2016年11月08日

今月の一本 VVVVVV(日本版)

今月のオススメゲームはこいつです。これが500円ってのも流通のゆがみなんだかいい時代なんだかよく分からないね……
それはそうと今回から一応カテゴリを設けてみることにした。というかいったんカテゴリの見直しとかやった方がいいのかねー。自分で備忘録的に使うときは雑記に放り投げでも困ってはいないんだけど……
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DATA
発売 / 開発 :pikii / Nicalis、Terry Cavanagh
登場時期 : 2016
ジャンル : 2D即死系アクション
機種 : 3DS



〜おなまえなんてーの?〜
VVVVVVはTerry Cavanaghが制作した2D即死アクションゲームである。海外のインディー界にその名を轟かせ、日本でも知る人ぞ知る著名なインディーゲームと言っていい作品である。有りそうでなかった重力反転を利用したシンプルなアクションとレトロゲームを意識したグラフィックと音楽、そしてトゲの脅威を混在させ高い次元でまとめ上げた偉大なる傑作である。
VVVVVVが優れたゲームであるのは明白な事実ではあったのだが、こと一つだけ敷居を高める要素があるとすれば言語の問題であった。確かに単純なアクションゲームであり、文字が理解出来なくても楽しめるものではあった。しかし登場人物たちの会話やステージ名を理解出来なくてはその面白さを全てを理解出来ない。これはしがないゲーオタには由々しき事態である。
この事態により大流行りしていたりサントラがめちゃんこ良かったりしていて好評を聞いてはいたものの自分は見逃していたが、時も2016年、実に登場から5年強過ぎてしまったが遂にローカライズされ国内に躍り出ることになった。ローカライズ担当のPikiiによるその徹底したローカライズはまさしく究極的なものであり、遂にVVVVVVの全てを楽しめるときが来たのだ!
ちなみにゲーム界屈指の難読タイトルの今作であるが、海外では「シックスブイズ」と呼ばれているし日本でもチラホラそう呼ばれ始めているのでここでも倣わせて頂きます。でも好きなように呼べばいいと思うよ(俺が決めることじゃないけど……

〜VVVVVVery exciting! and VVVVVVery hard!〜
VVVVVVを知らない人のためにもかいつまんで今作の内容を説明しよう……といっても、まあ所謂死にゲーである。そりゃもう、見ればわかる。至る所にちりばめられたトゲ、トゲ、トゲ。あそこにもトゲ、トゲ、トゲ。どこを見渡してもトゲ、トゲ、トゲ。もちろん触れれば即死。こうした極限状況の中を潜り抜ける、由緒正しき死にゲーである。レトロを意識したグラフィックにサウンド周りも特徴で死にゲーの基本を押さえていると言っても良い。非常に統一感のある、シンプルなデザインが特徴的だ。
今作独自のアクションは「重力操作」である。このゲームはジャンプが存在しない。しかし空中制御によりトゲを回避することを要求される。んじゃあどうやって宙を駆け巡るのよ、という解が、コレ。通常重力は下にかかっているが、ボタンを一押しすると重力の向きが上になる。これにより上方向へ主人公はすっ飛んでいく。そして天井へ張り付く。この「空へ落ちる感」は2Dではあるものの「GRAVITY DAZE」のような「落ちる」楽しさがある。なるほど。初めは「ジャンプじゃねーのかよ!そんなん死にゲーでは扱いにくくない?」なんて思ってはいたものの、本編をクリアした今ではこれほどハマっている操作系は無いとすら思える。ボタン一つで空中かっとび!トゲとトゲの間を縫うように動き超速でステージを駆け巡る快感!これこそがVVVVVVの醍醐味だ。
そう、VVVVVVの魅力はこのスピード感だ。今作は死にゲー屈指のテンポの良さを誇っている。全体的なゲームスピードが速く、加えて主人公の移動速度も高速。そのため死ぬ速度も超速だったりする。復活したと思ったらその2秒後には死んでいるなんてのは日常茶飯事。しかしチェックポイントが至る所に設置されているから安心&復活も高速で即座に難所に挑むことが出来る。高速で宙を舞い高速であの世へ旅立ち高速で復活して高速でトゲを潜り抜け高速で敵の動きを見切り高速で死に高速で蘇り高速で次の部屋へ向かう。この高速感こそがVVVVVVの肝だ。無駄なものを一切取り除いたその純度は極めて高く、その中身は驚くほどに過激過剰。次々と針の穴に糸を通すような極限状態の死闘が次から次へと襲い掛かってくる。しかし不思議と理不尽さは無い。それはやはりゲームバランス、レベルデザインの組み立てが上手いからであろう。チェックポイントが多く置かれていることもさることながら、過度なゲームスキル反射神経精密動作を要求される場面は少ない。やり込み要素のアイテム収集を考えなければその難易度はじっくり挑めば必ず道が見えるレベルの物であろう。そして今作の再プレイ性は超スピードの影響により非常に高い。そのため一度や二度の失敗で諦めることなく「クソッ!次こそは!」と闘志を燃やして挑戦することがやりやすい。シンプルながらもアツいプレイが楽しめるのはやはり練りに練り込まれたこのバランス調整の良さにある。一歩間違えれば理不尽ゲー一直線にもなりかねないこのジャンルでこのレベルのものをよく作ってきたな!と感服するほどだ。
加えて評価の高いポイントがそのステージのバリエーションだ。今作はワールドマップからいくらかのエリアに別れたステージを自由に探索攻略していく、いわば軽いメトロイドヴァニアのような作品でもあるのだが、各エリアごとに特徴的な仕掛けが登場するような設定になっている。ギミックとしては触れると強制的に重力の向きを変えるワイヤー、移動する床と天井、更には上下左右が繋がる擬似固定画面アクションとなるステージもあり、これらが複合されたものも無論登場し終盤はこれらをふんだんに使った凶悪なステージが待ち受ける。また、各エリアクリア後に独自のルールで挑むステージの存在もあり、中にはワイヤーを上手く利用したミニゲーム(グラビトロン)までも登場する。次から次へと新たなギミック、新たなルールでの戦いが続く過激なゲームではあるがその分一瞬たりとも飽きさせない。ジェットコースターのような疾走感のまま突き進む、キレのあるバランス構成だ。
また死闘激闘を彩り支えてくれるのが、ちょっとだけ先述したサウンドの良さだ。Magnus Palsson氏(正しくはPalssonのaの上に○)によるレトロを意識して作られた音楽はまさに圧巻の一言。死にゲーにおいて音楽は非常に重要であるのはご存知の通り。音楽という潤滑油が無ければ気の遠くなるような死闘も楽しく乗り切ることは出来ず、また音楽が優れているからこそどんなに難しくても挑んでみようと思わせるものなのである。その点VVVVVVの音楽は聴いた瞬間一発合格。他にはない独自性を保ちつつもどこか懐かしいあの古き良き死にゲーが多かった時代を彷彿とさせるような音色と耳に残り思わず歌いだしてしまうようなキャッチーなメロディ。全曲捨て曲がないとまで言えるほどの完成度の高さだ。特に「Positive Force」のインパクトの高さは特筆すべきだろう。ラストステージなど極めて印象的な場面で流れるこの楽曲は、VVVVVVの代名詞と言っても過言ではないほどのインパクトを持ちその驚異的なステージの数々を彩り衝撃を強めてくれる。音楽面を取ってみてもVVVVVVは至極の一品だ。
ここまで褒めちぎってしまったが、そうは言っても超難易度のゲームなだけにやはり人を選ぶ感は否めない。理不尽な思いを胸にして途方に暮れることもあろう。しかし、1ミリの狂いもない操作と0.1秒の狂いの無い判断を繰り返し、超速でステージを駆け巡りそして死にすぐさま復活する、これを繰り返していくうちに次第にある高みへと到達することが出来る。そしてその高みへと到達したとき、難所を突破しこの世のものとも思えぬ快感を享受することが出来るゲームであることも事実だ。自分で試行錯誤して何かを掴みとったような感覚、何かを成し遂げたというこの感覚に勝てるものなどあるのだろうか。VVVVVVは死にゲーとしてのゲームとして正しき姿の作品だ。苦行のような道のりの果てに確かに手に残る何かを掴み取りたい人は手に取ってみてはいかがだろうか。

