだ。レベルを上げれば上げるほどに自らが追い込まれ敵だけでなく味方すら頼れなくなっていくが、どんどんとスコア倍率が上がっていく黄色パネルがちらつき「あと1レベル…あと一手…」とさらに死地に赴かせる。まさに悪魔のようなゲームだ。そしてその中毒性は悪魔そのものだ。
また、ハイスコアをバリバリ狙うだけでは無く青パネルのレベルを上げてたまった赤パネルを次々と粉砕していく爽快感が気軽に味わえるというのもポイントの一つ。シビアな駆け引きもあり、単純明快な気持ちよさの面もある。シンプルながら意外と多様な面白さを持ったパズルゲームなのだ。ハイスコアを目指すもよし、だらだら遊ぶもよし、意外と多様な遊び方に対応している作品である。
またバランス面だけでなくロードが皆無でタイトル画面すら存在せず、起動したらすぐさまパズルが始まるのも凄いところ。特にゲームが始まるまでの短さは全てのゲームの中でも12を争うほどではないだろうか。これが幸いしてより中毒性を増している。思いついたらパッと始められてカカッとアツい。そしてみるみるうちに溶けていく時間。ゲームが始まるまでのかったるさが存在せず、腰を据えてやったりあるいは時間つぶしにやったり、いつでもどこでもプレイできるスイッチに適した仕様だ。
細かいところではレベルを上げていくとそのたび少しずつ変わっていく音楽の良さ(これも中毒性高し)、レベルを上げたときの無駄に派手な効果音も魅力の一つ。序盤は普通の効果音なのだがレベルが6や7辺りになってくるとレベルを上げるたびに無駄に壮大な音が鳴り響くようになる。またこの際HD振動でレベルアップの感触が手元に伝わるのが面白いところ。後半はレベルを上げるだけでも一苦労なのでそれに見合っただけの結果がこうも分かりやすく出力されると更にレベルを上げたくなってしまう。それが命取りになると分かりつつも……
一方で凄く面白くて楽しいけれどどうにも地味という印象は否めない。特殊アイテムの類は一度のみ赤パネルを全て黄色パネルに変化させるサンダーのみであり、それ以外の状況を激変させたりするアクセントとなるアイテムは存在せず頼れるのは己の頭脳のみというストイックな内容。ゲーム自体の駆け引きは極めて熱く奥が深いものなのだがマジになってスコアを追い続けるとかなり疲れてしまうことも。絵が非常にシンプルなこともあり派手さに欠ける印象を持つ。誤解を恐れずに言えば、中毒パズルレベルス+は少し飽きやすいゲームになっているとも思える。
じゃあ飽きやすいからダメなのかというと、そんなことはまるでない。むしろその逆で今作は飽きられることを恐れていない。良く出来たパズル、アクション、シューティングなどはふとした時に引っ張り出されカカッと瞬間で熱くなれるものが多く結果的に何度も遊ばれる傑作になったりすることも多い。レベルス+は極限までゲームを始めるまでの障壁を取り除き、それでいてその時は忘れていても動かせばすぐに思い出すシンプルなルール、そして短い時間で熱くなり頭を悩ませる時間泥棒っぷりで、すぐにまたハマり中毒状態に陥ることの出来る作品だと言えよう。
スイッチに一本忍ばせておけば、ゲームライフに彩を添えてくれること間違いなし。しかしその中毒性の高さは睡眠時間が削られたりするだけでなく風呂上がりにまったりとやっていたら湯冷めしたりほかのゲームの進行に甚大な被害が出るほど。そんなわけでほんのりとお勧めしたい傑作パズルゲームだ。くれぐれもやりすぎにはご注意を……