〜独自要素がアツい!3DS版の魅力〜
……とここまで全く物語部分とローカライズに触れぬままVVVVVVの紹介をしてしまったが本題はこっちだ!なぜ今更VVVVVVを取り上げるに至ったかと言えばそれはひとえにこのローカライズの部分に他ならない。なんてたってこれでようやく本作の物語とかが理解できるようになったのだから。
今作の物語は「宇宙船の事故で異次元に飛ばされたヴィリジアン船長と5人のクルーたち。プレイヤーはヴィリジアン船長となって、今にも崩壊しそうな次元の原因を探りながらはぐれてしまったクルーたちを探しだせ!」といったものである。よくある話、と言えばそうなのかもしれないがその物語の質は非常に高いものだ。それは個性あふれるキャラクターのおかげといってもいいだろう。船長含め6人のV達は見た目こそクリソツだが喋り方や性格などが短い会話文からにじみ出ていて強烈な個性を生み出している。どのキャラも魅力的で、助け出したくなること間違いなしだ。死にゲーは基本的にその阿鼻叫喚の難易度のみが取り出されがちな印象があり、物語性などの部分は希薄に感じられてしまうものがあるのが難点と言えば難点ではあった。今作はプレイ時間としては約3時間ほどでクリア出来るもので、重厚で長い物語ではないことは確かな事実だ。しかし、今作の物語はプレイ中飽きさせない圧倒的な濃密さを誇る。ストーリーは長ければいいというものではない。そういう意味ではグイグイと引き込まれ短い間に強烈な体験とともに刻み込まれる良質な物語は一発合格物だろう。
このように魅力的な物語も確かに今作の味ではあるが、今作の真価はそこではない。ローカライズの本気がうかがえるのはフロア名だろう。今作、各エリアのステージは多数の部屋から構成されているのだが、その部屋には部屋名が付けられており、そしてこの部屋名こそが今作を傑作へと押し上げた要因の一つだ。名は体を表すと言う。今作以上にそれを表現できているゲームはほとんど無いように思える。部屋名は全体的にセンスの良い洒落ていながらもノリが軽妙なものに仕上がっているのだが、恐ろしいほどにこちらの感じた感情、心理を突きに突きまくったかのような名前が多いのだ。例を挙げれば―「トラック センタク」と付けられた部屋に二つの分岐点、どっちを行くかで運命が決まるッ!というテンションで分岐を選択すると次の部屋では「ソノ センタク……オキノドクニ」という部屋名とともに地獄のような難しさ、そしてもう一方の方は意外と簡単そう……あの時あっちを選んでいれば…ッ!―といったようなことがしょっちゅう起こる。だんだんトゲのギミックよりも部屋名の方に注目が行き、ちょっとした息抜きと楽しみになってしまう。地獄絵図を楽しいものに変えてしまう。その変え方とセンスの良さには驚くばかりだ。特に秀逸だと思ったのが、「アエテ カコクナ ミチヲ イケ」にあるトリンケットを取るために苦労することになる一連の部屋。その難易度はまさに恐悦至極で何度も投げたくなるところだが、そうしたこちらの心理を読んだ「ナミダノ アジハ… ウマイ!」という部屋や「イージーモード カイジョ」という部屋の存在がまたクスリと笑わせてくれる。このような気の利いた部屋名が無ければ速攻でブン投げていたことだろう。このハイセンスな部屋名こそが今作の味であると思う。本編ラストの部屋名は今作屈指の何かこみあげてくるものがある、感動的な場面の一つだ。
今作のローカライズは非常に張り切りまくっていて、このような会話や部屋名に至るまで徹底した日本語化が行われているが、そこだけにとどまらないある種徹底しすぎたローカライズも魅力の一つだ。代表例としては序盤に登場する「ザ・イエスマン」であろう。その衝撃的な見た目から「そんなところまでローカライズするの……」と思ってしまうこと間違いなし。しかしやりすぎで何が悪い!こうしたやりすぎな遊び心も残されているのが愉快なところだ。
また、3DS版の恐るべきところは本編以外にも海外ゲームデベロッパーによってデザインされた追加レベルが収録されていることだ。この追加レベルも極めて良く出来ている上に、完全日本語化に対応。本編と対比して悪乗りが進んだぶっ飛んだストーリーや部屋名を心行くまで堪能することが出来る。追加レベルの種類はなんと18。更に本編と遜色のないボリュームを誇るものすら存在している。本編が終わっても長く楽しむことが出来る。

まとめるとこうだ。3DS版VVVVVVは元々ただでさえ完成度が高かった即死アクションを徹底的にローカライズし、更に完成度を増した3DS至高の死にゲーである。今からでも遊ぶのは全然遅くはない。VVVVVVはいつでもあなたの挑戦を待っている。
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※補足
3DS版にも問題が皆無ってなわけでも無く、本編クリア後トリンケット絡みでの強制終了バグが残っています。これで本編の面白さにケチがつくってほどのもんでもありませんが、注意すべし。パッチの登場が待たれますな……

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2016年10月25日

今月の一本 SF特攻空母ベルーガ(16bit版)

今月2本目はこれでござんす。それはそうとX68kとかPC6001とか触れた世代でも何でもないのにこれを取り上げてしまっていいんだろうか……。すっげー不安。かなり飛ばした文章と言うか、書いてる人の頭が飛んでるようなこと書いてるし……
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DATA
発売 / 開発 :セガ / M2、ゲームのるつぼ
登場時期 : 2015(PSVITA)/2016(Win)
ジャンル : 横スクロールSTG
機種 : PSVITA/Win
今回はPSVITA版をプレイ



〜伝説のゲーム〜
あくまで個人的な話だが自分は伝説のゲームやら神ゲーやらという異名の付くゲームが苦手だった。ゲーム自体は好きだけれども、そういった枕詞が付けばつくほどにゲーム自身が持つ凄みが失われていくような錯覚に陥り、安っぽいありふれたものに感じられてしまうからだ。そして勝手に祭り上げられていく様を見るのも、あまり好きではなかった。誰しもが崇め奉る、何故そのゲームが面白いのかということに「伝説のゲームだから」「神ゲーだから」なんて言われるゲームを見るだけで顔をゆがめてその場から逃げ出したくなるほどだった。
……しかし、そういった安っぽい言葉とも世間の祭り上げとも無関係なところに、確かに伝説は存在する。確かな面白さと革新的なシステムを搭載した、真に「伝説のゲーム」と呼ばれるべき作品は存在する。その答えが知りたければ「龍が如く0 基本無料アプリ for PlayStationR Vita」に収録されている「SF特攻空母ベルーガ(16bit版)」を遊んで来い!

〜やりたいことをやってやったぜ!〜
歴史の話から始めよう。松島徹という数々の偉業を成し遂げたゲームクリエイターがいた。氏はPC-6001に「タイニーゼビウス」や「スペースハリアー」を移植し不可能を可能にして見せた、まさに伝説と呼ぶに足るクリエイターであった。そんな氏がPC-6001の架空マシン上で動くWin用ゲーム「特攻空母ベルーガmkII」を2007年に送り出した。そしてそれは、レトロなデザインの中に革新的なシステムを採用した、まさしく一つの事件とも言うべき完成度を誇った傑作であった。
……そんなゲームがなぜ「龍が如く0 基本無料アプリ for PlayStationR Vita」にリメイクされ龍が如くともセガとも無縁そうなのに入ることになったのか?んなもんやりたかったからに決まってるじゃねえか!「龍が如く0 誓いの場所」のメインプログラマーであるI氏はこう語っている。
『(中略)
実は今でも、当時のPC-6001ユーザーは精力的に活動していて、私もよくオフ会などには参加させてもらっているのですが、そこで「ベルーガ16ビット版」を見せてもらう機会がありました。 とても趣味で作ったとは思えないクオリティーで、しかもあの松島さんが直接プログラムされていると聞き、これをなんとか世に出すということが、私のゲームクリエイター人生の目標の一つとなりました。』
見よ!一人のプログラマーにクリエイター人生の目標であり夢と語られるだけの力を、ベルーガは持っているのだ!そしてこの話に乗ることになったM2、ゲームのるつぼもとい松島徹氏により「SF特攻空母ベルーガ」はVitaへと馳せ参じることになった。

〜懐かしくも全く新しいSTG〜
さて、今作の特徴を説明しよう……といってもあれだ。パッとした見た目は昔懐かしの末期メガドラSTGともいう感じで特に語ることも無い。レトロ万歳。昔は良かった。完。
……それで完結するようなゲームだったらわざわざここで取り上げることもねえぜ!なんなら断言しよう。特攻空母ベルーガはVitaSTG史上最も革新的なシステムを採用した作品である、と。
今作の特徴は1ボタンで6つの武器を使いこなす操作性にある。自機には「ショット・レーザー・対空ミサイル・対地ミサイル・ボム・アームパンチ」が搭載されておりこれを瞬時にその状況に合わせて使いこなすのが特徴だ。まずたった一つのボタンでこれら6つの武器を破綻なく使える操作性が凄まじい。並大抵のゲームには絶対に出来ないことだ。武器の切り替えも非常に快適に行うことの出来るこの操作形態はもはや革新的ですらあるだろう。そして、この操作を思う存分に使わせるステージ構造が素晴らしい。思うがままに撃ちまくるだけでは苦戦を強いられる歯ごたえのあるバランスだが、要所要所でその状況に合う武器を使いこなすことで自然に突破できるバランスに仕上がっているのが上手いところだ。例を挙げると、炎の雨が降ってくる3面では空中で思うがまま撃っていても苦戦するだけだが、ここで対空ミサイルの存在に極めて自然に気付けるよう仕込まれている。対空ミサイルを使えば炎の雨は怖くない。4面では逆に地上から敵がワラワラと迫りくる。ここで対地ミサイルやボムの有効性に気付けるわけだ。非常に無駄が無く、その特異な操作形態を余すことなく使えるようステージは練りに練り込まれている。まさしく職人の技というのを体感できる。また、良くできたSTGの例に漏れず今作は稼ぎへの請求がかなり高い。適当にプレイするだけでは見えにくいスコア稼ぎの要素も、武器の使いこなしやギミックへの着目によりその奥深さを知ることが出来る。また、稼げば稼ぐほどクリアに近づくようなゲームバランスであり、極端なランクバランスでは無いことが特徴だ。今作の難易度はアーケードSTGのように地獄の一丁目の如く脅されるようなものではなく、家庭用上がりの風味に仕上がっている。つまりは、誰にでもクリアの可能性が開かれた良心的なバランス調整であるということだ。残機を溜め込み終盤を死にながら突破するバランスは往年の名作「ザナック」を彷彿とさせる。初心者から上級者まで飽きさせないバランスだ。また、ステージごとに小ミッションのような演出があるのも見逃せない。敵に捕らわれた味方を助け出すものや、巨大な敵をブッ倒すものまで様々で、非常にゲームを盛り上げるアクセントになっている。それらの要素も適度な濃さであるのがまた良いところだ。
さて、今作はもろに16bitなゲームなわけだが眼下で繰り広げられるそれは懐かしいだけなのかと言うとそれはもう全然違う。むしろ今だからこそ出来る驚異的な映像演出が仕込まれていると言ってもいいだろう。全体的なゲームの仕様は当時のハードスペックに合わせて作られているので、それを逸脱しないレベルではあるが、それでも今見てもなお鑑賞に耐えうる映像が作れているのはもはや褒め讃えるしかないだろう。見た目こそ末期メガドラ的ではあるが、背景、敵、地形ギミックに対する細部への書き込み量、そして爆破に対するこだわりは凄まじいレベルであり、非常に美しいものだ。そして今作を象徴するのが、敵基地爆破のシーンであろう。これこそがベルーガを代表する名シーンであり! これを見るためだけにベルーガを買っても全く後悔しないほどの衝撃映像なのだ! ヤケクソ気味に過剰な爆発描写が次々と表示され! 次の瞬間巨大なキノコ雲が堂々とその姿を現し! 多重にスクロールしまくり! ラスタースクロールが踊り狂うそれは! VITA史上最も美しいと言っても過言ではないほどの爆発描写であり! 全ての爆破系STGが追求し続けた完全なる爆発がそこには存在しているのだ! これを見なければVITAを買った意味はないとすら言えよう!
……なんだか無駄にアツくなってしまったがこれは筆者の頭がSTGのやりすぎでラリパッパな状態になっているからそう感じたわけではなく、心からそう思うのだ。ハード末期におけるハードの限界を超えるかのような表現がそこには確かに存在していて、それは確かにハードの制約を意識して作られたものだ。VITAの性能なら、ハッキリ言ってもっと過剰な爆破表現も出来るはずだ。しかし、あくまで16bitの、あの頃のハードの限界に挑むような魂がその爆破描写には宿っている。これは過去のハードを知り尽くしたメーカーでないと絶対に出来ないような妙技だ。移植技術に精通するM2及びゲームのるつぼだからこそ出来た演出であり、だからこそここまで心惹かれる何かがあの爆発にはあるのだろう。こんなのは他のどこのメーカーにもできやしない。彼らだからこそできた技だ。
確かに見た目こそ昔的で、現代の現実と見間違うほどのグラフィックと比べてしまうと古臭いものに見えてしまうかもしれない。しかしそこに込められた熱意、魂は紛れもなく純粋で本物だ。グラフィック、レベルデザイン、ゲームデザイン、サウンド、演出、全てにおいて一級品の今作はまさしく至極の16bitSTGである!! あの頃を思い出すために! そして現代にあの頃が確かに存在していることを知るために! 今こそ特攻せよ!ベルーガ!

〜原型もアツい!特攻空母ベルーガPC-6001版〜
「SF特攻空母ベルーガ(16bit版)」の原型でもある「特攻空母ベルーガmkII」は2007年に突如として登場したPC-6001を想定した架空マシンで動くWin用ゲームソフトであり現在もフリーで遊ぶことが出来ちゃうのだがこれもまた素晴らしく、まさしく生きる伝説と呼ぶのにふさわしいゲームであった。というか実際にPC6001に移植されちゃうあたりマジで伝説的ソフトなのだが……
今作の時点でベルーガの肝でもあった一つのボタンで多数の武器を使いこなす操作性は完成されているのが恐ろしいところである。16bit版と比べるとバランスが少し熾烈気味ではあるがそれでもやり込めばやり込むほどに先へ進める丁寧なバランス調整は健在だ。グラフィックの書き込みも驚異的なレベルでありまさしくあの頃がそこに広がっているとしか表現できないであろう。しかしプレイ感覚はまさに現代のSTGってところがまた、面白いところである。
そしてベルーガと言えばやはり爆散演出。今作から既にそのヤケクソ気味の過剰演出は確立されているといってもいいだろう。敵基地防御システムのコアをパンチングアタック! 特攻するベルーガ! 広がるキノコ雲! キャーステキー!
……一体どれだけの人がついてきているか不安になるがこうしたように過剰とも言える演出の数々が懐かしくも新しい体験を届けてくれる。興味がある方はプレイしてみると良いだろう。
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2016年10月11日

今月の一本 伝説を呼ぶ オマケの都ショックガーン!