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2017年09月30日

今月の一本 ハームフルパーク

今月はこれです。どうでもいいけど2017年9月15日はハームフルパーク独立宣言日みたいですわよ。遠い未来に思えた2017年が、もうそこに来ている…というか過ぎ去っているのだなあと思ったり。持ってない人はアーカイブス版を2017年記念に一本どうっすか。来年はエスプレイドの年でオノレーイカシテカエサン!みたいなことが起こりそうですな!
なんか話が大幅にそれたけどポップでキュートなコミカルSTGというのは意外と少ない気がするんで是非とも。初心者から上級者まで飽きさせない名作だと思いますよ。
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DATA
発売 / 開発 :スカイ・シンク・システム
登場時期 : 1997
ジャンル : 横スクロールシューティング
機種 : PS
今回はアーカイブス版をプレイ


~プレミアには理由がある~
突然だが皆さんはバーチャルコンソールやゲームアーカイブスはどういった魅力があるとお考えだろうか? 最新機種で懐かしのゲームが遊べる?ソフトのROM交換や端子フーフー、押し入れからハード引っ張ってこなくても手元で遊べる? そういった面も大いにあると思うが、ここではあえて「プレミアが付いたソフトを安く買える」と言ってみよう。世の中不思議なもので人によって価値観が違うにも関わらず、いやだからこそ、ゲームソフト1本に何万という価格が付いたりするものである。生産数が少ないゲームはもとより、出来がよくプレイヤーも手放さない中古に出回らないゲームにもプレミアが付きやすい。中古ですら高値安定な作品を600円やそこらで買えてしまう。これもまたバーチャルコンソールやゲームアーカイブスの魅力だろう。
ハームフルパークはPS界の泣く子も黙り裸足で逃げ出すプレミアソフトの一つであり貧乏人には手も出ないプレミア番長である。Amazonや秋葉原のゲームショップのショーケースに飾られている今作の値段を見るだけで乾いた笑いが出るほどのプレミア大明神である。そんな作品がゲームアーカイブスで配信されているなら、そりゃもう買うしかないっしょ! という感じだろう。しかし世の中には理由もわからぬままプレミア化したゲームもある(例:LSDとか)。そもそもプレミア付いているから絶対面白い! という保証はない。はたしてハームフルパークもそんなゲームなんだろうか……
……と思いつつもプレイしてみたところ、そんなことを一瞬でも思った自分が恥ずかしくなるほどの素敵ゲームであった。なんならPSで出た全STGの中でも屈指の出来だと断言していい。今作がプレミア化した最大の理由は、今作があまりにも面白すぎたからだ!

~ハートフルSTG~
ルールは単純明快、ガンガン撃ってバリバリ進むSTGである。4つの武器の使いこなし、オート連射のショットに緊急回避のボム、アイテムとってパワーアップ、スコアアイテムを取ってガンガン稼ぐ、オーソドックスなゲームである。システム面で目新しさは特にない、しかし無駄が一切ない完成されたものであるので誰でもすぐにゲームになじむことができるだろう。
プレイしてまず目に付くのが丁寧に書き込まれたグラフィック。一目見て「あっ綺麗だ!」と人を引き付けるような細部まで書き込まれたドット絵が素晴らしい。特に色使いがよく鮮やかで、しかしやさしいものになっていて絵に惹きがある。そして書き込まれた背景に負けることなく書き込まれたキャラクターやギミックも素晴らしい。そして非常によく動きその動きも飽きさせない。
今作は遊園地を舞台にしたコミカルSTGであり、丁寧に書き込まれたグラフィックもあり非常に楽しく華やかな空気感がゲーム内に流れている。キャラクターは可愛らしくキュートなデザインであり、主人公の二人も姉妹ということでゲームの華やかさの演出に貢献している。どうもSTGというジャンルは緊迫感があるというか、こういったコミカルでポップなSTGというのは意外と少ない印象があるが、今作はコミカルSTGとしては申し分ない楽しい演出に成功した作品だろう。
またストーリーも見所。お菓子と、恋と、遊園地。幸せいっぱい夢いっぱいの大人気遊園地「ハートフルパーク」が悪の科学者ドクターテキーラの手により「ハームフルパーク」へと大改造、さらにテキーラは50万人を人質に取ってしまってなんかもうヤバいぜ! 的な感じなので人質助けるために主人公のレスカとレモネがバイクに乗って要塞基地と化した「ハームフルパーク」で壮絶バトル! といったもので大まかな路線は笑いありのギャグ主体のそれであるのだが物語のエンディングではほろりとくるような展開もある。どことなく切ないエンディングは必見だ。