今月の一本10月分はこれだビッチ!というわけで4本目の紹介文でございまする。
しかしクレヨンしんちゃんのゲームこれしか知らんから過去との比較ができんのがなあ。むー。うーん。
どうでもいいけどもうちょい増えたらカテゴリ増やしたりなんなりした方がいいのかな。

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DATA
発売 / 開発 :バンプレスト / インティ・クリエイツ、ナツメ(開発協力)
登場時期 : 2006
ジャンル : コスプレフレンドアクション
機種 : GBA


〜開発会社に目を向ける〜
世の中には海千山千のゲームが存在しているが、その中でもキャラゲーと言うのは厄介な存在だ。キャラ人気にあやかった怪しい出来の凡庸な凡作であればまだマシで、吐き気を催す邪悪のようなゲームすら存在する。
そんな手を出すのが危険なキャラゲーだが、無論ゲーム部分がしっかりと出来ている作品であれば十分な傑作となる。ではゲーム部分をしっかりした作品を見つけるには?ということになる。一つは見た目からの判断。しかしこれには見掛け倒しという落とし穴もある。ここで注目すべきは開発元だ。ここが信頼のおける、つまりは良作出しまくりでここのゲーム買っとけば損はしないッ!なんて会社ならそのキャラゲーはもうアタリのようなもんだろう。
そこで今作「クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ オマケの都ショックガーン!」の開発会社に目を向けよう。開発を務めたインティ・クリエイツは!あの伝説の超スピード特攻電波アクションである「可変走攻ガンバイク」でセンセーショナルなデビューを果たし!開発協力のナツメ(現ナツメアタリ)は!狂気の電波バカゲー「東方見文録」で鮮烈なデビューを果たしたところなのである!!
ゴメン今の忘れて。
冗談はさておき、インティクリエイツと言えば泣く子も黙る2Dアクションゲームの製作に秀でた会社で「ロックマンゼロ」をはじめ「ロックマン」関連作でその名をとどろかせる優良開発会社である。そしてナツメと言えば細かいところまで作り込む下請け会社として、マニアから絶大な支持を集める会社である。そんな2社が力を合わせてキャラゲーを作ったら!そりゃあマッスルドッキング並のゲームが出来あがるに決まってるじゃないか(なぜキン肉マン?)!かくしてショックガーンは約束されし優良ゲーとして期待され、その期待を上回る出来栄えを見せつけ真の万人向けキャラゲーとはかくあるべしというのを見せつけ、GBA屈指の2Dアクションの傑作として躍り出ることになった。

〜衝撃演出がめじおろし、ダゾ〜
「このゲームには、ばくしょうシーンやおバカなひょうげんがふくまれているゾ」
ゲームを始めて一番最初に表示される文章、及びボイスがこれだ。よくある注意書きを逆手に取った逆転の発想、及びお笑いの禁じ手(前振り段階で面白いことやると宣言すること)をも取り込んだその文章としんのすけのボイスに唖然とした。数多くのバカゲーを見ても、自ら「俺、面白いでしょ」と言いだすゲームは中々無かったように思える。それをいとも簡単にやってのけたその度胸に圧倒されてしまった。
プレイしてまず誰しも驚くのは、このゲームがほぼフルボイスだということだろう。アニメ版クレヨンしんちゃんの声でキャラが喋りまくる。ストーリーパートだけでなくゲーム中も声が多用される。今作がGBAであることを考慮すればその凄さが分かるであろう。ボイスを使用する場合音楽面が割を食われるが、音楽もしっかりとしているのが非常にポイント高いところだ。細かいところだが技術力が光る調整となっているだろう。エンディングでのまさかのボーカル付きのテーマ曲はまさしく必聴ものだ。
そして本当に圧倒されることになったのはそのゲーム演出であった。クレヨンしんちゃんを題材にとり食玩のテーマパークであるショックガーンにて2Dアクションステージを攻略して人々をお助けするのが簡単なゲーム内容だが、この2Dアクションステージの作り込みが物凄い。アニメ調でしんちゃんの世界観が再現されていることもさることながら、アクションゲームとして見ていて飽きないような配慮が徹底的になされているのだ。驚くべきは似た構造のステージが一つもない。そしてその上で道中もボスもぶっ飛んでいる。丸太を次々とジャンプしながら先を目指すステージや、ペットボトルロケットを次々と飛び移りながら上へスクロールするステージ、巨大鯨の体内を冒険するステージ、風に乗って風車の羽の間をすり抜けるステージなどなど、見るたびに「なんだこれは!」と声を上げざるを得ない構造の目白押しである。ペットボトルロケットのシーンでは思わず魂斗羅スピリッツのミサイル渡りが頭をよぎるほど、見ていて楽しくなるそれは愉快で痛快なものだ。ここにしんちゃんの世界観が合わさるのだからこれで笑わない方がおかしいとも言えるだろう。ステージ以上にビックリするのがボス。その衝撃的な強さと恐るべき見た目によりこちらの腹筋とメンタルを徹底的に破壊してくる。例を挙げればみさえはねぶたに扮して登場し、げんこつを繰り出してくる。ひろしはマンモスに扮して登場し、靴下の臭いを嗅がせて来る。その姿はまさにインパクト大。「なんじゃあありゃあ!」と声を荒げその強さに悶絶することになるだろう。
そのド派手な演出に合わせてか、難易度も年齢層に対してピリ辛で厳しめな高さではあるが、その窮地を救ってくれるのが「お助けカード」である。しんちゃんの仲間たち(登場人物)が体を張ってお助けしてくれるのだが、ただ単に役に立つだけでなくこの演出も驚くほどに凄い。まさかの一枚絵まで用意されているネネちゃんの慰謝料請求、ジュリアナテクノの音楽とともに颯爽と登場しセンスをまき散らすまつざかせんせい、全く意味はないがバカップルっぷりは伝わってくるミッチー&ヨシリンなどなど個性あふれる面々が原作のイメージを損なわない形でお助けしてくれる。この原作のイメージを損なわないというのが非常に重要で、キャラに与えられた役割をしっかりと理解して作られている印象を受ける。キャラゲーとしての愛を随所から感じる作りだ。
そのおバカ演出の数々を楽しむために、アクション動作はストレスを感じることのない作りになっているのも非常にポイントが高い。主人公しんちゃんの動きは全ての動作が小気味良いことが特徴でゲームテンポは極めてサクサク。それでいながらアクションゲームとしての歯ごたえはしっかりと残っており再プレイしやすい作りになっている。この辺はロックマンゼロシリーズでこなれたインティだからこそのバランスとも言えるだろう。難易度は多少厳しいものがあるが前述したようにお助けカードを積極的に使う、金さえ払えば絶妙のお助けをしえくれるぶりぶりざえもんを利用するなど救済措置を積極的に使えば誰でもクリアにたどり着けるようなバランスだろう。子供に対しても手を抜かない、しかしながらクリア出来るような配慮はする。こんな職人的なバランスがなされたゲームは中々無い。見た目はおバカそのものだがその手触りは優しさに満ち溢れている。そこもまた、しんちゃんらしいところだ。

〜お話も手を抜かないゾ〜
しんちゃんと言えば話が良く出来ていることを印象に持っている人もいるだろう。映画版のモーレツ大人帝国の逆襲やアッパレ戦国大合戦とかは特に有名だ。そして今作にもその色は強く残っているとも言えるだろう。今作にはアニメ版クレヨンしんちゃんの監督である「ムトウ ユージ」氏が監督・脚本・キャラクターデザインとして関わっているのだ。なるほど、確かにクレヨンしんちゃんらしさが非常に溢れていると感じたが、監督自らが関わっているのならそれもうなずける。
話の内容としては食玩のテーマパーク「ショックガーン」に大人たちが虜になってしまったのでカスカベ防衛隊が立ち上がり大人たちをお助けする、というものである。しんちゃんらしくギャグを挟みながらの展開で笑いが止まらないのもあるが、その一方で中々に考えさせる作品とも言えるだろう。終盤に展開されるフィギュア魔人たちの言葉には非常に考えさせられるものを感じ、単に笑えるゲームと言うだけでないものを感じた。子供だけでなく大人も物語面で楽しめると言えるだろう。
先にも述べたがこのゲームはほぼフルボイスである。そのため今作の物語は文章を読んでも、耳で聞いても楽しめるものになっている。しかもボイスはアニメ版と同じであるので非常に頭の中に入ってきやすい。キャラゲーとしての話の完成度の高さ、質の良さ、そのお話の伝え方などどの観点から見ても良くできたものになっている。ゲーム部分は極めてゲームゲームしており、物語部分はまるで一本のしんちゃんのアニメを見ているかのよう。この二つを上手く溶け込ませたインティクリエイツはやはり只者ではない。
このようにショックガーンは子供だけでなく大人だけでなくゲーマー層までをも満足させる作品なのである。GBAの最末期のその凄さを、ぜひ一度実際に遊んで体感してもらいたいものだ。


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2016年09月20日

今月の一本 Crypt of the NecroDancer

予想だに出来なかった3回目に突入した今月の一本。そしてまさかの2本目である。いやー本来はシルバニアでお茶を濁す予定だったんだけどあまりにもこのゲームが面白すぎてねえ……。こうした駄文を書き散らす次第になったわけである。ネクロダンサーが面白すぎるのが悪い。素晴らしいゲームだった。
しかし残念なのが自力ではクリア出来ない部分があったことか……。こんな状態で紹介文とか書いていいもんだろうか。まあもう書いちゃったんだから仕方ねえケド。
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DATA
発売 / 開発 :スパイク・チュンソフト(日本) / Brace Yourself Games
登場時期 : 2015(Win,OS X, Linux)/2016(PS4,PSVITA,iOS)
ジャンル : ローグライクリズムアクション
機種 : PS4/PSVITA/Win/OS X/Linux/iOS
今回はVITA版をプレイ



〜ローグ&音ゲー その斬新な組み合わせ〜
アイデア発想法の中には「既存のものを組み合わせる」なんてことは定番と言えば定番である。いやもうそりゃまったくもってその通り。しかし現実は往々にして無慈悲であり破綻なく組み立てられているものは少なく、アイデア先行型の悪魔合体、合体事故の如きゲームもよくあった。
初めてその存在を知った時は期待よりも不安が走った。「これは大丈夫なのか?」と。ローグライクゲームと言えば「トルネコ」「シレン」に該当される「不思議のダンジョン」系ゲームであり、詰将棋の如く確かな知識を要求されじっくり考える思考型のターン制RPG。かたや音ゲーはリズムを体にしみこませ「曲にノる」音楽的センスとそれを実行するための反射神経が要求されるゲームだ。ハッキリ言ってジャンルが違うどころか相反している。これを破綻なく組み立てるなんて出来るのだろうか。
……結論から言おう。クリプトオブネクロダンサーはその二つを見事なまでに組み合わせた作品だと。それどころかローグライクゲームに全く新しい風を吹き込んだ傑作だと。

〜美しいシステム〜
先述した通り今作はローグライクと音ゲーをリミックスしたものである。そのシステムについて触れて行こう。
基本的にはローグライクのお約束を踏襲したものになっている。ダンジョンの形状は毎回変わり落ちているアイテムも違う。その場その場で「どうするか?」といった判断が求められるのはローグのエッセンスが詰まってるだろう。では最大の違いはどこか。それはターンシステムである。このゲームでは楽曲のリズムがターンに対応しており、音ゲーにおけるマーカーに合わせて行動する必要がある。複雑怪奇なリズムは無く基本的には一定であり音ゲーの中では「リズム天国」のような感じである。敵もリズミカルにそのリズムに合わせて行動している。このリズムに合わせて行動しながらダンジョンを攻略するのが基本的な流れである。
この「リズム=ターン」のシステムによって今作は全く新しいゲームとなった。思考型のゲームであることは間違いないが、従来の時間をかけて考えられる場面はほとんど存在せずむしろ瞬時の判断力がものをいうバランスへと変貌したのだ。リズムに乗って行動し敵のリズムを見切り敵のダメージを喰らわずに倒すのが最重要となる。ローグライクにおいて先制攻撃や牽制は基本動作であるが、今作は見た目こそ異端ながらその本質をこれでもかというほど強く意識した作品である。それが強く現れているのが主人公の体力や敵の火力。歩いても体力が回復しないこと、敵の火力がかなり高めに設定されていることもさることながら、主人公のライフはかなり低めに設定されており一撃もらうだけで致命傷になりかねない。そのため敵の特性をしっかりと体系化し、楽曲のリズムも覚えていく必要がある。そして、そうして積み重ねた知識によってダンジョンを攻略していく。それはまさしくローグライクの神髄である。異端ながら王道を行く、そんな言葉が似合う。
ゲームとしての難易度はかなり高い部類に含まれると思われる。まずその全く新しい感触に慣れなくてはいけないこともそうだがそれ以上に気を抜いたり判断を誤ると即死しかねないバランスであり、プレイにはある程度の緊張感が漂う。しかしそれを逆手にとったか、今作のダンジョンは他のゲームに比べてもかなり短めであり集中力が持続する時間でスパッとクリアできる範囲に収まっているのが特徴とも言えるだろう。基本となる4つのダンジョンは通常フロア3つボスフロア1つで構成されていて、これだけ見ると「む? 意外とボリューム少な目?」なんて思ってしまうが、1プレイにおける密度の高さが他のゲームをはるかに凌いでいることを考えれば全く気にならない。ここには音ゲー的な集中力のバランスのとり方が現れているだろう。死んでもすぐに再プレイしたくなることと、その際のテンポの良さは他のゲームの追随を許さない。また難易度こそ高いものの数々の救済措置が設けられているので何度も挑むうちにいつしかクリア出来るようなバランスが美しいと言えるだろう。今作にはダンジョン内での店で使える金貨以外に拠点で使えるダイヤなるものが存在しており、これを拾い集めて使うことで数々のアンロック要素を解放することが出来る。例を挙げれば「主人公のライフを上げる」「新たな強力武器の解放」「ダンジョンに道具持ち込み」等がある。これらのアンロックを解放しながら進めるのが基本的な流れであり、そうするうちに自然にクリアできるバランスに仕上がっているのが面白いところだ。また「だったらダイヤ集めておけばいいんだろういっひっひぬるゲー万歳!」なんてことにはならず、ダイヤは貯めることが出来ない(ダンジョンに挑む際に所持ダイヤが消滅する)ため歯ごたえのあるバランスが保たれているのもポイント高い。またローグライクが土台なだけあって最後にものを言うのがリアルラックというのもまた良く出来ているなーと思う次第である。
また今作を語る上で外せないのがその音楽面。ローグライクリズムアクションという複雑なジャンルかつローグライクとしては聴き飽きないものが求められ、音ゲーとしてはリズミカルでノリの良く更に短く締めるという非常に難しい楽曲作りが要求されたと思われる。しかしこの難しい命題をいとも簡単に成し遂げ、更には捨て曲が一つもない(!)なんていう驚愕ものの楽曲群を作り上げてしまってるのであるから驚きだ。作曲を務めたのは「Super Meat Boy」「The Binding of Isaac」の音楽を作ったDanny Baranowsky氏。リズミカルでありさらにはゲームデザインレベルデザイン面と極めて噛み合ったそれを作り上げたのはもはや感服するばかりである。また編曲にA_Rival氏とFamilyJules7xも加わっておりこちらも負けず劣らずの良曲となっている。
つまりこういうことだ。クリプトオブネクロダンサーは相反する二つのジャンルをただ単に融合させただけでなく、ゲームデザイン面レベルデザイン面音楽面を高次にまとめあげた作品だったのだ。これまでと全く違ったアプローチでここまでローグライクゲームの魅力を引き出したゲームは存在しない。全てが美しくまとまった今作はローグライクゲームとして間違いなく一級品である。今までになかったプレイ感覚を提供する、ローグライクの魂がここにある。

〜悪魔よりも悪魔的ダンジョン〜
おっかなびっくりの難易度を誇るクリプトオブネクロダンサーのメインダンジョンとなる4つのゾーンをはみ出し的に紹介! ついでにゲームモードについてもここで触れておくことにする。