~HIGH-BROW GAG & PURE SHOOTING~
この言葉は今作のパッケージ裏に書かれた言葉であり、ある種今作の代名詞、キャッチコピーとも取れる言葉だろう。名は体を表す……その通りに今作はハイセンスなギャグに溢れかえっている。一周するごとに「まだこんなギャグを仕込んでいたのか!?」と驚くこと間違いなし。細かすぎて伝わらないギャグや、もはやギャグなんだかマジなんだか分からないものまで存在している。抱腹絶倒の大爆笑…というのは無いが(え?)、小出しに連発されるギャグの数々はプレイヤーを思わず笑顔にすること間違いなし。ここでは筆者の印象に残った場面の一部を紹介。書いてて頭が痛くなるようなものばかりだが、ゲームで見ると楽しいので是非ともゲームで見ていただきたい。

・1ボス
風船怪獣なのだが、最初は空気が抜けててしぼんでいる。ボスBGMが流れ出すと、ちびキャラ2体が必死にポンプを押して膨らませてボス戦開始となる。遊園地らしいかわいらしいボス演出だ。バンカズ2のミスターパッチより前にこういうのが存在していたんだなあ…

・2面中ボス
ステージ2はお化け屋敷が舞台。先へと進んでいくと教会が。そして中へ入ると突如として結婚式が。そしてそこへ乱入する花嫁の本当の恋人が! ヨーゼフ!ジェリエンヌ!とメルヘンドラマ的な展開!思わず泣き崩れる結婚相手も出る中、中ボス戦が始まる。まさかSTGの最中に結婚式が始まるなんて思ってもいなかった…

・2面ボス直前
お化け屋敷ステージの締めくくりともなる終盤ではフランケンシュタインが登場。しかしその頭の中からこれはどう見てもサザ○さんのネコのタ○の姿が……

・3面中間
雑魚で登場する大型飛行機を破壊すると離れ離れになる兄弟たちの姿が。どことなく罪悪感……

・4面ボス
4面ボスはなんと巨大な女の子。大きすぎて顔が画面から見きれている。妙にダンサブルな曲に合わせて激しい攻撃を繰り広げる。その顔はきっと背景のスクリーンに表示されている子みたく可愛らしいのだろう…と思っているプレイヤーの予想を裏切るオチが。よく見たら背景の子も鼻血出してる…

・夕焼けと言ったらラーメンよね
3面終了時主人公らがきれいな夕焼けを眺めている中突如としてしゃべるセリフ。このゲームに仕込まれたギャグのうち最も謎めいたものでありその意味はまるで分からない……。とにかく、夕焼けと言ったらラーメンらしい。

・6面後半
遊園地の裏は一体どうなっているのか! と思っていたら酒場のようになっておりキャラクターたちも飲んだっくれている。「一気に飲め」「飲んだら歌え」という格言まで存在。なんじゃそりゃ。

・1面海賊船
1面ではギミックとして海賊船が登場し攻撃を仕掛けてくるわけだがその攻撃方法はどうしたことか涙。よく見たら地面のトゲに腹の部分が当たって痛くて涙を流しているらしい……