”ダンジョン”
・ゾーン1
チュートリアルからいきなり送り出されるダンジョンにしては難易度が高め。厄介な動きをする敵こそ少ないものの、ゲームに慣れなきゃ死を避けることなど出来ない。ちなみに筆者は青スライムの対処が分かったけど理解することが出来ず無意味な死を繰り返した……。エリア3で流れる楽曲は今作屈指の名曲だと思うのだが、どうか?
・ゾーン2
自分と逆方向に同じ動きをするクローンや、鈍足ながら超火力のゴーレム、動かないが周囲にダメージを与える毒キノコなど個性あふれる面々によって構成される。難易度は順当に上昇しており「ゾーン1クリア出来たんだからこれもう楽勝っしょ!」なんていうプレイヤーの心をへし折るくらいには油断ならないゾーン。
・ゾーン3
マグマとアイスの二つで構成されるゾーン。マグマとアイスでリズムは同じながら曲のアレンジが違うという演出に惑わされると危険。また氷の床でリズムを崩してそのまま崩壊するパターン多し(実話)。スライムの摩訶不思議な規則性に動揺して攻撃をボコボコ喰らうこともしばしば(実話)。
・ゾーン4
カベをぶっ壊して進む迷宮的ダンジョン。難易度は言うまでもなく過去最高。決まった倒し方じゃないと倒せない剣士やカベに潜むクモ、死に際に爆弾を置くゴブリンや魔術を使って混乱させてくるリッチ、ダメージを与えると床にトラップを仕掛けるゴーレムやプレイヤーをワープさせてくるサルなど厄介な敵だらけで気分はまさに鰹節の死のダンスの如く踊り死にしかねない(何言ってるんだ

”ゲームモード”
・ノーマルモード
ゾーン1〜ゾーン4のうちどれかを任意に選択して攻略するこのゲームの基本となるモード。
・デイリーチャレンジ
一日1回挑戦できるモード。
・オールゾーンモード
一度も死なずにゾーン1〜ゾーン4をクリアし、スコアを競い合うモード。開始時のライフは3で固定され全てのアンロック要素が解放されている。
・オールゾーンモード(シード)
基本上と変わらないが開始前にシードを指定できる。そのため同じ構造のダンジョンに挑むことが可能。
・キャラクターセレクト
キャラクターを変更できる。ここから更に3つのモードを選択できる。
・ストーリーモード
このゲームの物語を追うモード。ケイデンス、メロディ、アリアの順にプレイをする。
・オールキャラモード
コーダ(後述)を除く9キャラで順番にプレイするモード。プレイ順番は任意。
・デスレスモード
死ぬまで周回プレイを続ける狂人向けのモード。
・マルチプレイ
アドホック通信を利用して協力プレイが可能。


〜迷宮に挑む者たち〜
個性豊かな操作キャラクターを軽く紹介しておこう。操作キャラが変われば難易度もプレイ感覚も変わるので「難易度が物足りないぜ!」なんていうハードコアゲーマーの諸君や「難しすぎて俺には無理…」なんていう俺みたいな人たちもキャラを変えれば見える世界が変わってくるぞ!

・ケイデンス
デフォルトのキャラクター。ストーリーが存在する。個性は無いもののそれゆえ何かに縛られたりせずに攻略することが可能。
・バード
リズムを無視して攻略することが可能。敵はプレイヤーが行動した後に行動する、言わば普通のローグライク風味のゲーム体験を味わえる。間接的に難易度が低くなるのでこのキャラでロケハンしておくのが初心者にはオススメ。最初から居てハゲているのが最も目立つ特徴だったりする悲しき中年。
・イーライ
爆弾を無限に使え設置した爆弾を蹴り飛ばすことの出来るボンバーマンみたいな男。攻撃武器を持ち込むと自害する。
・ドーヴ
敵にダメージを与えられない平和主義者。最初から階段が解放されており小ボスを倒す必要がない。ボスフロアは存在しない。ショップでは好きなアイテムを一つ無料で貰える。攻撃武器を持ち込んだり、ちんたらして曲が終わってしまうと自害する。
・モンク
金を拾うと自害する修行僧。敵の倒し方にまで気を配る必要がありその難易度は極めて高い。脳味噌を「モンク脳」にすることが重要かつ必要。ショップでは好きなアイテムを一つ無料で貰える。
・ドリアン
1マス飛ばしで移動する靴を強制で装備しているケイデンスの父親。初期装備は充実しているが1マス飛ばしの靴が極めて厄介で「コイツ使えねえ!」の罠にハマることもしばしば……
・メロディ
専用武器を持つケイデンスの母親。ストーリーが存在する。例によって武器を持ち込むと自害。専用武器自体はかなり強いものの(移動時に攻撃判定が行われるトリッキーな範囲武器)移動しなくてはならないというのが難点と言えば難点。囲まれると逃げ道無し。
・アリア
ケイデンスの祖母にして、武器がダガー固定、リズム外すとミス、曲が終わったら自害、武器を持ち込んだら自害、体力が僅か0.5でミスすると死亡というとんでもないマイナス能力を持つ超高難易度キャラ。ストーリーが存在するもクリア出来なかったのでどんな話かは筆者は不明。一応ポーションを持っているので実質2ミスで死亡するキャラだがそんなことは気にならないほどに難しくよく死ぬ。店のアイテムもなぜか2つしか出ない。
・ボルト
最速のあの男にあやかってかリズムが倍速。最初から槍を持っている。
・コーダ
アリア、ボルト、モンクの特性を併せ持つ鬼畜の所業のようなキャラ。アリアがクリア出来ていないので詳しいことは知らんが人間辞めないとクリアすることなど不可能な予感がプンプンする。もしかすると、こんなキャラを生み出したBrace Yourself Gamesこそがもっとも鬼畜だったのかもしれない……


〜他の機種ってどうよ?〜
オリジナル版から遅れて登場した日本版家庭用移植版。自分がプレイしたのはこっちなのでむしろ本家を知らない状態だが、それでも「これは傑作だ!」と思わせてくれるほどの作品だったように思える。PC版との細かい差異もあるのだろうが、手軽に遊ぶのならPS4/VITA版も十分にアリだ。
PS版に採用されている大きな違いは、発売元となったスパイク・チュンソフトのキャラのアバターでプレイできることだろう。シレンやモノクマなどがダンジョンをうろちょろする様は必見。また、ダンガンロンパとグルーヴコースター3の楽曲が収録されており気分を変えてプレイすることも可能。好きな音楽でプレイするのもまた一興だろう。逆に痛いのはカスタムサウンドトラックが無いこと。オリジナル版には普通に採用されているのがちょいと悲しいところだ。
コンシューマから少し遅れて出たiOS版であるが、むしろこれが完全形だったんじゃないの?とまで疑わしくなるほどの充実ぶり。iTunesを使ったカスタムサウンドトラックを実現させ、PS版に搭載されていた要素は全て据え置き。果ては値段まで安い(600円、ちなみにPS版はクロスバイで2機種買えるにしても1,800円+税とそれなりの値段)と大盤振る舞いである。
自分がVITA版を選択したのは「それしかハードを持ち合わせてなかった」ということもあるが「ボタンで操作したかった」、と言うのもある。しかし安価で大盤振る舞いのiOS版の存在を考えるとそんな熱心にPS版を推すか? という気分にもなってしまう。またオリジナル版の方が気になるという人もいるだろう。とどのつまり悩んでるなら「全部買え」と言うのが正しい選択なのかもしれない。あっでも快適にいつでもどこでもプレイしたいというならVITA版、結構おススメです。