さてHIGH-BROW GAGの方はハイブロウすぎてハイブロウなわけだが(意味不明)、もう一つのキャッチコピーであるPURE SHOOTINGの方はどうかというとこちらはまさしく言葉の通りの完成度。オーソドックス&広範囲のバルカン、貫通攻撃のレーザー、連射が効かないが超火力のスプレッドボム、ホーミングして貫通まで備えボンバーも最強のゼリーミサイル、この4つのウェポンを使い分けて攻略していくのだがこれが上手い具合に調整されたものになっている。ミスをすると使用していた武器のレベルが一気に最低まで下がるのだが、使っていなかった残り3つの武器レベルはそのままになる。このため武器を使い分ける戦略性やリスクとの駆け引き、パワーアップの戦略などが求められるスリルあるものになっている。
また面白いのは使いやすい武器ほどスコアをあまり稼げず、扱いにクセがある武器ほどスコアを稼ぎやすいというところである。今作はコンボシステムを採用しているのでまとめて倒すと大量の得点を手に入れることができる。
例えば敵編隊が出てきたとき、バルカンで残らず倒すことはたやすいがコンボは起こらない。一方でここで貫通レーザーを使うとすると、残らず倒すには敵配置の暗記と的確なポジション取りなどが必要になるものの、一度のレーザーでまとめて倒すことができコンボが発生、大量の得点を得ることができる。こういった面でも武器の使い分けが効いてくるバランスになっているのだ。このためやればやるほどにその配置の意図を読み取り、スコアを伸ばそうという意識も強まる。
50万点ごとにエクステンドするという仕様もこれを後押ししていて、ある程度のスコア稼ぎがクリアに近いバランスともいえる。一方で鬼のようにスコアを稼ごうとせず、使いやすいバルカンと強力なゼリーミサイルを使って安全にクリアという解法も許容されている。遊びに幅のあるSTGに仕上がっているのだ。パロディウスやバトルガレッガのようにスコアアイテムを連続して取り続けると得点の素点が増えていき爆発的にスコアが伸びる点も面白く、地形にスコアアイテムが当たると地形に沿って動いてくれて取りやすいという良い配慮も存在している。ゆるいギャグに埋め尽くされている今作だがその中身は初心者からマニアックなスコアラーまでうならせるほどのガチな作りになっているのだ。

~ミニゲームもアツい! もはやこっちが本編?~
今作には3つのミニゲームが本編とは独立して存在しているのだが、ミニゲームじゃなく普通に一つのゲームとして売り出してもいいんじゃないか!?と驚くほどに完成度が高いものになっている。テニスが如く球を打ち返し、ホッケーのようにゴールに入れる「パンチボール」、超速スクロールで爆走し最速を追い求める「スカイサーキット」、レーザーと地雷搭載した戦車を駆使し自分以外の戦車を残滅する「タンクバトル」がそのミニゲームなわけだが、このうちパンチボールは2P専用なので一人だと遊ぶのに難ありだが残る二つ、特にタンクバトルが極めてアツい仕上がりになっている。
スカイサーキットではレースゲームのタイムアタックのようにコースの把握とブーストをかけるタイミング、カーブ地帯での減速加速のバランスがカギを握り2P対戦も可能でありレースゲーム好きにはたまらないものだろう。
タンクバトルはフィールド上に地雷を設置しつつレーザーを使って相手戦車を倒していくわけだが、このバランス調整が極めて秀逸。地雷は設置してしばらくすると見えなくなるのでそこに相手を誘い込む、ないしレーザーを当てて起爆させるというのが基本戦略となり、レーザーは壁で反射する性能になっているので戦車ではかなりかわしにくい。このレーザーと地雷の駆け引きが極めて面白いものになっている。誰にも気づかれないような位置でレーザーをちょこちょこ撃ち、のこのこやってきた相手を設置してあった地雷で爆殺! といったことだったりドンパチやっていたら不意打ちでレーザーがすっ飛んできて大ピンチ! 普通に移動していたらいつ設置されたか分からない地雷を踏んでそこでゲームオーバー! みたいなドラマが起こりやすい構造になっている。さらにこのミニゲームのみなんと4人対戦も可能。このアツすぎるバトルゲームのために今作を買うのも十分に有りだ。

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