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2016年09月15日

今月の一本 シルバニアファミリー おとぎの国のペンダント

早くも定番コーナーと化しているのか、それともテンパった駄文をとりあえず書いているだけなのか、というわけで当の本人も記憶があやふやな新企画「今月の一本」はまさかの2回目に突入。今回ご紹介するのは過去にもネタにした「シルバニアファミリー おとぎの国のペンダント」。よりによってこれかよ!と思わないでもないが、ここ以外で全くと言っていいほど取り上げられることがないのだから仕方がない。いまやエポック社と言っても「エポック社ってゲーム出してるんすか?」「ドラえもんの名作があるところか」「あーガントレットレジェンド出してたところだね!」「R-TYPEDXのとこだろ?」「ああ一時期ファルコムのゲーム出してたとこだよね!」「カセットビジョンのきこりの与作が泣ける」なんて意見しか聞かないぞ(後半偏りすぎ)。ここは一発エポック社の看板タイトルであるシルバニアを知ってもらいたいもんである。
…なんて言っても当の本人もあんまシルバニアファミリー知らねえんだけどな。ゲームでの知識しかないし。そもそもエポック社自体も名作ばっかり出してたメーカーってわけでも無く割と謎めいたゲーム出したりしてたからな。もしかしたら今作もそんな部類の作品かもしれん。うーむ。なんだか急激に不安になってきたがとにかく値段が安いから皆さんもプレイしなさい(命令)
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DATA
発売 / 開発 :エポック社 / M.T.O INC.、ロックス
登場時期 : 1999
ジャンル : RPGアドベンチャー(私的仮称)
機種 : GB/GBC


〜エポック社看板タイトル来たる!〜

RPGと言えば泣く子も黙る人気ジャンルであることは周知の事実。そんなRPGも数が膨大になるにつれてジャンルの細分化が進むようになりもはやその線引きはよく分からなくなってきた感じもある。ドラクエのようなオーソドックスなものからアクションRPG、オープンワールドRPG、ジュブナイルRPG、果てにはあたしのためのRPGなんてものすら登場した。
そんな大人気RPGであるが、中でも非常にニッチなジャンルとして「戦闘の無いRPG」なるものが存在している。moon、エンドネシア、チュウリップなどきわめて個性的なこの手のジャンルの作品を生み出したラブデリック及びそこから分家した会社が手がけたことにあやかり「ラブデ系RPG」なんて呼ばれ方をすることもある。戦闘の無いRPGとして名高いイーハトーヴォ物語もこのジャンルであり最も古い作品(だと思う)であり実は年季の入ったジャンルでもある。
ダラダラと長くなった。今回紹介する『シルバニアファミリー おとぎの国のペンダント』もそんな戦闘の無いRPGと言えるだろう。数々の名作と凡作を送り出してきたエポック社だが自社の看板タイトルでもあるからか、その気合の入り方は尋常なものではなく、それに応えるようゲームもしっかりと作られた万人向けの良作である。エポック社の魂がこのゲームには詰まってる! 過剰なシルバニア愛を感じ取れ!(シルバニアファミリーを紹介するテンションじゃねえよ

〜ほのぼの村生活〜

今作は戦闘の無いRPGだがじゃあ何するのよって話になるのは至極当然。具体的には困っている人の悩みを解決したり元気のない花をイキイキさせていくことで経験値がたまりレベルアップするという構造になっている。前者はともかく後者は納得し辛いと思うが、ようせいさんの力でその辺は上手いことやっているのだろう。レベルを上げていくことで主人公であるアイボリーのウサギちゃんの行動時間が伸びていく。初めは家と学校の往復だけで一日一日が終了していく淡々とした悲しい生活だが次第に村の人々との交流も出来るようになっていく。果てには洞窟を散策したり気ままに釣りをしたりとのんびりとしたスローライフ生活を送ることが可能。アグレッシブに行動すればするほどその生活もどんどん身のあるものになっていくだろう。世の中やっぱり活動的な方が便利だぜ。
活動の拠点となるシルバニア村はほのぼのとした空気に包まれている。元の原作自体が幼女を対象にしているからか、殺伐とした空気や黒い一面なんかは皆無で常にまったりとした雰囲気である。しかし特徴的なのがそのマップ構造。今作、実はかなり迷いやすく作られている。元気のない花を発見してもそこへ辿りつくのに複雑に配置されたブロック地帯を抜けたりするのに悪戦苦闘。更にはそこに行動時間制限もかかってくる。行動可能時間が無くなる前までに家に帰らないとマズイ!ってことで以外とそのプレイ感触はハラハラドキドキ。しかしこうした心地よい緊張感が伴うプレイとなるので生温いだけでなく適度なバランスだとも言える。特に行動時間が伸びてシルバニア村を探索できる範囲が広がるバランスはこの手の作品の中でも最高峰のバランスだと感じる。惜しいのはこのバランスが対象層の幼女向けでは無かったということか……(結構難しい)。難しいと言えば今作、ミニゲームもあるのだがそれもかなり難しい。特に橋渡りのミニゲーム(リズムゲーム)の難易度は常軌を逸しており筆者は一度たりともクリアすることが出来なかった。しかしミニゲームは基本出来なくてもゲームクリア条件とは関係が無く、やり込みに収まっているのも優しいところ。ミニゲームクリアで経験値がたまるが、それを除いても普通にクリア可能なバランスとなっている。この辺の配慮は流石とも言うべきか。優しい作りである。
今作は一応キャラゲーに分類されるが、筆者がシルバニアファミリーを全く知らぬトンチキ野郎で「メトロイドヴァニアにあやかってシルヴァニアとか出ねーかなー」なんてほざいているどうしようもない人物なのでその作り込みがどの程度のものなのかはあやふやなのだが、非常に丁寧に作られている印象を受ける。それを感じるのがワールドマップ。なんと原作のシルバニア村をほぼ再現しているのだ! と言ってもホントか分からないんだが(意味ねえな)、公式マップなんかと見比べてみてもあるべきところにあるべき施設が配置されている。物量的には続編の2にやや劣るものの抑えるべきところは抑えており、何よりそれがゲームとして破綻せず落とし込まれている。このようなところまで配慮されたキャラゲーはあまり多くなく、開発陣のシルバニアファミリーへの愛を感じるところだ。
また、今作には単にクリアするだけでなくやり込み要素もかなり充実している。花育てや村人との交流での写真撮影、家具の模様替えなど様々なやり込み要素が存在し、極めようと思えばかなり長いこと楽しめるタイトルになっている。本編とはそこまで関係が無いが、スローライフ生活を彩る清涼剤のような働きをしてくれるのも確か。家具の模様替えなんかは原作自体がそういうもん(だと思う。やったことないから分からんが)だからか、かなり凝っており自室を自分流に染め上げるのもポイント高い。ほのぼのとシルバニア村で過ごせるギミックがそこかしこと仕込まれた、良くできたRPGである。

〜実はバカゲーかも〜

……とここまでは良くできたRPGアドベンチャーだと言うことしか述べてこなかったが、そんなもんじゃこのゲームの深淵を語ったことにはなりませんぜ旦那。なにせ今作には底知れぬ狂気が混在しているのだから。てめえさっきは暗黒面なんて無いなんて都合のいいこと言ってたじゃねえかとお怒りになる方もいると思うが、舞台となるシルバニア村は本当に優しさに包まれたホンワカまったりとして良い場所で狂気は存在しない。それが存在するのは「おとぎの国」である。
遅まきながら今作のストーリーについて語ろう。事の発端は主人公であるアイボリーのウサギちゃんがおとぎの国のようせいさんが怪我しているのを助けてあげるところから始まる。ようせいさんはお礼を言っておとぎの国へ帰ってしまうが、その時ペンダントを忘れて行ってしまう。困ってしまったアイボリーのウサギちゃんはペンダントを持ち帰り、寝床へ着くと夢の中に先のようせいさんが現れる。「あのペンダントは必要なものなんだ! だから返して! ついでにそのペンダントに5時までに家に帰って寝ないとその日の出来事が夢になる魔法がかかっているから気を付けてね!(意訳)」。かくしてペンダントを返すアイボリーのウサギちゃんの冒険が始まる……ってちょっと待てーッ! こんなのただの強迫じゃねえかーッ! しかもこちとらおとぎの国の場所も教えてもらってねーぞ!幼き乙女のアイボリーのウサギちゃんにその日の出来事を夢にするなんて衝撃的な呪いがかかってるとは、もはや血も涙もないようせいさんたちである。ゲームが進行するにつれてようせいさんの暴走もエスカレートしていく。部屋の模様替えの家具はようせいさんから買うことが出来るのだが、これが毎日のように夢に押しかけ家具の押し売りを始めてしまう始末。毎日毎日同じ内容の夢を見させられる破目になるとは……。もはや悪夢のような事態にも思えてくる。
そして驚愕のエンディングが待ち受ける。紆余曲折ありようやくおとぎの国へ辿りついたアイボリーのウサギちゃん。いよいよペンダントをようせいさんに返す時が来た……と思いきやここでようせいさんから一言。「これは、ぼくたちからの最後のプレゼントだよ!」と言って逆にペンダントをプレゼントされてしまう。今までの冒険はなんやったんやーッ!! ペンダントの呪いが解けたような描写は無くおそらくはそのまんま。これがおとぎだと言うのか。これは果たしてメルヘンと言えるのか。メルヘンと言うよりもメンヘル、シルバニアと言うよりもヘルニアと言った方が適切ではないのか。そんなことすら考えてしまう衝撃の展開が待ち受ける。

しかしこんな具合に狂気が垣間見えるもののゲーム自体は至極ほのぼのとした空気に包まれやりごたえのあるRPGとして成り立っている。上のぶっ飛んだ物語もある意味バカゲー的に楽しむことも出来るだろう。一ゲームとして、一RPGとして非常に優秀な作品であることは間違いない。悲しいくらいにマイナーな今作だが中古ショップ等で見かけた時はぜひとも手に取ってほしい。ついでに続編であり今作の正当進化でアッパー版とも言える2やナツメ開発と噂の森の仲間と踊りましょも見かけたら保護に走っていただければこちらとしても幸いである(何が?

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2016年08月22日

今月の一本 flOw

今の自分に足りないのは情熱なんじゃないかそうだよ熱意を失っては無気力極まりない現状を打破するには情熱溢れる制作物に触れなくてはいけないんだそうだ情熱だパッパッパパパパッショーン!!なんて錯乱してる感じに過ごす一日。そんなわけで不定期開催新企画と題して本日遊んだ「flOw」なんてのをご紹介。この作品は、なんとあのthatgamecompanyが作り出したのだッ!なんて言って反応してくれる人がどれだけいるか極めて不安だが……。有名どころだと、風ノ旅ビトを作ったところッス。しかしかれこれもう10年近く前の作品なのか……(Flashゲーとして登場したのが2006年、PSNゲーとして登場したのが翌年らしい)
_____

DATA
発売 / 開発 : ソニー(SIE) / thatgamecompany
登場時期 : 2006年(Flash)/2007年(PS3)/2008年(PSP)/2014(PS4、PSVITA)
ジャンル : Zen
機種 : Flash/PS3/PSP/PS4/PSVITA
公式:http://www.jp.playstation.com/software/title/jp9000cusa00178_00flowplaystation4.html

(今回はVita版をプレイ)

今作は風ノ旅ビトにて爆発的な知名度を獲得した(と思う)thatgamecompany謹製の作品で同社の2作品目に当たり、更には初コンシューマ進出でもある。thatgamecompany特有の空気感は今作の時点で存在しており同社のルーツともなってるような作品である。
そんな「flOw」だが、どんな作品かってのは実は結構説明するのが難しい。なにせ流れに身を任せ漂うゲームとしか説明のしようがないのである。LSD並、とまではいかないが極めてゲームゲームしてない作品であり「ホントにこれゲームって呼んでもいいのか?」とプレイ開始した直後は思い悩み頭を抱えることになるだろう。しかしものの15分もすれば「thatgamecompany、やはりお前らは天才だ」と涙を流し感動することになるだろう(ホントかよ

ゲーム内容は至って単純。海の中をジャイロ操作でゆらゆらと漂うだけである。思うがままに漂え。以上。……で終わっちゃうとあまりにも身も蓋もないよなあ。一応クリーチャーを操作してプランクトンや他のクリーチャーを捕食しどんどん自クリーチャーを大きくしていくということや、どんどん海の底を目指し深く潜っていくっていう目的もあるが、ただそれだけ。感動するシナリオも圧倒的な敵キャラなんてものも無くハッキリ言って雰囲気が優れただけの地味で単調なゲームかもしれない。操作性もジャイロのせいでかなり悪い上にスティック操作も使えないとかなり厳しいゲームだ。
しかし何も考えずプランクトンを捕食し、深みへと潜っていくうちに、いつしか「flOw」の深みへとハマっていくことになるだろう。美しく幻想的な海の世界と優れた環境音楽のような音楽と、無機質だが暖かみのある効果音とが重なり合った世界はもはや総合芸術としか言いようがない世界。映像と音のシンクロという意味では今作に匹敵する作品も中々見ることが出来ないであろう。まさしく「ゲームでしか出来ない体験」に特化した作りである。そしてその体験こそが今作を語る上で欠かせないものになる。ゲームとしては捕食をひたすら繰り返し深海へと潜り続けるだけなのだが、そこには幾千のドラマが生まれている。一つのクリーチャーで海の底へとたどり着き冒険が終わった時、プレイヤーの心には「旅をした」というような気分にさせてくれる。この旅をしているような気にさせるゲーム作りはthatgamecompanyの十八番とも言えるものであり、これが後の「Flowery」「風ノ旅ビト」へとつながっているということを思わせる。

ところで今作の公式ジャンルは「Zen」である。Zenとは何ぞや?それは「禅」である……たぶん。一応禅パックなる謎の物がPSNにあったような記憶があるし……
それはともかく禅がテーマの今作だがぶっちゃけた話自分は禅なんぞは分からん。だがその空気感は非常に強く伝わってくるだろう。禅なんて知らない男が「flOwを遊んでいると諸行無常を感じさせる」なんてことを思う次第である。それほどに今作には何かを感じさせる力が強い。プレイ序盤は「オラオラー!それは俺のエサだてめーらどきやがれーッ!!」なんてつぶやき本体をブンブンと振り回していたが、次第に「もういい……もういいんだ……」などとつぶやき無の境地に至りながら捕食にいそしんでいる始末。プランクトンを食すのにも、クリーチャーを食すのにも次第に影を落とすようになる。巨大な自クリーチャーに手も足も出ず食べられていくプランクトンたち、無機質な音を立てて崩れていくクリーチャー、そうした生き物の命を奪い成長していく自クリーチャー。幾千もの命のやり取りがあり多くの生き物を殺して更に深海へと潜っていく。そりゃあ自クリーチャーがどんどんと大きくなっていって成長の過程を眺めるのは楽しい。しかしそのために死んでいったものも数知れず……なんてことを思いながら海の中を漂ううちに、いつしか頭の中の思考もゆらゆらと流れ漂っていく。生きるとは何か?なんて哲学的なことすら考え出す始末……なんてことを書いちゃうと流石に言い過ぎだがそれでも数多くのことを考えさせることは確かである。深海に潜っていくうちに、プレイヤーのアビス(深淵)にも潜っていくなんてテーマだけでこのレベルの作品を作りあげてしまうthatgamecompanyはやはり只者ではない。
といってもあくまでこれは自分が感じた印象でありプレイヤーごとにそれぞれ思うことは違うであろう。なんならプランクトンを避けながら深海へと潜ることも可能である。また自分のように数々のクリーチャーまでも捕食にいそしむことも可能。そういった意味で思うがままに漂うゲームである。どんなプレイをしてもプレイヤーに何かを残してくれる。それが「flOw」である。総プレイ時間がかなり短くなる作品ではあるが、それでも買う価値のある作品である。風ノ旅ビトしか知らない、なんて人は是非とも今作やFloweryもプレイをしてほしいところ。ゲームでしか体験できないことがここにある。誰にもまねできないゲームを作り上げることのできるthatgamecompanyはやはり凄腕開発会社だと強く感じた。

posted by グレイ at 20:24| Comment(0) | 今月の一本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする